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第一章・最弱の魔法使い
第十八話
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「で? 実際のところ勝ち目はあるのか?」
リリィをベルベットに預け、アルフレッドとシーカーは試験会場の端で話し合いをしていた。
「勝ち目、勝ち目っすか。ハッキリ言うなら無いっすね」
「おい」
半眼で睨むシーカーを宥めるようにアルフレッドは言う。
「だって相手は特級の魔法使いっすよ? 俺みたいなボンクラ竜騎士に勝てる見込みがあるわけ無いじゃないっすか」
へらーとそんな事を言うアルフレッドにシーカーは怒張を含む声音で聞いた。
「ならなんで決闘なんか申し込んだんだ、お前の右肩にリリィの退学が掛かっているんだぞ?」
そう問われたアルフレッドは理由なんか決まっていると、自信満々に答える。
「リリィが泣いてたからっすよ。シーカーならこの意味、分かるっすよね?」
軽率な行動だと責めたい気持ちもあったがシーカーは何も言わずに頷く。
「分かってくれたならシーカー、お願いっす、今回だけは絶対に俺を止めないで欲しいっす」
アルフレッドの蒼眼がシーカーの瞳を捉える。
その眼には決して曲がらないであろう決意の火が灯っていた。
そして、その言葉の意味する事は一つしかない。
「アルフ、私はお前にそんな戦い方をして欲しくない」
「シーカーの気持ちはわかるっすよ、でも今回は譲れない、あのスカしたクソ野郎をぶん殴らないとハラワタが煮えくり返って竜の咆哮を連発しちゃうっすよ」
「ヤ・メ・ロ!」
ははは、とアルフレッドは笑うが、すぐに沈黙が訪れる。
「……………」
「……………」
長めの沈黙を破ったのは、アルフレッドだった。
「シーカー、俺は本当に変われるんすかね?」
「変われるかどうかはお前が変わろうとするかどうかという話になるな」
そりゃそーなんすけど、とアルフレッドは頬を掻く。
「しかし、少なくとも私は変わり始めていると思っているよ」
もちろんいい方向に、っとシーカーは付け加える。
そんなアルフレッドには心当たりが一つしかなかった。
「リリィって不思議なんすよね、なんか根本的に俺とは違うっていうか、あれはなんて表現したらいいんすかね?」
なんて、と聞かれても答えにくいな、と言いつつもシーカーは思案する。
「私が感じるのは不屈の意志といったところかな?
決して折れない訳ではないが芯が強くて理不尽には屈しないイメージ、そういう意味では確かにお前とは根本的に違うな」
「理不尽に屈しない、すか」
「お前は理不尽に折れてしまったがリリィは違う、そういうところが不思議で惹かれるんじゃないか?」
ああ、確かにとアルフレッドは納得してしまう。
「アルフ、私はお前を見ていると思うんだ。お前の歩む道がどうであれ幸せになって欲しいとそう思うんだよ、ただリリィと出会う前のお前の生き方ではそうはなれないと思っていた」
「それはまたなんでっすか?」
「お前がいつも自由な振りをしていたからだよ、本当はガチガチに固められている癖に、それが嫌な癖に、動ける範囲で自由な振りをする、そこにお前の意志はどこにあるんだ、とな」
アルフレッドはそう言われると言葉に詰まってしまう。
「…………」
「それを責めはしない、だがそういう意識を感じる行動をするお前を見る度に私は悲しくなっていたよ」
今は変わりつつあるがな、とシーカーは付け加える。
「俺は、別に、そんなつもりは無かったんすけどね……」
「さっきも言ったが、その事を責めはしない、お前を責める権利は私にはないからな。でもいつか、お前がそうしてた理由を自分から話してくれると私はとても嬉しいよ、アルフ」
そのいつか、というのは何時なのだろうか? とアルフレッドは思う。
でも、そう、いつか自分の中で整理がついたなら、話したいと、アルフレッドはそう思った。
「そろそろ時間か」
シーカーが時間を確認するともう時期レオナルドが指定した三十分が経過しようとしていた。
それでは頑張れよ、と一言残し、シーカーはその場をから立ち去ろうと踵を返す。
「シーカー、さっきの話なんすけど」
立ち去るシーカーを引き止め、アルフレッドは言った。
「いつになるかは分からないっす、でも、それを打ち明ける時は絶対にシーカーに聞いて欲しいって思ってるっす」
シーカーは何も言わずに頷いた。
*
シーカーが去った後、アルフレッドは静かに目を瞑っていた。
それは人の気配と喧騒を意識から消し去る為だ。
試験会場はいつの間にか観客席が満席になる程のお祭り騒ぎになっていた。
その原因はアルフレッドとレオナルドが決闘をする、という噂が風より早く学園内を駆け巡ったせいだろう。
観客席の生徒たちの中にはアルフレッドとレオナルド、どちらが勝つか賭け始める者も現れる始末だ。
そんな喧騒を意識から消し去る事に成功したアルフレッドは己が内の怒りと対面していた。
赤く燃える炎のような怒り。
それは血が滾った時と良く似ていた。
ーー自分が認めたくないから、そんな理由でリリィの努力を踏み躙ったヤツを俺は……。
これは本当は要らないはずの感情だと分かっている。
だけど、それを直視しない訳にはいかなかった。
「待たせたな」
響く声に、アルフレッドはゆっくりと目を開き、前を見据える。
「いくら最弱とはいえ貴様はEX職業だからな、一応最低限の準備をさせてもらったよ」
レオナルドは取り繕うような尊大な態度を取り戻していた。
何かに煽られるように饒舌に喋るレオナルドをアルフレッドはバッサリと切り捨てる。
「御託はいい、さっさとかかって来い」
不快そうにレオナルドは眉を顰める。
「あまり頭に乗るなよ?」
アルフレッドは呆れるように小さく嘆息して言った。
「俺のことが気に入らないんだろ? ならかかって来いよ、アンタの全てを叩き潰してリリィの目の前で土下座させてやるよ」
「クソガキが!!」
堪忍袋の尾が切れたと、戦闘開始の合図を待たずにレオナルドは持っていた杖を掲げて魔法を放った。
アルフレッドが知覚するより早く周囲を囲うように現れた魔法陣はすでに光を放っていた、回避をする間もなく魔法が発動する。
ズンッと体に掛かる負荷が増大する感覚がアルフレッドを襲う。
「はっ、どうだ通常の五倍の重量だ、指一本動かせないだろ」
したり顔を浮かべるレオナルドにアルフレッドは一喝する。
「しゃらくさい!」
アルフレッドはそう言って思い切り地面を蹴り凄まじい速度でレオナルドに突進する。
竜騎士の全力の膂力を受けた地面は底の岩盤が見える程の大きな亀裂が入っていた。
「ーーっ!!」
レオナルドは驚愕して一歩も動けなかったが、完全に捉えたはずのアルフレッドの拳は空を切った。
レオナルドは冷や汗を垂らしながら口元を歪める。
「幻影檻」
レオナルドは重力魔法を仕掛けると同時にもう一つ魔法を発動していた。
幻影檻という光の屈折を操り己の影を見せる魔法だ。
アルフレッドはその魔法の原理を知らないかったが直感的に目に映っているレオナルドは影に過ぎないと理解をする。
児戯のような魔法を見てアルフレッドはレオナルドを嘲笑する。
「子供騙しの重力、影。まるでハンデ付きの鬼ごっこだな」
存外、的を射ていたのかレオナルドは羞恥と怒りに顔を歪めて、黙れ!、と吠え立てる。
「影の爪」
憤慨したレオナルドは魔法の起動式を唱え、影の爪をアルフレッドに向かい放つ。
黒い刃は一つ二つと数を増やし、アルフレッドの眼前に迫るまでにその数を七つまでに増やした。
それは影の爪という魔法の特性だった。
影は当たる光の数で増減する。この魔法の原理においてもそれは変わらない、ただ違う点を上げるとすれば、増減した影には実態があるということだろう。
眼前に迫る影の刃、存在感を放っていることから、影自体に威力がある事はなんとなくアルフレッドも分かっている。だが、アルフレッドは構えもせずにただ前に進む。
影の刃がアルフレッドに触れるとその影は固い何かに当たったような音を立てて弾かれ霧散する。
「なっ!?」
挨拶程度の中級魔法とはいえ、防ぐことすらしないのは予想外だったのかレオナルドは絶句する。
アルフレッドは呆れを通り越し、同情するような視線をレオナルドに向ける。
「なあ、アンタ本当に特級魔法使いなのか? この重量魔法もそうだけど
まだベルベットの方が凄かったぞ?」
今までとは比にならない程の怒りがレオナルドの体を支配した。
これは自分の気まぐれのような決闘、怪我はさせても命だけは取るまい、とレオナルドはそう考えていたのだが、アルフレッドの言葉に理性の箍が外れる。
「もう、いい。ただのお遊びみたいなもんだったが、お前はここで殺してやる」
どこか血の気が失せた顔色でレオナルドはブツブツと小さな声で詠唱を始めた。
「どうでもいいけど隙だらけだぞ」
目の前に映るのはレオナルドは影、しかし、影の刃を放ったせいでその幻影檻の意味が無くなっていた。アルフレッドは既にレオナルドの気配を掴んでいる、この戦いの最中にそれを手放す事はないだろう。
長い詠唱の隙をアルフレッドが見逃さず一も二も無く殴りかかる、が、レオナルドの目の前で拳が見えない壁のような物に阻まれた。
「?」
身に覚えがある現象だ、とアルフレッドは考える。
ーーこれは俺の部屋に掛けられている魔法? なら、
「全力でぶん殴れば突破出来るってことだろ?」
全身に流れる血が瞬時に熱くなり、アルフレッドの蒼眼が金色に光る。
「雄々ォォォォォ」
今のアルフレッドに出せる全力。地を割り、地竜の鱗すら粉砕する程の膂力は鬩ぎ合うこともなく容易く障壁を突破する。
しかし、
「遅い」
レオナルドの魔法の完成の方が早かった。
「影の棺」
瞬間、アルフレッドに死の影が迫った。
リリィをベルベットに預け、アルフレッドとシーカーは試験会場の端で話し合いをしていた。
「勝ち目、勝ち目っすか。ハッキリ言うなら無いっすね」
「おい」
半眼で睨むシーカーを宥めるようにアルフレッドは言う。
「だって相手は特級の魔法使いっすよ? 俺みたいなボンクラ竜騎士に勝てる見込みがあるわけ無いじゃないっすか」
へらーとそんな事を言うアルフレッドにシーカーは怒張を含む声音で聞いた。
「ならなんで決闘なんか申し込んだんだ、お前の右肩にリリィの退学が掛かっているんだぞ?」
そう問われたアルフレッドは理由なんか決まっていると、自信満々に答える。
「リリィが泣いてたからっすよ。シーカーならこの意味、分かるっすよね?」
軽率な行動だと責めたい気持ちもあったがシーカーは何も言わずに頷く。
「分かってくれたならシーカー、お願いっす、今回だけは絶対に俺を止めないで欲しいっす」
アルフレッドの蒼眼がシーカーの瞳を捉える。
その眼には決して曲がらないであろう決意の火が灯っていた。
そして、その言葉の意味する事は一つしかない。
「アルフ、私はお前にそんな戦い方をして欲しくない」
「シーカーの気持ちはわかるっすよ、でも今回は譲れない、あのスカしたクソ野郎をぶん殴らないとハラワタが煮えくり返って竜の咆哮を連発しちゃうっすよ」
「ヤ・メ・ロ!」
ははは、とアルフレッドは笑うが、すぐに沈黙が訪れる。
「……………」
「……………」
長めの沈黙を破ったのは、アルフレッドだった。
「シーカー、俺は本当に変われるんすかね?」
「変われるかどうかはお前が変わろうとするかどうかという話になるな」
そりゃそーなんすけど、とアルフレッドは頬を掻く。
「しかし、少なくとも私は変わり始めていると思っているよ」
もちろんいい方向に、っとシーカーは付け加える。
そんなアルフレッドには心当たりが一つしかなかった。
「リリィって不思議なんすよね、なんか根本的に俺とは違うっていうか、あれはなんて表現したらいいんすかね?」
なんて、と聞かれても答えにくいな、と言いつつもシーカーは思案する。
「私が感じるのは不屈の意志といったところかな?
決して折れない訳ではないが芯が強くて理不尽には屈しないイメージ、そういう意味では確かにお前とは根本的に違うな」
「理不尽に屈しない、すか」
「お前は理不尽に折れてしまったがリリィは違う、そういうところが不思議で惹かれるんじゃないか?」
ああ、確かにとアルフレッドは納得してしまう。
「アルフ、私はお前を見ていると思うんだ。お前の歩む道がどうであれ幸せになって欲しいとそう思うんだよ、ただリリィと出会う前のお前の生き方ではそうはなれないと思っていた」
「それはまたなんでっすか?」
「お前がいつも自由な振りをしていたからだよ、本当はガチガチに固められている癖に、それが嫌な癖に、動ける範囲で自由な振りをする、そこにお前の意志はどこにあるんだ、とな」
アルフレッドはそう言われると言葉に詰まってしまう。
「…………」
「それを責めはしない、だがそういう意識を感じる行動をするお前を見る度に私は悲しくなっていたよ」
今は変わりつつあるがな、とシーカーは付け加える。
「俺は、別に、そんなつもりは無かったんすけどね……」
「さっきも言ったが、その事を責めはしない、お前を責める権利は私にはないからな。でもいつか、お前がそうしてた理由を自分から話してくれると私はとても嬉しいよ、アルフ」
そのいつか、というのは何時なのだろうか? とアルフレッドは思う。
でも、そう、いつか自分の中で整理がついたなら、話したいと、アルフレッドはそう思った。
「そろそろ時間か」
シーカーが時間を確認するともう時期レオナルドが指定した三十分が経過しようとしていた。
それでは頑張れよ、と一言残し、シーカーはその場をから立ち去ろうと踵を返す。
「シーカー、さっきの話なんすけど」
立ち去るシーカーを引き止め、アルフレッドは言った。
「いつになるかは分からないっす、でも、それを打ち明ける時は絶対にシーカーに聞いて欲しいって思ってるっす」
シーカーは何も言わずに頷いた。
*
シーカーが去った後、アルフレッドは静かに目を瞑っていた。
それは人の気配と喧騒を意識から消し去る為だ。
試験会場はいつの間にか観客席が満席になる程のお祭り騒ぎになっていた。
その原因はアルフレッドとレオナルドが決闘をする、という噂が風より早く学園内を駆け巡ったせいだろう。
観客席の生徒たちの中にはアルフレッドとレオナルド、どちらが勝つか賭け始める者も現れる始末だ。
そんな喧騒を意識から消し去る事に成功したアルフレッドは己が内の怒りと対面していた。
赤く燃える炎のような怒り。
それは血が滾った時と良く似ていた。
ーー自分が認めたくないから、そんな理由でリリィの努力を踏み躙ったヤツを俺は……。
これは本当は要らないはずの感情だと分かっている。
だけど、それを直視しない訳にはいかなかった。
「待たせたな」
響く声に、アルフレッドはゆっくりと目を開き、前を見据える。
「いくら最弱とはいえ貴様はEX職業だからな、一応最低限の準備をさせてもらったよ」
レオナルドは取り繕うような尊大な態度を取り戻していた。
何かに煽られるように饒舌に喋るレオナルドをアルフレッドはバッサリと切り捨てる。
「御託はいい、さっさとかかって来い」
不快そうにレオナルドは眉を顰める。
「あまり頭に乗るなよ?」
アルフレッドは呆れるように小さく嘆息して言った。
「俺のことが気に入らないんだろ? ならかかって来いよ、アンタの全てを叩き潰してリリィの目の前で土下座させてやるよ」
「クソガキが!!」
堪忍袋の尾が切れたと、戦闘開始の合図を待たずにレオナルドは持っていた杖を掲げて魔法を放った。
アルフレッドが知覚するより早く周囲を囲うように現れた魔法陣はすでに光を放っていた、回避をする間もなく魔法が発動する。
ズンッと体に掛かる負荷が増大する感覚がアルフレッドを襲う。
「はっ、どうだ通常の五倍の重量だ、指一本動かせないだろ」
したり顔を浮かべるレオナルドにアルフレッドは一喝する。
「しゃらくさい!」
アルフレッドはそう言って思い切り地面を蹴り凄まじい速度でレオナルドに突進する。
竜騎士の全力の膂力を受けた地面は底の岩盤が見える程の大きな亀裂が入っていた。
「ーーっ!!」
レオナルドは驚愕して一歩も動けなかったが、完全に捉えたはずのアルフレッドの拳は空を切った。
レオナルドは冷や汗を垂らしながら口元を歪める。
「幻影檻」
レオナルドは重力魔法を仕掛けると同時にもう一つ魔法を発動していた。
幻影檻という光の屈折を操り己の影を見せる魔法だ。
アルフレッドはその魔法の原理を知らないかったが直感的に目に映っているレオナルドは影に過ぎないと理解をする。
児戯のような魔法を見てアルフレッドはレオナルドを嘲笑する。
「子供騙しの重力、影。まるでハンデ付きの鬼ごっこだな」
存外、的を射ていたのかレオナルドは羞恥と怒りに顔を歪めて、黙れ!、と吠え立てる。
「影の爪」
憤慨したレオナルドは魔法の起動式を唱え、影の爪をアルフレッドに向かい放つ。
黒い刃は一つ二つと数を増やし、アルフレッドの眼前に迫るまでにその数を七つまでに増やした。
それは影の爪という魔法の特性だった。
影は当たる光の数で増減する。この魔法の原理においてもそれは変わらない、ただ違う点を上げるとすれば、増減した影には実態があるということだろう。
眼前に迫る影の刃、存在感を放っていることから、影自体に威力がある事はなんとなくアルフレッドも分かっている。だが、アルフレッドは構えもせずにただ前に進む。
影の刃がアルフレッドに触れるとその影は固い何かに当たったような音を立てて弾かれ霧散する。
「なっ!?」
挨拶程度の中級魔法とはいえ、防ぐことすらしないのは予想外だったのかレオナルドは絶句する。
アルフレッドは呆れを通り越し、同情するような視線をレオナルドに向ける。
「なあ、アンタ本当に特級魔法使いなのか? この重量魔法もそうだけど
まだベルベットの方が凄かったぞ?」
今までとは比にならない程の怒りがレオナルドの体を支配した。
これは自分の気まぐれのような決闘、怪我はさせても命だけは取るまい、とレオナルドはそう考えていたのだが、アルフレッドの言葉に理性の箍が外れる。
「もう、いい。ただのお遊びみたいなもんだったが、お前はここで殺してやる」
どこか血の気が失せた顔色でレオナルドはブツブツと小さな声で詠唱を始めた。
「どうでもいいけど隙だらけだぞ」
目の前に映るのはレオナルドは影、しかし、影の刃を放ったせいでその幻影檻の意味が無くなっていた。アルフレッドは既にレオナルドの気配を掴んでいる、この戦いの最中にそれを手放す事はないだろう。
長い詠唱の隙をアルフレッドが見逃さず一も二も無く殴りかかる、が、レオナルドの目の前で拳が見えない壁のような物に阻まれた。
「?」
身に覚えがある現象だ、とアルフレッドは考える。
ーーこれは俺の部屋に掛けられている魔法? なら、
「全力でぶん殴れば突破出来るってことだろ?」
全身に流れる血が瞬時に熱くなり、アルフレッドの蒼眼が金色に光る。
「雄々ォォォォォ」
今のアルフレッドに出せる全力。地を割り、地竜の鱗すら粉砕する程の膂力は鬩ぎ合うこともなく容易く障壁を突破する。
しかし、
「遅い」
レオナルドの魔法の完成の方が早かった。
「影の棺」
瞬間、アルフレッドに死の影が迫った。
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