VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

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本編

第20話 マヨイは装備を受け取る。

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「でも少し早かったかな」

「え、何が?」

「いや、クレアちゃん、装備ができるまで2時間くらいだって言ってたけど、まだ1時間半くらいしか経ってないじゃん」

「あーね、でも大丈夫だよ。クレアが兄さんを邪険にすることは

 少し暁の言い回しが気になったが、聞き返す前に組合に併設された共同作業場に到着して機会を逸してしまった。

「へぇ……共同って割には個室が並んでるんだな」

「それ私も思ったんだけど、組合の受付の人に聞いたら技術を盗んだ盗んでないってトラブルを避けるためなんだってさ。あ、そうそう、クレアは32号室だよ」

 どうやらフレンドコールで既に連絡を取っていたらしい。それならそうと早く言って欲しかった。フレンドコールとはフレンド登録したプレイヤー同士が通話できる機能だ。まだ僕にはフレンド登録した相手がいないので使用感などは分からないが、かなり便利そうではある。

「それにしても作業場って金槌の音が響いてるイメージがあったけど静かだな」

「そういえば確かに。なんでだろうね」

「それは全ての部屋に防音の魔道具が設置されているからですよ」

「「!?」」

 後ろに人がいるのは分かっていたけど、まさか声を掛けられるとは思わなかったため少し驚いた。振り向いた先にいたのは大柄な禿頭の眼帯をした厳つい顔付きの男性だ。
 彼の名前はテンモク、位階は10で素質はクレアちゃんと同じ狩人と加工の組み合わせに加えて、信徒の素質も持っているようだ。

「いや、驚かせてごめんね。俺はテンモクっていうんだ。ここに来るプレイヤーって少なくてさ、思わず声を掛けちゃったんだよ」

「あぁ……なるほど。僕はマヨイ、素質は魔術士だ。ここには知り合いのプレイヤーに会いに来たんだ」

「私はアカトキって言います。マヨイと同じでフレンドに会いに来ました」

「同業者かと思ったら違ったか。そうだ、もし鉱石が手に入ったら教えてくれないか。鍛治をしたいんだけど鉱石が素材屋でしか手に入らなくてさぁ……しかも高いし」

 どうやらアルテラの南西に生産や加工に必要な素材や道具を取り扱っている店舗があるらしい。僕は知らなかったが暁は心当たりがあるらしく頷いている。

「あそこ足元見てるよね。いいよー、フレンド申請するね」

「いいのか!いや、ありがてぇ。マヨイもいいか?」

「あ、それはダメ。マヨイ、たぶんフレンド登録まだ誰ともしてないでしょ?」

「あー、なるほど。そりゃダメだな。また機会があれば頼むわ」

「ん?」

 よく分からないが初めてのフレンド登録には何かあるらしい。テンモクとのフレンド登録はまたの機会を待つことになった。

「んじゃ、俺は作業するんで。また」

「またねー」

「また」

 テンモクは作業するため近くの個室に入っていった。生産や加工をメインに活動しているプレイヤーは少ないようなので頑張って欲しい。
 僕らはクレアちゃんの借りたらしい32号室へ向かった。

「クレアちゃん、マヨイだけど入ってもいいかな?」

 僕は32号室の扉を4回ノックして呼び掛けた。
 ノックを2回で済ませる人がいても僕はどうとも思わないが、ここら辺のマナーは父さんも母さんが煩いのだ。

「お兄さん!?は、はい、大丈夫です!」

 作業部屋に入ると作業中に出たんだと思われる細かなゴミが散乱していた。よく見ると全て『◯◯の端材』などの名前が付いていたので、これらも一応は素材扱いになるようだ。

「ごめんね、少し早く戻ってきちゃって」

「い、いえ、ちょうど籠手と短剣を作り終えたところです」


名称:憶苔おもいごけの籠手
分類:防具 腕
部位:腕
効果:筋力+5%
   器用+5%
条件:未設定


名称:猪突王の短剣
分類:武器 短剣
部位:武器
効果:筋力+5%
   敏捷+5%
条件:未設定


 比較対象がエリアボスの装備しかないので強いのかどうかは分からないけど、割合でステータスが強化されるのは僕にとってはありがたい。

「この条件の未設定っていうのは?」

「装備できる人を制限することで性能のアップさせることができるんです。クリアが難しい条件ほど性能を上げられるみたいなんですけど、まだ1種類しか設定できないからどんな制限にしようかなって……」

「その制限の内容ってなんでもいいの?」

「称号や名前は知っているものでないとリストに表示されないみたいです。それと神様に関する条件は付けられないです」

 称号や覚醒の名前で制限を掛けるのは無理か。
 あ、神様関連でなく珍しそうな称号ならあるじゃん。

「称号に"星に爪痕を残す者"っていうのがあるんだけど、それを条件にできないかな?効果はこんな感じ」


名称:星に爪痕を刻む者
分類:称号
効果:不利効果軽減(分類:自然/環境)
   有利効果軽減(分類:自然/環境)


 北の草原で無差別PKしたの一部を破壊した際に獲得した称号だ。獲得条件は環境や自然に分類される対象に1000万以上のダメージを短時間30秒で与えなければならず、更に攻撃対象の耐久値が残ってなければならないようだ。条件を知っていても条件を満たすのは容易ではない。

「できました!」


名称:憶苔おもいごけの籠手
分類:防具 腕
部位:腕
効果:修復
   筋力+15%
   器用+15%
制限:[称号:星に爪痕を残す者]


名称:猪突王の短剣
分類:武器 短剣
部位:武器
効果:修復
   筋力+15%
   敏捷+15%
条件:[称号:星に爪痕を残す者]


 装備するための条件が追加されたことでステータスの上昇値は3倍、更に修復という効果が追加された。これは完全に上位互換と言っていい性能だ。
 ちなみに修復は魔力を消費することで装備の耐久値を回復させる効果らしい。これは僕は知らなかったことだけど、装備は使い込むと性能が下がったり、最悪は修理不能になるまで壊れてしまうこともあるそうだ。それを回復させられるというのは大きなメリットだとクレアちゃんは力説してくれた。

「やりました!防具加工の心得を手に入れました!」

「え、これスキルで作ったんじゃないの?」

「籠手の手袋部分だけスキルで作っちゃいました……」

 籠手の細かな関節などを含めた他の部分はスキルに頼らず作ったということらしい。ゲーム特有の手順の省略などもあるかもしれないが、それでも短剣も含めて1時間弱で完成させられるものなのたろうか……

「す、すごいね」

「ありがとうございます」

「クレア、ほんと手先器用だよねー。羨ましい」

 手先が器用という次元ではないと思うけど、生産や加工をするつもりのない僕が気にしても仕方ないことだろう。

「え、えっと、お兄さん」

「ん、どした?」

「よかったら付き合ってください!」


───────────────
お読みいただきありがとうございます。
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