27 / 48
第ニ章・お兄様をさがせ!
第二十六話
しおりを挟む
「いきなり声をかけてしまってすいませんでした」
「いえ、気になさらないで下さい、貴女の気配に気付け無かった私が悪いので」
そう言って優雅に一礼するエルフィアを見たリリィは何処と無くこの人は貴族かそれに殉じる何かだと確信する。
「しかし上手な気配の消し方でしたね、リリィさんは隠密系の職業についているのですか?」
そんなエルフィアの問い掛けにリリィは少しだけ困ったような顔をして濁すように小さな声で答える。
「ワタシは魔法使いなんですけど、その……あまり職業適性が高くないのでそのせいかな~なんて」
声が尻すぼみして、最後にはなんと言っているか分からないほど小さかったが、察して欲しいリリィを他所にエルフィアは気に止めること無くその話題を続ける。
「フム、職業適性が低いとはどの程度なのですか?」
馬鹿にするわけではなく、純粋な好奇心からそう尋ねてくるのが分かるせいで、リリィは怒ることも断ることも出来ずに、目を逸らしながら小さな声で呟くように答える。
「G……です」
ああ、またバカにされるのか、と鬱屈とした気持ちになるがエルフィアの口から出た言葉はリリィが全く予想もしていないものだった。
「それではリリィさんはすごい方なのですね」
特にリリィに気を使った訳でもなく、エルフィアは真面目な顔でそう言った。
リリィはそんなエルフィアに呆然としながら聞き返した。
「あの、バカにしたりしないんですか?」
「バカに? 何故ですか?」
何故バカにしなくてはいけないのか分からないとエルフィアは疑問符を浮かべると、リリィは今までの経験則を口にする。
「普通ならバカにしたりする場面だと思ったから」
「フム、リリィさんは中々苦労されているみたいですね、恐らくですが、リリィさんの言っている普通は普通ではないですよ、才能が無いからそれをバカにするというのは明らかに歪んでいると私は思います。それにこの学園はあの星詠みの賢者が運営していますし、リリィさんがこの場にいるという事は並外れた何かがあるという事だと私は思います、噂でしか話を聞いた事はないですが星詠みの賢者は決して無駄な事はしないお方だと聞き及んでいますからね」
冷静に着々と説明をするエルフィアの言葉を聞いていると、リリィは何故か懐かしい感覚を覚えた。
まるでアルフレッドに諭されているようだ、と。
「つまり職業適性が低くてもルーベンス・リベラルドに認められる何か、とてつも無い努力をしてらっしゃる方、もしくは特殊な何かを持っている方という結論に至りました、そのどちらでも私はリリィさんをすごい方だと思うわけです、お分り頂けましたか?」
説明を終えたエルフィアがそうリリィに確認すると、なぜアルフレッドとの会話を連想させるのか、という理由も理解したリリィは手を叩き納得する。
「なるほど、分かった!」
リリィが二重の意味で納得すると、エルフィアもまた分かって貰えた事に満足気に頷く。
ーーそっか、エルフィアさんはアルフと同じで敵意も害意もないんだ。
「フフ」
リリィはなんだかアルフとの事を思い出しちゃうな、と自然と笑みが溢れてしまう。
「どうかしました?」
突然笑いだすリリィを心配したのか、エルフィアがそう尋ねると、リリィはごく自然にエルフィアに尋ねる。
「あの、エルフィアさん」
「はい?」
「ワタシと友達になって貰えませんか?」
「友達、ですか?」
少しだけ悩むようにエルフィアは口元に手を当てがり考え込むと、リリィはいきなり過ぎて迷惑だったかも知れないと不安になる。
「あの、ダメ、ですか?」
不安気にリリィがそう聞くと、エルフィアはその表情に気付き、ハッとする。
「いえ、ダメという訳ではないのです、ただ私は今まで近しい年代の友人がいた事がないので、ちゃんとリリィさんの友人として務まるかどうか」
「エルフィアさん、そんなに深く考えないで下さい、友達なんて普通にお喋りしたり…………あとは……」
思った以上に深く考えてた、とリリィは驚きながら、もっと気軽に考えてもらえればとリリィは友人とどんな事をするのか挙げていくのだが、思わぬ落とし穴がある事に気付く。
ーーあれ? 友達ってなにするんだろう?
良く良く考えてみるとリリィ自身も交友関係が広い訳ではなく、正しい友人との過ごし方など知らないのだ。
無論、正しい友人との過ごし方などありはしないのだが。
「お喋りと、あとは何でしょうか?」
エルフィアが興味深いとマジマジとリリィを凝視するが正しいと思える答えが出せないリリィは苦し紛れにここ最近に起こった友人との過ごし方を列挙していく。
「たぶん、ご飯を食べたり一緒に勉強したりお茶をしたり……あとは部屋を掃除したり?」
そんな答えでもエルフィアは納得したのか、それくらいなら、と呟く。
「ではリリィさん、私たちは今日から友人です、よろしくお願いします」
深くお辞儀をするエルフィアにリリィは、堅いなぁ、と少しだけ苦笑いをするのだった。
「いえ、気になさらないで下さい、貴女の気配に気付け無かった私が悪いので」
そう言って優雅に一礼するエルフィアを見たリリィは何処と無くこの人は貴族かそれに殉じる何かだと確信する。
「しかし上手な気配の消し方でしたね、リリィさんは隠密系の職業についているのですか?」
そんなエルフィアの問い掛けにリリィは少しだけ困ったような顔をして濁すように小さな声で答える。
「ワタシは魔法使いなんですけど、その……あまり職業適性が高くないのでそのせいかな~なんて」
声が尻すぼみして、最後にはなんと言っているか分からないほど小さかったが、察して欲しいリリィを他所にエルフィアは気に止めること無くその話題を続ける。
「フム、職業適性が低いとはどの程度なのですか?」
馬鹿にするわけではなく、純粋な好奇心からそう尋ねてくるのが分かるせいで、リリィは怒ることも断ることも出来ずに、目を逸らしながら小さな声で呟くように答える。
「G……です」
ああ、またバカにされるのか、と鬱屈とした気持ちになるがエルフィアの口から出た言葉はリリィが全く予想もしていないものだった。
「それではリリィさんはすごい方なのですね」
特にリリィに気を使った訳でもなく、エルフィアは真面目な顔でそう言った。
リリィはそんなエルフィアに呆然としながら聞き返した。
「あの、バカにしたりしないんですか?」
「バカに? 何故ですか?」
何故バカにしなくてはいけないのか分からないとエルフィアは疑問符を浮かべると、リリィは今までの経験則を口にする。
「普通ならバカにしたりする場面だと思ったから」
「フム、リリィさんは中々苦労されているみたいですね、恐らくですが、リリィさんの言っている普通は普通ではないですよ、才能が無いからそれをバカにするというのは明らかに歪んでいると私は思います。それにこの学園はあの星詠みの賢者が運営していますし、リリィさんがこの場にいるという事は並外れた何かがあるという事だと私は思います、噂でしか話を聞いた事はないですが星詠みの賢者は決して無駄な事はしないお方だと聞き及んでいますからね」
冷静に着々と説明をするエルフィアの言葉を聞いていると、リリィは何故か懐かしい感覚を覚えた。
まるでアルフレッドに諭されているようだ、と。
「つまり職業適性が低くてもルーベンス・リベラルドに認められる何か、とてつも無い努力をしてらっしゃる方、もしくは特殊な何かを持っている方という結論に至りました、そのどちらでも私はリリィさんをすごい方だと思うわけです、お分り頂けましたか?」
説明を終えたエルフィアがそうリリィに確認すると、なぜアルフレッドとの会話を連想させるのか、という理由も理解したリリィは手を叩き納得する。
「なるほど、分かった!」
リリィが二重の意味で納得すると、エルフィアもまた分かって貰えた事に満足気に頷く。
ーーそっか、エルフィアさんはアルフと同じで敵意も害意もないんだ。
「フフ」
リリィはなんだかアルフとの事を思い出しちゃうな、と自然と笑みが溢れてしまう。
「どうかしました?」
突然笑いだすリリィを心配したのか、エルフィアがそう尋ねると、リリィはごく自然にエルフィアに尋ねる。
「あの、エルフィアさん」
「はい?」
「ワタシと友達になって貰えませんか?」
「友達、ですか?」
少しだけ悩むようにエルフィアは口元に手を当てがり考え込むと、リリィはいきなり過ぎて迷惑だったかも知れないと不安になる。
「あの、ダメ、ですか?」
不安気にリリィがそう聞くと、エルフィアはその表情に気付き、ハッとする。
「いえ、ダメという訳ではないのです、ただ私は今まで近しい年代の友人がいた事がないので、ちゃんとリリィさんの友人として務まるかどうか」
「エルフィアさん、そんなに深く考えないで下さい、友達なんて普通にお喋りしたり…………あとは……」
思った以上に深く考えてた、とリリィは驚きながら、もっと気軽に考えてもらえればとリリィは友人とどんな事をするのか挙げていくのだが、思わぬ落とし穴がある事に気付く。
ーーあれ? 友達ってなにするんだろう?
良く良く考えてみるとリリィ自身も交友関係が広い訳ではなく、正しい友人との過ごし方など知らないのだ。
無論、正しい友人との過ごし方などありはしないのだが。
「お喋りと、あとは何でしょうか?」
エルフィアが興味深いとマジマジとリリィを凝視するが正しいと思える答えが出せないリリィは苦し紛れにここ最近に起こった友人との過ごし方を列挙していく。
「たぶん、ご飯を食べたり一緒に勉強したりお茶をしたり……あとは部屋を掃除したり?」
そんな答えでもエルフィアは納得したのか、それくらいなら、と呟く。
「ではリリィさん、私たちは今日から友人です、よろしくお願いします」
深くお辞儀をするエルフィアにリリィは、堅いなぁ、と少しだけ苦笑いをするのだった。
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」
公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。
忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。
「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」
冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。
彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。
一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。
これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる