冷たく燃えよ〜悪魔に導かれし少年の物語〜

恐霊仙妖

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第1章 少年

02 森での生活

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森でのサバイバルが始まり、早3日
少年は意外な事に適応力が高かった。
まず、生命の維持に必要な水だが、少年の魔力適正は、無属性と火属性である、しかし、ある程度の水属性魔術くらいなら使えるのである、もっとも、効率はとても悪いが。

しかし、そもそも少年はニルヴィアの王族、最悪、1週間にコップ一杯分でも足りる。

つぎに食糧だが、それこそ森の中には動物が山ほどいる、たいていの哺乳類は味に目を瞑れば、火で炙って食べられるのである、しかし、これもまたニルヴィア王族の男子、そもそも食糧をそれ程必要としない。

長寿で種として優れるニルヴィア族だが、王族の生物としての力は貴族や平民の比ではない、少年もその例の通りであった。

しかし、住居が問題であった。
寒さも暑さも、ある程度なら問題ない。
だが、ここは大森林、雨も降るし虫も湧く、野生生物が襲ってくる可能性もある。本来人間なら感染症も気にしなければならないが、少年はニルヴィア王族なので、免疫によって全く問題としていない。

だが虫は別だ。

パチン!

パチン!

パン!

ベチ!

「はぁ、どいつもこいつも、、、キリがない」

密林の奥、複雑な生態系の影の支配者、虫だ。

彼らの恐ろしい所はその数である、少年が1匹毎に殺したところで意味を成さない、全くの無意味だ。

いっその事水の中で寝ようと試みたこともあった、少年にとって酸素の摂取はさほど重要なことでは無いからだ、しかし、水の中にもいるのだ、途方もない数と種類の虫が。

少年にとってそれらの虫の持つ毒などは大した問題ではない。ただただ鬱陶しいのだ、そして何より痒いのだ。

「うーん、、、どうにかならないかな、、このままだと気が狂っちゃう、、、」

すると少年はいつものような考えに至る。

(こんな時父上なら、母上ならどうしただろう)

脳裏に浮かぶのは、魔術の応用でどうにかしようとする父親と、それを笑いながら、持ち前の知識で解決しようとする母親の姿である。

その時、ハッと閃いた。

「そうだ!シャルラが言ってた!!虫は煙が苦手なんだ!!!」

なぜ虫は煙が苦手なのか、どうやって煙をだすか、そんなのは今の少年にはどうでもいいことだった、彼にとって大事なのは、この窮地の中、素晴らしい事を思いついた自分への尊敬であった。

そして、母親のように脳から知識と記憶を引き摺り出し、父親のように魔術を使ってそれを行う。彼の魔力属性は火属性、煙を出すなど朝飯前である。

「これで今日はゆっくり眠れるな、、、」

自らに寄り付かなくなった虫たちの事を思い出しながら、少し開けた岩の上にオオヤシの葉をのせて眠る少年。

しかし、少年は気づいていない。

煙は高いところに登るのだ、

狼煙と言う言葉があるくらいに、

虫を寄せ付けない代わりに、

別の「者達」を寄せ付けてしまった事に。

なぜなら彼は、

追われる身なのだから。
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