吸血姫は王子様の血が欲しい

皐月もも

文字の大きさ
4 / 4

イザークの独り言

しおりを挟む
 イザークが何度目かの絶頂を迎えると、カーヤはとうとう意識を保っていられなくなった。
 彼は仕方なく彼女の中から抜け出し、汗で張り付いた髪をかき上げる。
 カーヤの黒い髪も同じように目元から除けてやると、彼女は身じろぎして微かに声を漏らした。

「ん……」

 散々快楽を刻み込まれた小さな身体は、敏感になっているのだろう。
 くたりと力の抜けた身体――小柄ながら、豊かな胸の膨らみにまろやかな尻、細いくびれは女性らしく魅惑的だ。
 大きな瞳と小さな鼻と口、童顔とのギャップがいやらしく、煽られる。
 先ほどまでイザークを受け入れていた泉から、カーヤの蜜とイザークの精が混ざったものがとろりと溢れ出し、シーツを濡らす様に、イザークは興奮を覚えた。

「カーヤ……」

 再び熱くなる下半身にごくりと喉を鳴らし、カーヤの秘所を指先でなぞる。
 彼女の意識さえあれば、あと数回はイけるところだ。
 焦らされた分、かなり溜まっている……

「あんなに熱い視線を送っておいて……無自覚とはな」

 ヴァンリッヒ城で開かれるパーティには必ず参加していたカーヤ。
 彼女はいつも壁際で佇んでいた。イザークを見つめて……
 表向きはヒト族が統治しているヴァンリッヒ王国だが、その覇権を巡っては、吸血鬼の他の一族や人狼が争いを繰り広げているのが実情。
 王子という立場上、命を狙われることも多いイザークは、他人の視線には敏感だ。カーヤのような素人のそれに気づかないはずがない。
 色仕掛けで王子の寝室に入り、殺そうとする女は数多といる。
 胸を強調し、短いスカートや深くスリットの入ったドレスばかりを着ていたカーヤも、そのうちイザークに接触してくるだろう――そう思っていたが、彼女がやってくることはなかった。
 いつだって、イザークを目で追うだけ。
 最初は自分の行動を観察しているのかと思ったが、調べてみるとそうではないらしい。
 吸血鬼の中でも蚊族は最弱と言われている。しかし、彼らの研究員としての能力はかなりのもので、国内でも高く評価されている。
 どうやら彼らは自分たちの寿命を延ばすために、ヒト型最強と謳われるイザークの血を欲しているとわかった。

「研究目的、か……」

 父親にそう言われているからなのか、カーヤは自分の行動に気がついていないようだ。
 女に囲まれる王子を見て寂しそうな表情をし、イザークが視線をやると途端に頬を染めて慌てて俯くことも、きっと自覚していない。
 その様子を思い出してククッと笑いを漏らし、イザークはカーヤの耳元に唇を寄せた。

「俺のことが好きなくせにな。可愛いやつだ」

 そう囁くと、カーヤは身じろぎして口元に笑みを浮かべる。
 それに満足し、イザークは彼女の身体を横抱きにした。そのまま寝室の奥にある浴室へ歩き出す。
 身体を清めてやるのが目的ではあるが、もし彼女が目を覚ましたら……

「もう一度、付き合ってもらおうか」

 今まで我慢させられた分、たっぷりと――…


しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

rikaco
2019.08.24 rikaco

その後どうなったの!?
そのまま、婚約者→結婚→王妃でしょうか??
気になります!!!

2019.08.25 皐月もも

それはもちろん……ご想像にお任せします!笑
イザークの性格からして逃がしてくれなさそうですよね。それに責任をとっていただかないと!笑
ただ、他にも書き終えてしまいたいお話があり、一旦完結ということにしております。
ちょっと温めているネタもありますので、もしかしたら少し続きを書くかもしれません。
そのときはまたお読みいただけたら嬉しいです!
感想ありがとうございました(*^^*)

解除
悠月彩香
2019.08.22 悠月彩香

王子、鬼畜!(褒め言葉)
蚊設定がこんな見事なファンタジー(しかも素敵)になるなんて、さすがです~。
しかも、そっちのオチww
楽しかったです!

2019.08.22 皐月もも

お読みいただきありがとうございます(*^^*)
勢いだけで書きました(笑) 
蚊設定&久しぶりに俺様王子を書けたので満足です!

解除

あなたにおすすめの小説

冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件

水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。 以後、 寝室は強制統合 常時抱っこ移動 一秒ごとに更新される溺愛 妻を傷つける者には容赦なし宣言 甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。 さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――? 自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。 溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

【完結】お父様(悪人顔・強面)似のウブな辺境伯令嬢は白い?結婚を望みます。

カヨワイさつき
恋愛
魔物討伐で功績を上げた男勝りの辺境伯の5女は、"子だねがない"とウワサがある王子と政略結婚結婚する事になってしまった。"3年間子ども出来なければ離縁出来る・白い結婚・夜の夫婦生活はダメ"と悪人顔で強面の父(愛妻家で子煩悩)と約束した。だが婚姻後、初夜で……。

【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~

双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。 なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。 ※小説家になろうでも掲載中。 ※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。

ちょいぽちゃ令嬢は溺愛王子から逃げたい

なかな悠桃
恋愛
ふくよかな体型を気にするイルナは王子から与えられるスイーツに頭を悩ませていた。彼に黙ってダイエットを開始しようとするも・・・。 ※誤字脱字等ご了承ください

独身皇帝は秘書を独占して溺愛したい

狭山雪菜
恋愛
ナンシー・ヤンは、ヤン侯爵家の令嬢で、行き遅れとして皇帝の専属秘書官として働いていた。 ある時、秘書長に独身の皇帝の花嫁候補を作るようにと言われ、直接令嬢と話すために舞踏会へと出ると、何故か皇帝の怒りを買ってしまい…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。