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6 カイン視点1
俺には3歳年下の婚約者がいる。親が早々に決めたものだが当時6歳の女の子だと子供過ぎて相手にするのは億劫だと思っていた。
だからリコリスと会ったとき可愛い女の子だとは思ったがやはり適当に話を合わせておけばいいとその時は考えていた。
「此方は主にハーブと薬草を栽培しております。こちらはすりつぶして塗れば傷薬にもなりますし、こちらは大変苦いですが、せき止めには効果抜群なのです」
だが彼女はビックリするくらい博識だった。むしろ俺よりも頭がいいんじゃないかと思ったほどだ。なのでちょっと意地悪な質問をして困らせようとしたのだが、更に彼女の賢さをただ証明するだけになり俺は戦いた。
(な、なんだ?! 植物だけの知識じゃなく、全く関係ない虹の話をしても専門用語みたいな話で細かく説明されてしまった。こいつは歩く辞書なのか?!)
しかし驚きはそれだけではなかった。貴族令嬢は誕生日に刺繍入りのハンカチを婚約者にプレゼントするのが一般的だが、もはや絵画というレベルの刺繍を施したハンカチを貰うとは思わなかった。
あまりのできの良さにそれを両親に見せたら、次の日には額縁に飾られていた。
(なんだろう……ハンカチなのに額へ入れられた方が凄くしっくりくるなんて……)
だから多才な彼女に手紙で額縁に飾ったと書けば喜ぶかなと送ったら、返信に今度は実用的な物を渡しますと書かれてしまった。結構俺の婚約者殿は律儀な人らしい。
なので今度こそ刺繍入りのハンカチかなとお茶会に向かうと渡されたのはタオルハンカチと言うメチャクチャ触り心地と吸水性もデザインもかっこいい見たことの無い素晴らしいハンカチだった。
(す、凄い……俺の婚約者は天才か?!)
もはや嫉妬も湧かず、むしろ次は何が出てくるか楽しみな宝箱のようで俺は会うのが毎回嬉しかった。
そして俺の13歳の誕生日にそれは起きた。
毎回断っているのに絶対来る辺境伯の娘マーガレット令嬢。会えば見下してくるか馬鹿にするかの性格が悪い……いや最悪な令嬢だ。
(何で毎回来るんだよ。嫌み言うためにわざわざ来るとか性格歪み過ぎだろ! しかも誕生日にプレゼントされるゴテゴテの少女趣味全開な物ばかりで本当に嫌がらせだけは天下一品だな)
憂鬱な気分で会場に行くと直ぐに仲の良い友達が何人も自分を祝ってくれてすっかりマーガレットのことは忘れてしまっていた。
「おい、カイン! あの可愛いご令嬢どこの子だ?」
1人の友人が指し示す方向には自分の婚約者が両親を伴ってお祝いに来てくれたところだった。
「リコリス!!」
自慢半分といつも驚く楽しいプレゼントをくれる婚約者に挨拶に行くと、笑顔でお祝いの言葉と共にかっこいいロゴ付きの紙袋をくれた。
(黒色なんて地味だと思ってたけど青色に金色の縁取がされるだけでなんて高級感あるかっこいい袋に変身するだ!)
周りにいた友人たちも誉め称えるほどのかっこ良さに流石は俺の婚約者だと自慢しようとしたら、嫌な声がそれを遮ってきた。
(やっぱりマーガレットか……また嫌な気分だ)
そして案の定プレゼント対決を勝手に進めてくるマーガレットにほとほと嫌気が差していく。だがそれを払拭するように俺が本当に欲しいもの以上のサプライズをしてくれる婚約者に俺は感動していた。
(皆が羨ましいがるような俺を主役にしてくれるプレゼントを用意してくれるリコリスは本当に凄い!)
しかしそれにも負けじとマーガレットは俺の誕生日を無茶苦茶にしようとしているのに切れてリコリスと共に情けなくともその場から逃げてしまった。
それなのにリコリスは俺を見下すことも文句を言うこともなく、落ち込む恥ずかしい俺を元気付けようと大好きなモーリシャル騎士団話にピアノ伴奏をつけて楽しませてくれた。
(3つも年下なのに……なんか守られているみたいだな……)
少しこそばゆくて嬉しい気持ちになってくると、たまたま俺を探しに来てくれた友人と共に図書室へ行ったことを俺はこの後ずっと後悔することになる。
そのガラスが割れる音と共に部屋に入ると慌てているマーガレットとガラス窓の側で顔から血を流しているリコリスがそこにはいた。
「!! 何をしているんだ!!」
「!!」
友人たちが俺の声と共に状況をいち早く理解して、大人を呼びに行く者とマーガレットを捕まえる者へと瞬時に別れてくれた。
俺はその間にリコリスに寄り、ガラス窓からそっと場所を移動させ止血した。びしょびしょに濡れて意識が朦朧としているのだろう。目は開いているが焦点は定まっていない。
「その子が急に窓ガラスに突っ込んだのよ! 私を悪者にするためよ! 騙されないで!!」
(よくも、ぬけぬけと……まだ魔法が使えないリコリスが水の得意なマーガレットの側で濡れているし、何より右頬が赤く腫れている……100%殴った後だと証明しているのに!!)
「誰がお前なんかの言葉を信じるかよ!! 年下の女の子に暴力振るって血を流させて全身びしょ濡れにさせてもまだ自分を正当化させるのか!! この悪魔!!」
「!! だ、だから、違うわ!!」
「うるさい!! 人間じゃない悪魔の言葉なんか聞くかよ!!」
許せない。俺のリコリスにこんなことして……。何が何でも絶対にマーガレットを許すものか!!
だからリコリスと会ったとき可愛い女の子だとは思ったがやはり適当に話を合わせておけばいいとその時は考えていた。
「此方は主にハーブと薬草を栽培しております。こちらはすりつぶして塗れば傷薬にもなりますし、こちらは大変苦いですが、せき止めには効果抜群なのです」
だが彼女はビックリするくらい博識だった。むしろ俺よりも頭がいいんじゃないかと思ったほどだ。なのでちょっと意地悪な質問をして困らせようとしたのだが、更に彼女の賢さをただ証明するだけになり俺は戦いた。
(な、なんだ?! 植物だけの知識じゃなく、全く関係ない虹の話をしても専門用語みたいな話で細かく説明されてしまった。こいつは歩く辞書なのか?!)
しかし驚きはそれだけではなかった。貴族令嬢は誕生日に刺繍入りのハンカチを婚約者にプレゼントするのが一般的だが、もはや絵画というレベルの刺繍を施したハンカチを貰うとは思わなかった。
あまりのできの良さにそれを両親に見せたら、次の日には額縁に飾られていた。
(なんだろう……ハンカチなのに額へ入れられた方が凄くしっくりくるなんて……)
だから多才な彼女に手紙で額縁に飾ったと書けば喜ぶかなと送ったら、返信に今度は実用的な物を渡しますと書かれてしまった。結構俺の婚約者殿は律儀な人らしい。
なので今度こそ刺繍入りのハンカチかなとお茶会に向かうと渡されたのはタオルハンカチと言うメチャクチャ触り心地と吸水性もデザインもかっこいい見たことの無い素晴らしいハンカチだった。
(す、凄い……俺の婚約者は天才か?!)
もはや嫉妬も湧かず、むしろ次は何が出てくるか楽しみな宝箱のようで俺は会うのが毎回嬉しかった。
そして俺の13歳の誕生日にそれは起きた。
毎回断っているのに絶対来る辺境伯の娘マーガレット令嬢。会えば見下してくるか馬鹿にするかの性格が悪い……いや最悪な令嬢だ。
(何で毎回来るんだよ。嫌み言うためにわざわざ来るとか性格歪み過ぎだろ! しかも誕生日にプレゼントされるゴテゴテの少女趣味全開な物ばかりで本当に嫌がらせだけは天下一品だな)
憂鬱な気分で会場に行くと直ぐに仲の良い友達が何人も自分を祝ってくれてすっかりマーガレットのことは忘れてしまっていた。
「おい、カイン! あの可愛いご令嬢どこの子だ?」
1人の友人が指し示す方向には自分の婚約者が両親を伴ってお祝いに来てくれたところだった。
「リコリス!!」
自慢半分といつも驚く楽しいプレゼントをくれる婚約者に挨拶に行くと、笑顔でお祝いの言葉と共にかっこいいロゴ付きの紙袋をくれた。
(黒色なんて地味だと思ってたけど青色に金色の縁取がされるだけでなんて高級感あるかっこいい袋に変身するだ!)
周りにいた友人たちも誉め称えるほどのかっこ良さに流石は俺の婚約者だと自慢しようとしたら、嫌な声がそれを遮ってきた。
(やっぱりマーガレットか……また嫌な気分だ)
そして案の定プレゼント対決を勝手に進めてくるマーガレットにほとほと嫌気が差していく。だがそれを払拭するように俺が本当に欲しいもの以上のサプライズをしてくれる婚約者に俺は感動していた。
(皆が羨ましいがるような俺を主役にしてくれるプレゼントを用意してくれるリコリスは本当に凄い!)
しかしそれにも負けじとマーガレットは俺の誕生日を無茶苦茶にしようとしているのに切れてリコリスと共に情けなくともその場から逃げてしまった。
それなのにリコリスは俺を見下すことも文句を言うこともなく、落ち込む恥ずかしい俺を元気付けようと大好きなモーリシャル騎士団話にピアノ伴奏をつけて楽しませてくれた。
(3つも年下なのに……なんか守られているみたいだな……)
少しこそばゆくて嬉しい気持ちになってくると、たまたま俺を探しに来てくれた友人と共に図書室へ行ったことを俺はこの後ずっと後悔することになる。
そのガラスが割れる音と共に部屋に入ると慌てているマーガレットとガラス窓の側で顔から血を流しているリコリスがそこにはいた。
「!! 何をしているんだ!!」
「!!」
友人たちが俺の声と共に状況をいち早く理解して、大人を呼びに行く者とマーガレットを捕まえる者へと瞬時に別れてくれた。
俺はその間にリコリスに寄り、ガラス窓からそっと場所を移動させ止血した。びしょびしょに濡れて意識が朦朧としているのだろう。目は開いているが焦点は定まっていない。
「その子が急に窓ガラスに突っ込んだのよ! 私を悪者にするためよ! 騙されないで!!」
(よくも、ぬけぬけと……まだ魔法が使えないリコリスが水の得意なマーガレットの側で濡れているし、何より右頬が赤く腫れている……100%殴った後だと証明しているのに!!)
「誰がお前なんかの言葉を信じるかよ!! 年下の女の子に暴力振るって血を流させて全身びしょ濡れにさせてもまだ自分を正当化させるのか!! この悪魔!!」
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