VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

文字の大きさ
27 / 228
本編

第15話 マヨイは装備の作成を依頼する。

しおりを挟む

「はい。組合員に対する福利厚生の一環として、この建物の2階から5階にある部屋の一室をお貸ししていますよ」

 僕は組合で[組合依頼:森猪の討伐]の達成報告と報酬の受け取りを終わらせた。ついでに暁から聞いた部屋を借りられるという話について聞くと、受付のおばさんは丁寧に説明してくれた。
 ただ暁が言っていた初回無料という話は最もグレードの低い部屋に限った話だった。受付のおばさんによるとグレードの高い部屋は基本的に貴族などとの取引をする場合に利用することになるらしい。僕は1番グレードの低い部屋を借りて暁とクレアちゃんと一緒に向かうことにした。

「ふぅ……クレアちゃん、スキルの派生について詳しく教えて貰えないかな。もちろん対価は払うからよ。エリアボスのドロップでもいい?」

 まだプレイヤーでエリアボスのドロップを持っているのは僕だけだ。エリアボスが安定して狩られるようになるまでは交渉材料になるだろう。僕は森大猪の魔石を取り出して2人に見せた。

「こ、これ、貰っていいんですか!」

「え、兄さんエリアボス倒したの!?」

「うん、ついさっきだけどね」

 それから僕は興奮した2人を鎮めるためアルテラ大森林でエリアボスを半ば擦りつけられたこと、やや(魔力弾の威力に)問題はあったものの無事に倒すことができたことを説明した。

「えっと、スキルの派生はスキルを使っているうちに起こる現象みたいです。わたしは加工の心得がスキルに武器加工の心得というスキルに派生しました。あ、でも加工の心得がなくなったわけじゃなくて、枝分かれみたいになってます」

 そう言ってクレアちゃんはステータスを見せてくれた。


◼︎パーソナル
名前:クレア
性別:女
位階:9
資質:狩人/加工
覚醒:なし
称号:弓神のお気に入り

◼︎ステータス
体力:138
魔力:138
筋力:23
耐久:14
器用:41
敏捷:32
知力:14
精神:14

◼︎スキル
①テイム
②加工の心得
 ┣武器加工の心得
 ┗装飾加工の心得
③弓術

◼︎装備
武器:初めて作った弓
胴装:街娘の服[服12/黒&黄]
背中:無限矢筒
脚装:街娘の服[脚7/黒&黄]
靴装:狩人の靴
装飾:初めて作ったメダル


「武器加工の心得は武器、装飾加工の心得は装飾品を作る時に補正っていうのが入るスキルです。心得系のスキルはシステムアシストっていうのを使わずに作ると派生するって教わりました」

「へぇ……なら私はシステムアシストを使わず農作業すれば対応したスキルが派生するのかな」

「アカトキ、農作業するの?知識あるの?」

「やらないし、ないけど」

 なら何故、生産の素質を選んだんだ……
 いや、ステータスの補正値目的なのは分かるけど少しもったいないように思える。

「それと気になったんだけど"弓神のお気に入り"って称号についても聞いていい?」

「はい。この弓を作った後に矢を作ってたんですけど上手くいかなくて……困ったたら変な声がしたんです。そうしたらこれを貰いました」


【弓神のお気に入り】
 これでいっぱい練習しなさい。
 神器:無限矢筒の獲得

名称:無限矢筒
分類:神器 背中装備
部位:背中
効果:魔力を消費して矢を生み出せる。
   消費する魔力量によって矢の威力が変動する。
制限:弓神と名のついた称号


「つ、強いね……」

 弓と言えば矢の残り本数によって攻撃回数が制限されてしまう武器だ。矢を作成するにしても購入するにしても倒す相手によっては収支面で赤字になってこともあるだろう。それを考慮せず魔力の消費だけで矢をれるのは大きいはずだ。

「はい、おかげで矢を削り出す必要が無くなりました」

 どうやらクレアちゃんは薪を買って矢を作ろうとしたらしい。なんでそこまで弓にこだわるのか疑問を思っていると、

「クレアはアーチェリーってスポーツをしてるの」

「へえ……」

 アーチェリーは機械で出来た弓を使う弓道みたいなもので夏期オリンピックの種目にもなっているスポーツだったはずだ。

「というか何でアカトキはスキルの派生について知らないのさ。昨日も一緒にやってたんじゃないの?」

「え、えっと、素材集めは手伝って貰ったんですけど、さすがに作業にまで付き合わせちゃうのはどうかと思ってアカちゃんがログアウトした後に作業したんです」

 どうやら暁の生産スキルは木材を伐採するのに適していたようで、それなりの量の木材を手に入れることができたらしい。ただ暁がログアウトしてから作業したため、暁は黒いライオンとは会っていない、ということのようだ。

「そ、それで、たぶん防具を作れば防具作成の心得みたいなものが貰えるんじゃないかなぁって思ってて、お兄さんの防具も作りたいんですけど……」

「そういうことなら、これも使ってよ。その代わりお代は少し安くしてくれると嬉しいかな」

 僕は森大猪の大牙と森大猪の背苔を取り出してクレアちゃんに渡した。背苔は名前とは裏腹に質感は苔というより岩に近いので、きっと防具の素材になるはずだ。まぁ、無駄になってもまたエリアボスを倒してくればいいだけなので別に困らない。

「武器は槍ですか?」

「あれ、槍が得意だなんて言った?」

「い、いえ……な、なんとなくです!」

 何となくて相手の得意な武器が分かるって凄いな。

「できれば短剣にできないかな?」

「短剣ですか?」

「間合いの短い武器は使いたくないとか言ってなかった?」

 もう何年も前のことなのに暁もよく覚えてるな。
 もちろん、武器を使うなら間合いの広いものを選ぶべきだというのが僕の持論は変わっていないけれど、今の僕に必要なのは攻撃するための武器ではなく防御に優れた武器なので、取り回しのいい短剣の方が使いやすいだろう。
 それに間合いで言えば槍より魔力弾の方が数倍はあるからね。

「まぁ……僕にも事情があるんだ。それでお代だけど」

「そ、その……よかったら、お代の代わり森大猪の背苔で籠手を作らせてください。これだけ大きければ1つで両腕の籠手くらいは作れると思うんです」

 籠手か。ないよりはあった方がいいだろうし、クレアちゃんからすればスキルを派生させるチャンスだ。僕のメリットの方が大きいように思えるけど、クレアちゃんがそれでいいというのなら問題ないだろう。

「もちろんOKだよ。僕の方が貰いすぎな気もするけど大丈夫?」

「はい、大丈夫です!任せてください!」


───────────────
お読みいただきありがとうございます。

アーチェリーについて私は詳しくないので細かい描写は無理です(おい
しおりを挟む
感想 576

あなたにおすすめの小説

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

処理中です...