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第六話
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翌日の朝、陽人と遙香が出発の準備をしていると、喜美夜と武雄が2人の部屋に来て「これ,帰りの飛行機で食べて。
また長旅でしょ。」と言うとおにぎりを手渡した。「あと、これも持っていきなさい。北海道のお土産だ。職場の方たちとあと遙香の主治医の先生に。」と渡したがお土産が思ったよりも大きく陽人の鞄にも遙香の鞄にも入りきらなかったので「ごめん。入らないからこのお土産は郵送で送ってくれない?あ,着払いでいいから。」と一旦返した。「そう。わかった。」とおにぎりだけ持たせて部屋をあとにした。遙香は布団のそばに置いていた薬を上着のポケットにしまったのが陽人にはチラッと見えた。
その後6人全員で朝食をとり、陽人と遙香は荷物の最終確認を終えて時刻は午前9時。ついに出発の時を迎えた。
玄関の前では裕子・喜美夜・武雄が陽人と遙香の見送りをしていた。「じゃあまた数日後に向こうで会いましょ。」と裕子「2人とも元気でね。」と喜美夜「また、来てくれ。」と武雄。
それぞれが2人に伝えたので「うん。じゃあ母さん。また数日後に!」と陽人「おじいちゃん、おばあちゃん。元気でね。」と遙香。2人も返した。
そこへ車に乗った和弘が来て「空港まで送るから乗って。」と後部座席のドアを開けた。そこに陽人と遙香が乗り込み,ドアを閉めると車がゆっくりと発進した。2人は車の窓を開けて「じゃあね~。」と見えなくなるまで手を振り続けた。家が見えなくなって再び木々に囲まれ始めた時ピューと風が車の中に吹いてきた。考えすぎかもしれないが、この地の自然も別れを惜しんでいるかのように陽人は思った。
やがて空港が見えてきた。和弘は車を止めて2人を降ろした。すると和宏も降りてきて「じゃあ,2人とも気をつけて。」その言葉に2人はしっかりと頷き
空港の中へと入っていった。陽人は「行く時はあんなに楽しみだったのに帰る時になるとなぜか,無性に悲しい気持ちになる。なんでだろう?」と考えたが答えはわからなかった。しかし,「疑問に思ったことの全ての答えを見つけなくていいのだ。」と思い直した。
そして,来る時と同じように10時20分の飛行機に無事に乗ることができた。
しかし,飛行機が離陸してしばらく経過した時に遙香は急に激しい頭痛に襲われた。「うぅ~。お兄ちゃん頭が痛い。助けて。」ともがいた。陽人は目の前で苦しんでいる妹を助けたい。そう思ったが,陽人は脳外科医ではなく,救命医だ。したがって脳外科の知識は乏しいのだ。さらにここは雲の上であるため医療器具はない。どうすればいいか考えていると陽人は携帯を取り出し高嶋に電話をかけた。呼び出し音が4回ほど聞こえたあとに「もしもし,春部先生。どうした?」と高嶋の声が聞こえた,「あ,高嶋先生。遙香が頭が痛いって言ってて。
でも僕は脳外科の知識はないし,どうしたらいいのかわからなくて。」とおかしくなりそうな気を必死に抑えて報告した。「落ち着け。まず,今どこにいる?もし飛行機の中なら今どこを飛んでる?
CAさんに聞け。」陽人は高嶋の指示通りCAさんに場所を聞いた。「今栃木のあたりにあるそうです。あと数分で空港に着くそうです。」「そうか,わかった。とにかく薬を処方してるだろ?それを飲ませろ。おそらく今救急車が空港に向かってるはずだ。」「はい。わかりました。」と陽人は電話を切った。
「とにかくまずは薬を飲ませないと。」と思ったが薬の場所を遙香から聞いてなかったので場所がわからなかった。
どこにあるのか遙香の今日の行動を思い返してみると上着のポケットにしまっていたことを陽人は思い出した。急いで遙香の上着のポケットから薬を取り出して
遙香に薬を飲ませた。すると痛みが和らいだのか少し落ち着いた。
しばらくして飛行機が着陸し,遙香はすぐに病院に搬送された。病院に到着すると初療室には高嶋が待っていた。
高嶋は素早く遙香の状態を確認すると
「すぐに血腫を取り除く。」と決断すると遙香はすぐにオペ室に運ばれた。
麻酔をかけられている時に陽人は執刀医の高嶋と話していた。「高嶋先生。遙香を妹をよろしくお願いします。」「手術は成功させる!」と返答し,オペ室に入っていった。1時間半後高嶋がオペ室から出てきた。「血腫は取り除いたが,手術が成功したかどうかは、遙香ちゃんが麻酔から覚めてからしかなんとも言えないが。」と結果を一旦報告した。
40分後遙香が麻酔から覚めて高島の質問に答えていった。「名前は言えるか?」「春部遙香です。」「この人の名前はわかるか?」と陽人を指差して言うと「春部陽人。私の兄です。」すると高嶋が「うん。見当識障害もないし,しっかり話せてる。手術は成功と言っていいだろう。」と言ってから「よく頑張ったな。」と遙香に言うと病室を去っていった。去っていく高嶋を陽人が一礼をして見送った。陽人の目には涙が浮かんでいた。遙香は陽人を見て「もしかして,お兄ちゃん泣いてる?」と聞いた。「泣いてねぇよ。誰が泣くか!ただゴミが目に入っただけだ。」と言いつつも涙をそっと手で拭った。
これで遙香を悩ませていた脳血腫はなくなり普段の生活を送ることができることに喜びを爆発させている陽人なのであった。
また長旅でしょ。」と言うとおにぎりを手渡した。「あと、これも持っていきなさい。北海道のお土産だ。職場の方たちとあと遙香の主治医の先生に。」と渡したがお土産が思ったよりも大きく陽人の鞄にも遙香の鞄にも入りきらなかったので「ごめん。入らないからこのお土産は郵送で送ってくれない?あ,着払いでいいから。」と一旦返した。「そう。わかった。」とおにぎりだけ持たせて部屋をあとにした。遙香は布団のそばに置いていた薬を上着のポケットにしまったのが陽人にはチラッと見えた。
その後6人全員で朝食をとり、陽人と遙香は荷物の最終確認を終えて時刻は午前9時。ついに出発の時を迎えた。
玄関の前では裕子・喜美夜・武雄が陽人と遙香の見送りをしていた。「じゃあまた数日後に向こうで会いましょ。」と裕子「2人とも元気でね。」と喜美夜「また、来てくれ。」と武雄。
それぞれが2人に伝えたので「うん。じゃあ母さん。また数日後に!」と陽人「おじいちゃん、おばあちゃん。元気でね。」と遙香。2人も返した。
そこへ車に乗った和弘が来て「空港まで送るから乗って。」と後部座席のドアを開けた。そこに陽人と遙香が乗り込み,ドアを閉めると車がゆっくりと発進した。2人は車の窓を開けて「じゃあね~。」と見えなくなるまで手を振り続けた。家が見えなくなって再び木々に囲まれ始めた時ピューと風が車の中に吹いてきた。考えすぎかもしれないが、この地の自然も別れを惜しんでいるかのように陽人は思った。
やがて空港が見えてきた。和弘は車を止めて2人を降ろした。すると和宏も降りてきて「じゃあ,2人とも気をつけて。」その言葉に2人はしっかりと頷き
空港の中へと入っていった。陽人は「行く時はあんなに楽しみだったのに帰る時になるとなぜか,無性に悲しい気持ちになる。なんでだろう?」と考えたが答えはわからなかった。しかし,「疑問に思ったことの全ての答えを見つけなくていいのだ。」と思い直した。
そして,来る時と同じように10時20分の飛行機に無事に乗ることができた。
しかし,飛行機が離陸してしばらく経過した時に遙香は急に激しい頭痛に襲われた。「うぅ~。お兄ちゃん頭が痛い。助けて。」ともがいた。陽人は目の前で苦しんでいる妹を助けたい。そう思ったが,陽人は脳外科医ではなく,救命医だ。したがって脳外科の知識は乏しいのだ。さらにここは雲の上であるため医療器具はない。どうすればいいか考えていると陽人は携帯を取り出し高嶋に電話をかけた。呼び出し音が4回ほど聞こえたあとに「もしもし,春部先生。どうした?」と高嶋の声が聞こえた,「あ,高嶋先生。遙香が頭が痛いって言ってて。
でも僕は脳外科の知識はないし,どうしたらいいのかわからなくて。」とおかしくなりそうな気を必死に抑えて報告した。「落ち着け。まず,今どこにいる?もし飛行機の中なら今どこを飛んでる?
CAさんに聞け。」陽人は高嶋の指示通りCAさんに場所を聞いた。「今栃木のあたりにあるそうです。あと数分で空港に着くそうです。」「そうか,わかった。とにかく薬を処方してるだろ?それを飲ませろ。おそらく今救急車が空港に向かってるはずだ。」「はい。わかりました。」と陽人は電話を切った。
「とにかくまずは薬を飲ませないと。」と思ったが薬の場所を遙香から聞いてなかったので場所がわからなかった。
どこにあるのか遙香の今日の行動を思い返してみると上着のポケットにしまっていたことを陽人は思い出した。急いで遙香の上着のポケットから薬を取り出して
遙香に薬を飲ませた。すると痛みが和らいだのか少し落ち着いた。
しばらくして飛行機が着陸し,遙香はすぐに病院に搬送された。病院に到着すると初療室には高嶋が待っていた。
高嶋は素早く遙香の状態を確認すると
「すぐに血腫を取り除く。」と決断すると遙香はすぐにオペ室に運ばれた。
麻酔をかけられている時に陽人は執刀医の高嶋と話していた。「高嶋先生。遙香を妹をよろしくお願いします。」「手術は成功させる!」と返答し,オペ室に入っていった。1時間半後高嶋がオペ室から出てきた。「血腫は取り除いたが,手術が成功したかどうかは、遙香ちゃんが麻酔から覚めてからしかなんとも言えないが。」と結果を一旦報告した。
40分後遙香が麻酔から覚めて高島の質問に答えていった。「名前は言えるか?」「春部遙香です。」「この人の名前はわかるか?」と陽人を指差して言うと「春部陽人。私の兄です。」すると高嶋が「うん。見当識障害もないし,しっかり話せてる。手術は成功と言っていいだろう。」と言ってから「よく頑張ったな。」と遙香に言うと病室を去っていった。去っていく高嶋を陽人が一礼をして見送った。陽人の目には涙が浮かんでいた。遙香は陽人を見て「もしかして,お兄ちゃん泣いてる?」と聞いた。「泣いてねぇよ。誰が泣くか!ただゴミが目に入っただけだ。」と言いつつも涙をそっと手で拭った。
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