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231話 ラスカリア 37
しおりを挟むゴーレムの無造作な振り下ろし。
拳の軌道上に小さな障壁をいくつも展開する。
…パパパパキィッ!
連続で砕かれていく障壁、ポラリスの右へ受け流す体勢を見てそちらの方向に勢いが流れるよう斜めに厚めの障壁を展開する。
…ズガァッ!
ポラリスの盾に受け流されたゴーレムの拳が床を叩く。
その瞬間にはすでに持っていた盾と長剣をしまっていたポラリスが両手で握った大剣を下から振り上げる。
…ギャリィッ!
ポラリスの攻撃を受け止める為に、剣の軌道腕をに上げようとしていたゴーレムの腕の周りに障壁を展開してガードを防いだが、クリーンヒットしたはずの攻撃は骨の触手に阻まれ浅い傷に留まっている。
体勢を立て直そうと一歩下がろうとしたゴーレムの足元に障壁を展開して躓かせる。
(…硬いが、やっぱりただのゴーレムだな。 バランス感覚が鈍い)
その間にも散発的にコボルド王へ攻撃を飛ばす。
「攻撃と防御と妨害…間にはコボルド王にも牽制を…リルトくんの頭の中は一体どうなっているの?」
「それに合わせてるポラリスもすごいわ…」
(他の皆のスケルトン処理は安定してるみたいだな)
「ポラリス、ちょっと考えがあるから一分耐えて」
「了解、任せて」
ポラリスはそう言うと再度盾と長剣に持ち変える。
オレはポラリスと対峙するゴーレムの挙動を注視する。
(…やっぱり。
巻き付いた骨の触手と一緒に、凝縮された魔力の塊が身体中を動き回っている…あれがゴーレムコアか。
つまり、実質あの触手がゴーレム本体って訳だな)
常に攻撃の軌道から避けるようにコアが動いている。
このままでは倒すのは難しいだろう。
(…探知…魔法生物…光…追跡…)
手の中で革、金属、宝石が形を変えていく…
踏み込もうとしたゴーレムの足元に、斜めに障壁を展開する。
地面の代わりに障壁を踏んでしまったゴーレムは、斜めの床に足を取られて盛大に体勢を崩した。
…ズバァンッ!
傾いた方向へさらに追い打ちで次元弾を撃ち込むと
、ゴーレムが完全に尻もちを突いた。
オレはその瞬間出来上がった物をポラリスへ放る。
「ポラリス!それを頭に付けて魔力を流して!」
受け取ったポラリスが、中央に宝石のはまった革のバンダナを巻き魔力を流すと、宝石から光の線が伸びて、ゴーレムの身体の一箇所を照らす。 その場所はゆっくりと移動している。
「ポラリス!その光が指している箇所にゴーレムのコアがある。 そこを攻撃するんだ!」
「おお!…今作ったの?」
「そう」
「戦闘中に一瞬で魔道具作り…リルトがどんどん常識外れになっていく…」
ポラリスは呆れた顔をしながら持っていた長剣をしまい、代わりに槍を取り出し構えた。
…ザン!、ザシュ!、ズガッ!
ポラリスの槍が骨の触手を砕き、オレの障壁がゴーレムのバランスを崩し続け防戦一方になっていく。
と、逃場を失ったコアがゴーレムの右肩へ移動した。
「今!」
…ザンッ!
ポラリスが一瞬で盾と槍を大剣に持ち替え、ゴーレムの肩から胸にかけて大きく切り裂き、骨の触手は身体と完全に分断されコアは逃場を失った。
「次元刃!」
…パッキィン!!
ゴーレムが一瞬ビクッと痙攣し、触手も身体も重力に負けたようにグズグズと崩れ落ちていく…
「…ワ、ワレノ ゴーレム ガ…」
スケルトン全滅させたリーチェさん達が、玉座のコボルド王へ向かっていく。
オレは円盤の魔道具をしまい、地上に降りる。
(…キュベレーを作った時の"反動"のおかげなのか、ポラリスと連携しながらさらに他の行動までしたけど、以前のような負担を感じなかったな…)
「ギギャアー!!」
玉座からはコボルド王の断末魔が聞こえる。
「ふう、色々"反則技"は縛ったけど、何とか勝てたね…」
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