吸血姫は王子様の血が欲しい

皐月もも

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後編

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 腰が跳ね、足に力が入って身体が硬直する。力が抜けると、熱が全身に広がって汗が噴き出した。

「イけたか」
「ん……い、く……? あっ」

 肩を上下させて呼吸するカーヤの身体に大きな影が覆いかぶさる。
 片手で彼女の頭を撫でつつ、イザークがもう片手で濡れそぼった蜜壺に指先を沈めた。

「もう少しほぐしてやろう」
「あぁ――」

 ゆっくりと埋め込まれる指に、カーヤは息を止めた。
 初めての圧迫感に緊張が走る。

「力を抜け」
「や、できな……」
「できるだろう? さっきと同じようにすればいい。ほら」
「あぁんっ」

 指が根元まで埋まり、指先がくにくにと蜜壺の奥を刺激する。さらに入り口の秘芽を口内で嬲られて、カーヤは仰け反った。
 イザークはぐちゅぐちゅとわざと音を立てながら中を掻き回し、溢れ出る蜜を啜る。
 聴覚からも煽られ、カーヤの中がうねって彼の指に絡みついた。

「あ……あぁ、あ……」

 一度弾けた快感の風船が再び膨らみ、カーヤはシーツを握って喘ぐ。
 さらにイザークは片手をカーヤの豊満な膨らみに伸ばし、その先端を摘まんだ。

「ああっ」

 あらゆるところを同時に刺激され、嬌声が抑えられない。
 一度絶頂を知ったカーヤの意識は、より深い愉悦を求めてイザークの指先、唇の動きを追った。

「中、熱いな……こんなに濡らして、思っていたよりも随分いやらしい身体だ」
「あっ、やだ……そんなこと……んあぁ」
「俺は嫌いじゃないぞ」

 言葉でも羞恥を煽られ、思わず否定するものの、イザークは楽しそうだ。

「ほら、もう一度イってみろ……」
「ひ、や、ダメっ、あ、あっ、ああぁ――!」

 ちゅうっと強く秘芽を吸われ、カーヤは再び達してしまう。
 くたりと力の抜けた彼女の身体をゆっくりと撫でまわす大きな手――ほんのわずかな刺激にも敏感に反応し震えるカーヤを、イザークが獲物を狩るような目で見つめている。
 その熱っぽい視線に囚われるような気がした。

「イ、イザーク、さま……」
「……ここで俺の名を呼ぶとはな」

 カーヤはやめてほしくて王子の名を口にしたのだが、どうやらイザークは違う意味にとったらしい。
 彼の喉仏が上下するのを見て、カーヤは本能的に身体を起こそうと力を入れた。
 しかし――

「逃がすと思うな、カーヤ」
「きゃっ、あ、お、お願っ」
「お前は俺がもらう」

 ぐっと身体を引き寄せられ、耳元に吹き込まれた言葉。
 直後、ベッドに押し倒され、猛った昂りが蜜壺に宛がわれた。

「待って――ああっ」

 懇願も虚しく、ずぷりと太く熱い剛直が埋め込まれる。
 しとどに濡れていても、初めて男性を受け入れる身体は悲鳴を上げ、カーヤは痛みに涙を零した。

「く……締め付けすぎだ」
「ん、あっ」

 イザークも眉間に皺を寄せ、苦しそうだ。それでも腰を進めることをやめず、そのまま最奥まで貫く。
 隙間なく繋がると、イザークは長い息を吐き出しつつ、カーヤを抱きしめた。
 零れ落ちた涙を舐めとり、唇を啄む。

「泣くな、カーヤ」
「そんなこと言ったって……こんなの、ひ、ひどいです……」
「ひどいのはお前のほうだ。こんなに焦らされたのは初めてだぞ……まぁ、そこが気に入ったんだが」
「あっ、や、う、動いたらっ、ダメッ」

 イザークが緩やかに腰を動かし始め、カーヤは鈍い痛みに顔を歪めた。

「少し我慢しろ。これでも手加減している」
「ひゃっ、ああん」

 ゆっくりと昂りを出し入れしつつ、イザークは胸の先端に吸い付く。優しくねっとりと蕾を舐める行為は、痛みを訴える身体を慰めようとしているかのようにも思えた。

「は……ん……ああ、あ……」

 そうして胸を愛撫されるうちに、じわじわと快感が戻ってきてカーヤの声色が変わっていく。
 すると、イザークは胸の先端を摘まんだり、軽く歯を立てたり、さらに大きな快楽を与えようと触れ方を変えていった。
 それに呼応して、彼女の中がイザークの昂りを奥へ誘うようにいやらしくうねる。

「んっ、ああ……」
「カーヤ……わかるか? お前の中が俺に絡みついて、子種を欲しがっているぞ」
「やぁっ」

 イザークがククッと笑い、身体を起こす。カーヤの奥を穿ちながら、彼は自分を受け入れる彼女の下腹部を撫でた。
 その淫らな仕草にカーヤは身体を震わせる。

「ここに注げば……俺の血が手に入る。まどろっこしい研究などすっ飛ばしてな」
「あっ、あ……イザーク、さま……や、だめ……」
「ダメではないだろう? 少なくとも、お前の身体は悦んでいるぞ」
「あぁんっ」

 ぐちゅぐちゅと泡立つ結合部にイザークの手が伸びる。
 真っ赤になってその存在を主張する秘芽を擦られ、カーヤは甲高く啼いた。
 王子が触れるすべての場所が熱く、気持ちいい。
 心が伴わないはずの行為なのに。無理やり奪われたはずなのに、快楽を求めてしまう自分がはしたなく思える。

「ち、違いま……っ、あっ、あ……悦んで、なんて……私っ、ああ……」
「なんだ、無自覚か」

 カーヤが必死に自分の身体の反応を否定しようとすると、イザークはどこか寂しそうにため息をついた。しかし、すぐに不敵な笑みを浮かべる。

「面白い。ならば、自覚するまで閉じ込めて抱き潰してみるか?」
「な――あっ、あ、や、激しく、しな、で……あぁッ」

 肌を打ち付ける音が大きくなる。
 イザークの雄を咥え込んだ泉からは蜜がとめどなく溢れ、シーツを濡らしていく。
 すでに破瓜の痛みは快感に塗り潰されて、カーヤは嬌声を上げ続けた。激しい律動に合わせて足ががくがくと揺れ、翻弄される。
 細い腰を掴んで目を瞑り、薄く開いた唇から熱い吐息を零す王子の様子が視界に入り、カーヤははぁっと熱い息を零した。
 夢中で腰を打ち付けるイザークに、なぜか心がざわつく。

「……っ、く」

 不思議な感情に後押しされるようにカーヤの中がうねって昂りを締め付け、イザークが微かに呻いた。
 それにまた、彼女の下腹部が疼く。

「はっ、あ……イ、イザーク様……」
「カーヤ」

 吐息交じりの色っぽい囁きが、なぜか耳に心地いい。
 イザークがカーヤの手を取り、指を絡めてシーツに縫い付けた。

「んあっ、あ……っ、あぁ……」

 快感が迫ってくる感覚――絶頂が近いことを頭が、身体が、認識する。
 押し寄せてくる大きな波に流される。何かに縋りたくて、カーヤはイザークの手を握り返していた。
 
「これで無自覚とは恐ろしいな……はっ……もう、イくぞ」
「あ、ダメ……だめ、です、ああっ」

 イザークの動きがさらに激しくなる。
 このまま彼が果てたら……
 その行為の意味が頭によぎり、カーヤの身体の奥が熱くなる。
 ダメだと思う理性の傍らで、身体が彼のすべてを受け止めようとしているのを感じた。

「や、ダメ、あっ、あ、んぁっ、イ、ザーク、さ……あっ、ああ、あ――ッ」
「くっ」

 ぐんっと奥を突かれた瞬間、頭が真っ白になる。
 同時にイザークが呻き、彼の動きも止まった。彼は呼吸を荒げつつ、彼女の中に白濁を注ぎ込む。

「あ……」

 数回腰を緩やかに揺らし、すべてを吐き出したイザークは繋がったままカーヤの身体を抱きしめた。
 その温かさになぜか安心して、カーヤは王子の背に腕を回す。

「んっ、な、なんで……」

 繋がったままの身体――イザークの昂りが再び熱を取り戻し、カーヤは目を白黒させた。

「お前が悪い」
「え? きゃ――んんっ」

 やや余裕のない表情が一瞬見えたと思ったけれど、すぐに唇を塞がれて、イザークの感情が読めなくなる。
 ぬるりと入り込んでくる舌に気を取られているうちに、王子は腰を前後させ始めた。

「んぅ、ん、ン!」

 抵抗しようにも、身体にうまく力が入らない。
 それをいいことに、イザークはカーヤの身体を我が物顔で弄った。円を描くように腰を動かしつつ、柔らかな身体を撫で回す。
 激しい行為で乱れた呼吸が整わないまま深いキスを求められ、空気も足りない。

「んぁ……は……くるし、んっ」
「焦らされた分、今夜はたっぷり注いでやる。お前も俺の”血”が欲しいだろう?」
「ち、違――ひゃあぁっ」

 カーヤが欲しいのは、蚊族の研究のための血。「子孫」という意味の血ではないと言いたいのに、イザークの愛撫に言葉が続かない。
 激しくも、どこか優しい王子の手や唇に翻弄されて、カーヤの抵抗は弱まるばかり。
 結局、その夜は気を失うまでイザークに抱き潰されてしまった。
 彼女が”血”を手に入れる日は、そう遠くないように思えるほどに――…
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