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第ニ章・お兄様をさがせ!
第二十六話
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「いきなり声をかけてしまってすいませんでした」
「いえ、気になさらないで下さい、貴女の気配に気付け無かった私が悪いので」
そう言って優雅に一礼するエルフィアを見たリリィは何処と無くこの人は貴族かそれに殉じる何かだと確信する。
「しかし上手な気配の消し方でしたね、リリィさんは隠密系の職業についているのですか?」
そんなエルフィアの問い掛けにリリィは少しだけ困ったような顔をして濁すように小さな声で答える。
「ワタシは魔法使いなんですけど、その……あまり職業適性が高くないのでそのせいかな~なんて」
声が尻すぼみして、最後にはなんと言っているか分からないほど小さかったが、察して欲しいリリィを他所にエルフィアは気に止めること無くその話題を続ける。
「フム、職業適性が低いとはどの程度なのですか?」
馬鹿にするわけではなく、純粋な好奇心からそう尋ねてくるのが分かるせいで、リリィは怒ることも断ることも出来ずに、目を逸らしながら小さな声で呟くように答える。
「G……です」
ああ、またバカにされるのか、と鬱屈とした気持ちになるがエルフィアの口から出た言葉はリリィが全く予想もしていないものだった。
「それではリリィさんはすごい方なのですね」
特にリリィに気を使った訳でもなく、エルフィアは真面目な顔でそう言った。
リリィはそんなエルフィアに呆然としながら聞き返した。
「あの、バカにしたりしないんですか?」
「バカに? 何故ですか?」
何故バカにしなくてはいけないのか分からないとエルフィアは疑問符を浮かべると、リリィは今までの経験則を口にする。
「普通ならバカにしたりする場面だと思ったから」
「フム、リリィさんは中々苦労されているみたいですね、恐らくですが、リリィさんの言っている普通は普通ではないですよ、才能が無いからそれをバカにするというのは明らかに歪んでいると私は思います。それにこの学園はあの星詠みの賢者が運営していますし、リリィさんがこの場にいるという事は並外れた何かがあるという事だと私は思います、噂でしか話を聞いた事はないですが星詠みの賢者は決して無駄な事はしないお方だと聞き及んでいますからね」
冷静に着々と説明をするエルフィアの言葉を聞いていると、リリィは何故か懐かしい感覚を覚えた。
まるでアルフレッドに諭されているようだ、と。
「つまり職業適性が低くてもルーベンス・リベラルドに認められる何か、とてつも無い努力をしてらっしゃる方、もしくは特殊な何かを持っている方という結論に至りました、そのどちらでも私はリリィさんをすごい方だと思うわけです、お分り頂けましたか?」
説明を終えたエルフィアがそうリリィに確認すると、なぜアルフレッドとの会話を連想させるのか、という理由も理解したリリィは手を叩き納得する。
「なるほど、分かった!」
リリィが二重の意味で納得すると、エルフィアもまた分かって貰えた事に満足気に頷く。
ーーそっか、エルフィアさんはアルフと同じで敵意も害意もないんだ。
「フフ」
リリィはなんだかアルフとの事を思い出しちゃうな、と自然と笑みが溢れてしまう。
「どうかしました?」
突然笑いだすリリィを心配したのか、エルフィアがそう尋ねると、リリィはごく自然にエルフィアに尋ねる。
「あの、エルフィアさん」
「はい?」
「ワタシと友達になって貰えませんか?」
「友達、ですか?」
少しだけ悩むようにエルフィアは口元に手を当てがり考え込むと、リリィはいきなり過ぎて迷惑だったかも知れないと不安になる。
「あの、ダメ、ですか?」
不安気にリリィがそう聞くと、エルフィアはその表情に気付き、ハッとする。
「いえ、ダメという訳ではないのです、ただ私は今まで近しい年代の友人がいた事がないので、ちゃんとリリィさんの友人として務まるかどうか」
「エルフィアさん、そんなに深く考えないで下さい、友達なんて普通にお喋りしたり…………あとは……」
思った以上に深く考えてた、とリリィは驚きながら、もっと気軽に考えてもらえればとリリィは友人とどんな事をするのか挙げていくのだが、思わぬ落とし穴がある事に気付く。
ーーあれ? 友達ってなにするんだろう?
良く良く考えてみるとリリィ自身も交友関係が広い訳ではなく、正しい友人との過ごし方など知らないのだ。
無論、正しい友人との過ごし方などありはしないのだが。
「お喋りと、あとは何でしょうか?」
エルフィアが興味深いとマジマジとリリィを凝視するが正しいと思える答えが出せないリリィは苦し紛れにここ最近に起こった友人との過ごし方を列挙していく。
「たぶん、ご飯を食べたり一緒に勉強したりお茶をしたり……あとは部屋を掃除したり?」
そんな答えでもエルフィアは納得したのか、それくらいなら、と呟く。
「ではリリィさん、私たちは今日から友人です、よろしくお願いします」
深くお辞儀をするエルフィアにリリィは、堅いなぁ、と少しだけ苦笑いをするのだった。
「いえ、気になさらないで下さい、貴女の気配に気付け無かった私が悪いので」
そう言って優雅に一礼するエルフィアを見たリリィは何処と無くこの人は貴族かそれに殉じる何かだと確信する。
「しかし上手な気配の消し方でしたね、リリィさんは隠密系の職業についているのですか?」
そんなエルフィアの問い掛けにリリィは少しだけ困ったような顔をして濁すように小さな声で答える。
「ワタシは魔法使いなんですけど、その……あまり職業適性が高くないのでそのせいかな~なんて」
声が尻すぼみして、最後にはなんと言っているか分からないほど小さかったが、察して欲しいリリィを他所にエルフィアは気に止めること無くその話題を続ける。
「フム、職業適性が低いとはどの程度なのですか?」
馬鹿にするわけではなく、純粋な好奇心からそう尋ねてくるのが分かるせいで、リリィは怒ることも断ることも出来ずに、目を逸らしながら小さな声で呟くように答える。
「G……です」
ああ、またバカにされるのか、と鬱屈とした気持ちになるがエルフィアの口から出た言葉はリリィが全く予想もしていないものだった。
「それではリリィさんはすごい方なのですね」
特にリリィに気を使った訳でもなく、エルフィアは真面目な顔でそう言った。
リリィはそんなエルフィアに呆然としながら聞き返した。
「あの、バカにしたりしないんですか?」
「バカに? 何故ですか?」
何故バカにしなくてはいけないのか分からないとエルフィアは疑問符を浮かべると、リリィは今までの経験則を口にする。
「普通ならバカにしたりする場面だと思ったから」
「フム、リリィさんは中々苦労されているみたいですね、恐らくですが、リリィさんの言っている普通は普通ではないですよ、才能が無いからそれをバカにするというのは明らかに歪んでいると私は思います。それにこの学園はあの星詠みの賢者が運営していますし、リリィさんがこの場にいるという事は並外れた何かがあるという事だと私は思います、噂でしか話を聞いた事はないですが星詠みの賢者は決して無駄な事はしないお方だと聞き及んでいますからね」
冷静に着々と説明をするエルフィアの言葉を聞いていると、リリィは何故か懐かしい感覚を覚えた。
まるでアルフレッドに諭されているようだ、と。
「つまり職業適性が低くてもルーベンス・リベラルドに認められる何か、とてつも無い努力をしてらっしゃる方、もしくは特殊な何かを持っている方という結論に至りました、そのどちらでも私はリリィさんをすごい方だと思うわけです、お分り頂けましたか?」
説明を終えたエルフィアがそうリリィに確認すると、なぜアルフレッドとの会話を連想させるのか、という理由も理解したリリィは手を叩き納得する。
「なるほど、分かった!」
リリィが二重の意味で納得すると、エルフィアもまた分かって貰えた事に満足気に頷く。
ーーそっか、エルフィアさんはアルフと同じで敵意も害意もないんだ。
「フフ」
リリィはなんだかアルフとの事を思い出しちゃうな、と自然と笑みが溢れてしまう。
「どうかしました?」
突然笑いだすリリィを心配したのか、エルフィアがそう尋ねると、リリィはごく自然にエルフィアに尋ねる。
「あの、エルフィアさん」
「はい?」
「ワタシと友達になって貰えませんか?」
「友達、ですか?」
少しだけ悩むようにエルフィアは口元に手を当てがり考え込むと、リリィはいきなり過ぎて迷惑だったかも知れないと不安になる。
「あの、ダメ、ですか?」
不安気にリリィがそう聞くと、エルフィアはその表情に気付き、ハッとする。
「いえ、ダメという訳ではないのです、ただ私は今まで近しい年代の友人がいた事がないので、ちゃんとリリィさんの友人として務まるかどうか」
「エルフィアさん、そんなに深く考えないで下さい、友達なんて普通にお喋りしたり…………あとは……」
思った以上に深く考えてた、とリリィは驚きながら、もっと気軽に考えてもらえればとリリィは友人とどんな事をするのか挙げていくのだが、思わぬ落とし穴がある事に気付く。
ーーあれ? 友達ってなにするんだろう?
良く良く考えてみるとリリィ自身も交友関係が広い訳ではなく、正しい友人との過ごし方など知らないのだ。
無論、正しい友人との過ごし方などありはしないのだが。
「お喋りと、あとは何でしょうか?」
エルフィアが興味深いとマジマジとリリィを凝視するが正しいと思える答えが出せないリリィは苦し紛れにここ最近に起こった友人との過ごし方を列挙していく。
「たぶん、ご飯を食べたり一緒に勉強したりお茶をしたり……あとは部屋を掃除したり?」
そんな答えでもエルフィアは納得したのか、それくらいなら、と呟く。
「ではリリィさん、私たちは今日から友人です、よろしくお願いします」
深くお辞儀をするエルフィアにリリィは、堅いなぁ、と少しだけ苦笑いをするのだった。
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