28 / 228
本編
第16話 マヨイは除草する。
しおりを挟む僕からの装備作成依頼を受けたクレアちゃんは組合から借りられる作業場──正式名称をアルテラ組合加工業支援施設というらしい──で個室を借りるらしく、作業が終わるまでの約2時間ほど僕と暁は手隙になった。
「兄さん、せっかくだからパーティ組んで適当なクエスト受けない?」
「いいよ、どこ行く?」
クレアちゃんに森大猪だけでなく森猪の素材まで全て渡してしまったので金策をしたかった僕としては渡りに船だ。
「北の草原で狼を狩るのはどう?」
「でも上限で150Rだからなぁ……いっそ南の蛞蝓を相手にして「ヌメヌメしてるのは嫌!」……あ、はい」
どうやら暁はヌメヌメしたものが苦手らしい。
そんなわけで北の草原に出現する狼と蛇の討伐依頼をそれぞれ受けた僕らは北の草原に向かうことにした。
「ところでアカトキのステータスってどうなってるの?素質からしてタンク志望なのは分かるけど」
「こんな感じ」
◼︎パーソナル
名前:アカトキ
性別:女
位階:11
資質:戦士/生産/信徒
覚醒:なし
称号:なし
◼︎ステータス
体力:265
魔力:211
筋力:38
耐久:49
器用:16
敏捷:16
知力:27
精神:49
◼︎スキル
①挑発
②鉄壁
③頑健
④聖術
◼︎装備
武器:青銅の剣
副武:青銅の盾
胴装:アイアンアーマー
脚装:アイアンレギンス
足装:アイアンブーツ
装飾:小鳥のメダル
「スキルの3番目ってなんて読むんだ?」
「そこ!?これは頑健って読むらしいよ。クレアから教えて貰った」
「へぇ……効果は?」
「体力の最大値3割増加のパッシブ」
「普通に強いな」
「でしょ!」
それより2歳年下のクレアちゃんに読める漢字が読めない僕ってどうなんだ?
「この聖術っていうのは回復系のスキル?」
「そうだよ。ただ使える術の種類は色々な条件を達成する必要があるから少しめんどい」
暁のステータスからして信徒の素質を獲得したことで覚えたスキルだろう。ただ僕の習得可能リストには聖術ではなく神聖術というスキルしかなかったので、おそらく上位互換が神聖術なのだろう。もしヒーラーをする必要性が出てきたら習得するとしよう。
「生産の素質に関連するスキルがないってことは噴水のところにあった像にスキルを捧げたのか」
「うん。昨日の夜中にログインしたときに掲示板で素質やスキルも捧げられるって書いてあったから真似してみた。どうせ生産の素質さえ持ってればリストから覚えられるし」
それは流石に思い切りが良すぎやしないだろうか。
もし何も得られずスキルだけ失うなんて結果になってたらどうするつもりだったんだ。
「この小鳥のメダルってのは?」
「あ、これのこと?クレアが作ってくれたんだけど効果がなかなか強くてさ」
暁は胸元からメダルを取り出した。
メダルに開けられた穴には紐が通してあり首飾りのようになっている。
名称:小鳥のメダル
分類:装飾品 小物
部位:指定なし
効果:敏捷ステータスに対するマイナス補正の無効化
指定:アカトキ専用装備
もしかしなくてもクレアちゃんやばくね?
このゲームでは本来、金属製の防具を装備すると敏捷にマイナス補正が入ってしまう。それを無効にできるような装備はサービス開始2日目で作れていいものではないはずだ。
MMORPG初心者っぽい雰囲気だったし、変なプレイヤーに絡まれないか心配だ。
◆
組合を出てから5分ほどで北の草原に着いた。
アルテラ大森林にプレイヤーが流れたせいなのか、僕が思っていたよりプレイヤーの人影は少ない。
「そういえば兄さんのステータスまだ見せて貰ってない」
「まぁ……魔力弾連射する機械とでも思ってればいいよ。他に攻撃手段ないも同然だし」
接近戦ができないわけじゃない。
接近戦になっても殴るより魔力弾ぶっぱなした方がどう考えても強いだけだ。
「ビルドミス?珍しいね」
「まだ始まったばかりだし今後の成長に期待だな」
今の時点でならステータスでゴリ押せるかもしれない。
ただ、いずれ魔力弾だけでは倒せない敵が現れるはずだ。そうなった時のためにも魔力弾以外の攻撃手段が欲しい。
「それにしても街道からだと蛇を見つけるのきっついな」
「ね、草が膝くらいまであるから蛇がいても隠れちゃうし」
僕は草原という単語からサッカーの芝生が一面に広がっているようなイメージを持っていた。しかし、北の草原の街道沿いには膝丈ほどの草が多い茂っていた。これでは暁の言う通り蛇がいたとしても見つけるのは困難だろう。
「あ」
「どうしたの?」
「ちょっと良いこと思いついた」
魔力弾で草を薙ぎ払えば蛇も見つけやすくなるはずだ。
周りにプレイヤーもいないし構わないだろう。
「魔力弾(×100)」
「え」
北の平原に轟音が鳴り響く。
エリアボスを倒した時は事故みたいなものだったが、今回は着弾点をそれなりにバラけさせた。これで広範囲の草を除去できるはずだ。
「これで蛇も見つけやすくなるな」
「いやいやいやいや、おかしいでしょ!見てよ、もう草原じゃないじゃん!荒野じゃん、草も生えないわ」
「お、草がなくなったことと、笑えないことのダブルミーニングとはやるじゃん」
「ち、ちっがぁぁぁう!」
[Grass Snakeを42匹倒した]
[素材:草原蛇の魔石を42個獲得した]
[素材:草原蛇の抜け殻を35個獲得した]
[素材:草原蛇の血を11個獲得した]
[素材:草原蛇の瞳を5個獲得した]
[Grass Rabbitを3羽倒した]
[素材:草原兎の魔石を3個獲得した]
[素材:草原兎の尻尾を獲得した]
[Grass Snake Subspeciesを1匹倒した]
[素材:草原白蛇の魔石を獲得した]
[素材:草原白蛇の抜け殻を獲得した]
[素材:草原白蛇の瞳を獲得した]
[装備:白蛇の革ベルトを獲得した]
[称号:草原白蛇の討伐者]
[称号:自然の破壊者]
「…………ねぇ、もう兄さんだけでよくない?」
───────────────
お読みいただきありがとうございます。
気軽に感想お寄せください。
42
あなたにおすすめの小説
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる