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掌編小説

君送歌

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 いつからだろう。
 あなたを想うようになったのは。

 いつの日だろう。
 あなたが僕に笑顔で笑いかけたのは。

 あなたに話し掛ける度に、
 僕の心はあなたの色で染まってゆく。

 あなただけを……僕は想い続ける。


 もしも、もしもあなたが、
 僕じゃない他の人を好きになって、
 他の人に心を奪われても、
 僕はあなたを愛し続けます。

 もしも、もしもあなたが、
 僕じゃない他の人を想い続けて悲しくなった時は、
 僕も一緒にあなたの側で泣いてあげます。


 いつになるだろう?
 いつになるんだろう?

 あなたと別れる日が来るのは。

 (別れたくない)

 その時は、同時にあなたを忘れられますか。

 (忘れたくない)

 それでも、
 あなたの声、あなたの姿、あなたの笑顔、
 全て忘れましょう。


 そして、あなたとの思い出、あなたへの想い、
 忘れた後はまた、他の人を愛しましょう。

 僕はヒキョウですね。

 忘れたくない思い出を無理矢理忘れて、
 自分だけ幸せ掴む為、
 自由に愛を探し見つけてゆくんです……。


 『嫌だ』と泣き喚く(いとおしい)あなたの声は
 聞こえないふり。




( “君”に“歌”を“送”ろう )

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