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醜い嫉妬(2)sideクオーツ
うんうん頷きながら顔の向きを正面に戻したラズは何ともなかったかのように話を再開する。
その間、密かに鼓動を早めた心臓を落ち着かせながらラズの話に耳を傾けた。
「そう、ラルド様──じゃないや、えっと、ラル…ドうー…慣れんな名前呼び。ラルドラルド……」
「……呼び方変えたんだ」
「そうしてくれ、って言われたから頑張ってるんだけどさぁ、長年の癖を変えるのって難しーっ!でも、かしこまった口調のせいで僕に翡翠の──前世の記憶があるって結び付かなかった、なんて言われたら改めるしかないよね……いやぁ~でもほんと、びっくりしちゃった……ラルドにもあったんだって、前世の記憶」
話題がコロコロ変わるラズの悪い癖。
本題をしれっと言われ、一瞬リアクションが遅れてしまった。
あの時、壁ひとつ挟んだ向こう側で二人の会話を聞いていた事を知らないラズには初めて聞いたような態度を取らなくてはいけないのに。
「なんでもっと早く気付かなかったんだろ、って思ったりもしたんだけどそれ以上にそれが今日わかって、嬉しくて、沢山懐かしい話をして、好きだった玉子豆腐も作ってくれて、だから、今は胸がいっぱい」
「……盛り上がっちゃった?」
私には入る余地のない、二人だけの思い出。
長年の想いが紐解かれ、愛が盛り上がってしまったのか───暗に込めた言葉の意味に純粋なこの子はやはり気付かない。
「それはもう、前世と今世のギャップあるあるでめちゃくちゃ盛り上がった」
「へぇ……そうなんだ」
またやってしまった……
どうしてチクリと刺すような言葉を口から出る前に呑み込めないのだろうか。
楽しそうに、にししっと笑うラズのお腹辺りで組む腕の力加減を誤らないようにするのに必死だった。
わかってる。
こうして自ら話してくれるということは一切やましい事がない純粋な気持ちでラルドと過ごしていたのだと、頭ではわかっていても、ふつふつと湧き上がる醜い嫉妬を抑えることができそうにない。
私がラルドの立場であれば、情に訴えあわよくば、を狙いに行く───
そんな考えすらも自分の心の狭さが浮き彫りになり余裕のなさが嫌になる。
「それを踏まえた上で改めてラルドから妊娠おめでとう、って言って貰えたのがなんか感慨深くて、つまりは蒼唯からも言ってもらえたって思ったら、嬉しかったんだ。それに、今後もそばで見守ってくれてるって考えたらすごく心強い!」
「……ラズはさ、生まれてすぐ記憶を思い出してそれからずっと……20年以上見守ってきた人も自分の事を覚えてたって判明したら、ラルドが好き、ってならなかったの?」
「へ?」
辞めておけ、と頭では警鐘が鳴り響く。
それでも口から出る言葉を止められなかった。
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