通りすがりの竜騎士っすけど、何か?

ペケペケ

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第一章・最弱の魔法使い

第十九話

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「あれは流石にマズイかしら?」

 観客席から戦いを傍観していたベルベットがそう呟くと、その隣に座っていたシーカーも驚いたように言った。

「あれは上級重力魔法か? 個人でそんな大魔法を使えるとは流石は特級魔法使いと言ったところかな」

 しかし、見るからに危険な魔法に囚われたアルフレッドを見てしまったリリィはパニックになりながら席を立っていた。

「二人共なんでそんなに悠長にしてるの!? 助けないとアルフが死んじゃうよ!」

 慌てて駆け出そうとするリリィをシーカーが止める。

「待つんだリリィ」
「なんで止めるの!?」
「君があそこに行っても何も出来ない」

 シーカーにそう諭されると、リリィは愕然と膝を付き、そして、

「わ、ワタシのせいでアルフが死んじゃうよぉ」

 と、わんわんと泣き始めるリリィにシーカーは、これはどうしたらいいのだろうか? とベルベットに視線で助けを求める。

 すると、シーカーに対して小さく舌打ちをしてベルベットはリリィの頭を撫でる。

「リリィ、アルフのこと信じられない?」

 少しだけ考えて、リリィは小さく首を横に振る。

「心配なのはわかるわ、でも、もう少しだけ見てなさい、今にひょっこりあの魔法から抜け出すわよ」

 しゃくり上げながら、リリィはベルベットの顔を見る。

「ほんとに?」

 グズつくリリィの手を持って、ベルベットは口にする。

「本当よ、アルフは最弱だけど、この学園の中じゃ多分最強だから」

 そうベルベットが口にした瞬間、シーカーは突然泡を食ったように慌て始める。

「馬鹿なのかアイツは!! ファルファーレ!」

 突然の事にリリィは驚くが、ベルベットは驚きもせずにリリィに向けて言った。

「ね? すぐに出てくるわよ」

 その直後、会場を震撼させるような竜の咆哮が、耳をつんざく怒号が、アルフレッドを包んでいた黒い棺を破壊した。







「バカな、オレの……上級魔法が」

 レオナルドの目の前には確かに葬ったと確信した筈の男が立っていた。

「お前は、なんだ? お前は何者なんだ!」

 訳がわからないと狂乱しながらレオナルドは叫ぶがその叫びはアルフレッドには届いていなかった。

 何故なら、今までにない程、アルフレッドはスッキリとしていたからだ。

「なるほど、竜の咆哮ドラグ・ロアの本当の使い方はこうなんすね」

 晴れ晴れとした面持ちを浮かべるアルフレッドの体には血こそ流れていなかったが大小無数の傷が付いているが、そんな事も気にならないと自分の中で仮説を立てている。

「竜の咆哮は俺の気持ちを込めれば良かったんすね、使いたくないとか、使うとどうなるか分からないって感情が己を見失わせる原因だったと、いやぁ、我ながら実に馬鹿馬鹿しい話っすね」

 ははは、と笑うアルフレッド。

 竜の咆哮は己の戦闘意欲の鼓舞と相手に対する威嚇をするスキルだ。
 戦闘意欲を鼓舞するにあたり、戦いたくないとかやりたくないというマイナスの感情から無理やり鼓舞するのと、元々プラスだった感情を更に鼓舞するのでは、感情の振り幅が違う、アルフレッドはその感情の振り幅のせいで竜の咆哮を使うと我を見失っていたのだ。

「さて、と」

 馬鹿馬鹿しい結論に納得してアルフレッドはレオナルドに向き直る。

「まだ手札はあるんすよね? 俺はアンタの全てを叩き潰すって決めたんすよ、立ち上がってさっさと戦うっすよ」

 晴れ晴れとした表情から一転、厳しい視線をレオナルドに送ると、腰を抜かしたレオナルドが情けない声でアルフレッドに聞く。

「お、おま、お前は最弱なんじゃないのか?」

 ああ、なるほど、竜の咆哮のせいで萎縮してるのか、とアルフレッドは納得すると、レオナルドの背中に回りこんで平手で喝を入れる。

 バチコーンという音がして、レオナルドは何メートルも吹き飛ばされる。
 着地地点で痛みに悶えながらも、レオナルドは再度アルフレッドに問うた。

「お前は最弱のはずだろ! なんでこのオレの上級魔法を破れるんだ!」

 鼻息を荒くするレオナルドを見てアルフレッドはため息を吐く。

「俺は紛れもなく最弱っすよ? アンタがそれより弱かったってだけの話っす」

 最弱より最弱がいるのか? という疑問はさておき、アルフレッドの言葉にレオナルドは納得出来ないと騒ぎたてる。

「お、おかしいだろ、お前は今までこの学園の誰にも勝てないクズだった筈なのに」

 レオナルドの言いたい事が分からない、とアルフレッドは不思議そうな顔で事実だけを口にする。

「別におかしなことなんて何にもないっすよ、俺は最初から誰にも勝つつもりなんて無かったんすから」

 はっ? とレオナルドは固まる。

「良く考えてみて欲しいっす、本気で地面を蹴ったら抉れて、本気で殴ったら特級のアンタが作った魔法障壁だって破壊出来る、そんな奴が人に向けて勝ってやるって拳を振るえると思うんすか?」
「…………」

 その言葉に会場にいる誰もが呆然とする。
 二人の友を除いて。

「それに、なんか勘違いしてないっすか?」
「勘違い?」
「俺はこの学園の最弱じゃなくて、」


 竜騎士の中で最弱って呼ばれてるだけっすよ? 


 と、その言葉を聞いたレオナルドの顔から血の気が引いていく。

「お、と、お前、ま、まままさか、世界に八人しかい、いない竜騎士の中で、最弱と言われてた……だけ?」

 アルフレッドは軽く、コクリ、と頷いた。







 呆然とする観客席の人間たちの中には当然リリィも含まれている。

「はぇ?」

 ーー最弱ってそういう意味だったの? 最弱で良いって、八人しか居ない竜騎士の中の最弱だったからなの?

 少しだけ裏切られた気持ちになるリリィが表情に影を落とすと、それを察してか、シーカーが口を開いた。

「リリィ、アルフの名誉の為に訂正しておくが、アイツは優越感に浸っていたから自分は最弱で良いと言っていた訳ではないよ」

 リリィは内心を見透かされたようにドキリとする。

「アルフはなんでも良いんだと常々言っていたからね、そうなった理由は私も知らないのだが」

 シーカーに続いて、ベルベットもフォローをするようにアルフレッドはおかしなヤツだと喋り出す。

「アルフは変わったヤツなのよ、どうでも良いとか言って自分より遥かに雑魚のパシリも普通にするし、代わりに何かをやっといてって言われたら誰からの頼みだって聞いちゃうようなヤツなのよ」

 全く同感だと、シーカーも共感する。

「もっとEX職業として普通にしていればあそこまで馬鹿にされる事も無かっただろうに、誰にでもヘコヘコとした態度をすれば舐められるのは当然だと思わないか?」
「それ、分かるわ。そのクセいきなり馴れ馴れしくなったと思ったら無茶振りを始めるし、振り回すし」
「私がシャンとしろと言うと必ず臭い顔をするんだ、アイツは!」
「あと、すごい自分勝手よね」
「この前なんていきなり全力で戦えと言って来てな、戦わないと竜の咆哮ドラグ・ロアを耳元でするぞと脅されたんだ」
「それくらいなら良いじゃない、あーしなんて馬車の代わりに王都まで飛ばしてくれとか言ったのよあの馬鹿、それがどれだけ大変か分かってるのかしら」
「それだけじゃないアイツは、」

 と、アルフレッドへの愚痴が止まらなくなりそうだと判断したリリィは大きな声で会話を遮る。

「分かったよ! 分かったから、アルフに悪気も他意もないのは分かったから戦いをみよ? ね?」

 む、そうか、とシーカー。
 話が逸れていたわね、とベルベット。

「二人はアルフの事が大好きなんだね」

 リリィが何気なくそんな感想を口にすると二人は顔を赤くして争っている当人たちに目を向ける。

 ーーでもそっか、あの日、ワタシと同じ最弱で運命めいたものを感じるって言ってくれたのは本心だったんだ。

 少しでも疑いの気持ちを抱いた自分に嫌悪する、後で必ずアルフに謝ろうと心に決めると、

「リリィ、良く見てなさい、次の一撃で決着が付くわよ」

 赤面もどこへやら、ベルベットもシーカーも真面目な顔で闘技場のアルフを見ている。

「アルフ、頑張って」

 アルフレッドの無事を祈る様に両手を合わせてリリィは見守る。








 嘘だ、うそだ、とレオナルドは首を振る。

「嘘でもなんでも良いっすよ、アンタの気持ちなんてどうでもいい、俺はアンタの全てを潰してリリィに土下座させる、それだけっす」

 さあ、立つっすよ、とレオナルドにそう強いると、怯えた様子のレオナルドが情けない声を上げる。

「ふ、ふざけるな、こんな決闘は無効だ! は、話が違う」

 ハア? とアルフレッドは眉をひそめる。

「だ、第一あの女が鉱石魔術を使える保証なんてないじゃないか、オレは試験の内容に準じた正当な評価を下しただけだ、だからこんな勝負はーー」
「無効にする?」

 当たり前だ、と狼狽するレオナルドはアルフレッドの心情を読み取れない、いや、そんな事まで頭が回っていなかった、だから、再び自分が竜の逆鱗に触れている事に気付いていないのだ。

 怒り心頭のアルフレッドはこの戦いで初めてイタズラを思い付いた子供のように笑った。

 いつかベルベットは言っていた、アルフレッドは性格が悪い、と、そしてそれは全くその通りだった。

「もし、アンタがこの決闘を無効にしたら、上級魔法を人に向けて撃ったっていう事実はどうなるんすかね?」

 そ、それは、と顔面蒼白になるレオナルド。

「もしお互いが了承してないのにこんな大怪我をさせるほどの魔法を使ったアンタは魔法使いの職業の剥奪される、その罰をアンタが受け入れないなら、断罪人がアンタの首を取りにくるっすね」

 ニッコリと笑い、アルフレッドはそう言った。

 この世界では魔法を行使するに当たり幾つかのルールがある。
 一つ、魔法を行使し、悪事を働いてはならない。
 二つ、人の理に触れてはいけない。
 三つ、正当な理由も無しに、魔法で人に危害を加えてはならない。

 当然、正式な申請、当事者同士の取り決めによってはこのルールは適用されない場合もあるが、この決闘において約束を無効にし、それを無かった事にするのであればレオナルドは三つ目のルールに觝触する事になる。

 観客という証明もあり、もはやレオナルドが約束を破棄するという事は、ルールを破った処罰を受けるという事に他ならない。

 そう悟ったレオナルドは駄々をこねる子供のように地団駄を踏む。

「クソっ! くそ! 糞が!!」
「アンタ、もう詰んでるっすよ」

 笑みを消し、アルフレッドは静かに拳を構える。

「さあ、小細工だろうがなんだろうが、正面から叩き潰してやるっすよ、来い!」

 アルフレッドの怒声にレオナルドも腹をくくる。

 前門の竜騎士、後門の破滅、この二者択一なら選択するのは当然、

「アルフレッド・ドラグニカ、認めてやるよ、お前は最弱のようだが、弱者じゃない。このオレが辿り着いた対人魔法の究極を見せてやるよ」

 最後の奥の手、これこそレオナルドが創り出した最高にして至高の一撃。

 懐から取り出すのは一本の棒、寸尺およそ8センチ程の短い物だった。

 レオナルドがその棒を握り魔力を込めると、その棒は魔力に反応し長くなって行く。

「こ、この魔法を使えば、お前は恐らく死ぬ、これはハッタリでも何でもない、この魔法は対人におけるオレの最強の一撃だ、お前が降りるなら、」

 面倒だと一蹴するようにアルフレッドはその先の言葉を言わせなかった。

「御託はいいっすよ、撃つなら撃て、俺はそれを超えてアンタを殴る」

 馬鹿が、と舌打ちをしてレオナルドは魔法の発動のキーを口にする。

「影の王、不死の御身を司る死の鎌よ、我が魔力を喰らいてその力を示せ、〝死神の鎌デスサイズ〟」

 高密度の魔力が織り成す影の刃、その形は命を刈り取る鎌そのものだった。

 死神の鎌はある神霊を降霊術で降ろし、概念的な死の具現化をする陰魔法の極地の一つ、如何にEX職業の抵抗レジストを持ってしても概念的呪いを弾く事は出来ないだろう。

 しかし、アルフレッドは圧倒的な死の危険を目の当たりにしても負ける気がしなかった。

 何故なら、アルフレッドが生まれてから一度しか抜けなかった腰の剣がその刀身を解放しろと言わんばかりに熱を帯びたからだ。

「竜剣・ドラグニカ」

 竜剣を抜き払い、アルフレッドは構えを取る。

 抜き身の刀身は紅かった、禍々しくも力強く紅蓮の輝きを放つ竜剣を構え、アルフレッドは意識を集中する。

 見据えるは死神の鎌、あるいは死そのもの。

 死という概念が鎌に完全に定着すると、レオナルドは竜剣を構えるアルフレッドに向かい、死の刃を放った。

「死ねぇぇぇぇぇぇ、アルフレッドォォォォォォォォォ」

 レオナルドが咆哮と共に鎌を振り下ろす、すると鎌の刃だけがアルフレッドの首筋を目掛けて一直線に飛んで行く。

 迫りくる刃に、竜剣は紅く紅く輝き、そして、

 紅の一閃は死の影を打ち払った。

「これで終わりっすよ、レオナルド・オスロー」

 無駄な問答などはもはや不要、死を打ち砕いたアルフレッドはそれ以上の言葉もなく、レオナルドの顔面に深く拳を突き立てたのだった。


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