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本編
第42話 マヨイはカウントダウンする。
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残酷描写が苦手な方はご注意ください。
───────────────
⚫︎マヨイ
『マヨイは優し……ううん、ツンデレ?』
僕が自分の計画をフレンドコールでオリオンさんに伝えた直後の反応がコレだ。僕はツンデレというのは暁みたいな自分に素直になれない性格の持ち主が発症するものだと思っている。
だから僕はツンデレじゃない。
『そこは"優しい"って言い切って欲しかったかな』
『ふふっ……でも、すごく残酷』
まぁ……トラウマになってもおかしくない仕打ちだとは思う。たぶん、僕がチャラ王の立場なら性格が変わるくらいの精神的なダメージを受けるだろう。だからと言って計画を変更するつもりはない。
『僕の価値観はだいぶ歪んでるからね。自覚できている分だけマシなんだろうけど、自覚してても感情ってのはコントロールが難しいから』
『ごめんなさい……』
オリオンさんは僕や藍香の価値観が歪んだ原因が自分たちにあると思っている節があるけど、それは間違った認識だ。僕らの価値観や倫理観はずっと前から歪んでたと思う。
『いいって、気にしてないから。それじゃよろしく』
『うん、任せて』
チャラ王が訓練場にやってきたのは僕がオリオンさんとのフレンドコールを切った数分後だった。昨日アルテラの組合で目にした時にも持っていなかった2本の大剣を背負っている。
「待たせちまったな」
「いえ、突然押しかけて情報を出し渋った上、それを渡すのに条件をつけたのは僕の方ですからね。いくらでも待ちますよ。決闘の申請を送りますね」
「延長戦サドンデスってのはなんだ?」
「勝者なしの引き分けは僕としても困りますからね。制限時間の5分を過ぎた時点で互いの残り体力の割合が同じ場合は以後、僅かでもダメージを負った側の敗北になるルールです」
「分かった。それでいい」
[決闘の申請が受諾されました]
[30秒後に決闘を開始します]
彼の助けたいNPCの余命は30分前後だ。
制限時間に関係なくチャラ王の立場なら速攻以外の選択肢は頭にないだろう。慎重になられても面倒そうなので助かる。アイテム欄から装備できるというのに武器を隠してないのがいい証拠だ。僕なら直前まで装備しない。
[残り5秒]
アイテム欄からゲーム開始初日に果物屋で購入した"名工のナイフ"を装備する。何故"猪突王の短剣"ではないかというと単純に今回の計画には"名工のナイフ"が最適だからだ。
名前:名工のナイフ
分類:道具 武器 短剣
効果:不壊
器用+10
制限:対象制限[分類:食材]
不壊は"耐久性が0にならない"という効果だ。
器用のステータスが10上昇したところで誤差なところはスルーするとして、これならチャラ王の背負っている野次馬曰くワイバーンの素材から作られたらしい大剣と打ち合っても問題ないだろう。
そして僕が"名工のナイフ"を選択した最大の理由は制限にある"対象制限[分類:食材]"の部分だ。これは"食材に分類されないものに対してダメージを与えられない"という意味らしく、これならばチャラ王にダメージを与えないで済むと考えたのだ。
[決闘開始]
「はぁぁぁぁぁ!!」
決闘が開始されて早々にチャラ王が大剣を抜くなり僕に向かって投擲してきた。はっきり言って想定外の攻撃だけど、回転しながら飛んでくる大剣の速度は回避が難しいほど速いものではない。
「挑発!らぁっ!」
僕が飛んできた大剣を横に避けることで回避した直後、チャラ王は僕に対して挑発スキルを使用してきた。この挑発スキル、藍香の話では状態異常を与えることも可能らしいのでチャラ王もそれ狙いだろう。
挑発スキルと同時に背中から抜き放たれた大剣を更に横にステップして回避する。
「おらぁっ!!」
振り下ろした大剣が地面に当たる直前、跳ねるように僕を追ってきたが回避してチャラ王の背後に回り込む。
今の大剣の軌道を強引に曲げたのはスキルだろうか。派生という可能性もあるけど、派生だとしたら何が出て来るか分からないな。
「何処行った!?……があ゛っ」
どうやら僕を見失っているようだ。背後からチャラ王の右腕を斬りつけた……というか斬り飛ばしてしまった。幸いなことにチャラ王にはダメージが入っていない。どうやら"名工のナイフ"の制限はダメージを与えられないだけで斬ることは可能らしい。
当初の予定ではチマチマと"名工のナイフ"を当ててチャラ王にストレスを与えるだけのつもりだったんだけど……これはこれで悪くない。
「だぁっ!」
攻撃されたことで僕の位置を掴んだらしいチャラ王が左腕だけで大剣を背後にいた僕に振るってきた。回避するのも悪くないけど、こう回避ばっかだと飽きてくるので"名工のナイフ"で受け止めて押し返す。筋力のステータスでは負けていそうなので瞬間的に"狂狼化"を使うのを忘れない。
「なっ!?」
たたらを踏んだチャラ王に追撃を掛ける。
さすがに大剣の取り回しは短剣には及ばないらしく、チャラ王が大剣を構え直す前に左腕を斬り飛ばすことに成功した。まだチャラ王の体力は全く減っていない。
「なんで俺はダメージを受けてない?」
両腕を斬り飛ばされたのにダメージを受けていはい事に気づいたチャラ王が僕を視界に納めながら問いかけてくる。どうやら諦めてはいないらしい。
「この短剣のギミックだよ。この短剣では人にダメージを与えられないんだ。まさか斬り飛ばしてもダメージが入らないとは思わなかったけどね」
にじり寄ってくるところを見ると次は蹴りかな。
魔術という線も考えたけど、魔術媒体らしきものを身につけているようには見えない。でも僕のようにアバターの一部を魔術媒体にしている可能性もある。留意しておこう。
「何でそんな武器を使ってんだ、よっ」
予想通りの蹴りに"名工のナイフ"を合わせて右脚の膝上から下を斬り落とすと、バランスを崩したチャラ王は地面に倒れ込んでしまった。
「あぁ……両腕と右脚だけじゃバランスが悪いね」
というわけで倒れたチャラ王の左脚を押さえてチャラ王にも理解でにるよう"名工のナイフ"の刃をゆっくりと通す。
「や、やめっ、やめろぉぉ」
「煩いなぁ……黙れよ」
左脚を切断された直後のチャラ王の声が耳障りだったので思わず喉を裂いてしまった。さすがに人体の急所を裂いてしまえば即死してしま……あれ?
「え、なんで生きてんの?」
「……知らねぇよ、さっさと殺せ」
目の前には両腕と両足を切断され、喉を裂かれたチャラ王が横たわっている。まるでスプラッタ映画に出てくるオブジェのようだ。これ以上は死体蹴りな気もするけど、本人はまだ元気だし声は出るようなので予定通り進めようと思う。
ちなみにチャラ王は現在、降参できない状態にある。
なぜ降参ができないのかと言うと決闘システムの仕様上、メニューを操作して降参のタブをタップしなければならないからだ。本来なら、会話の中で「降参」という単語を使っただけで負けみたいな、本人にとって不本意な敗北を回避するための仕様なんだろう。ただ今回はそれが裏目に出てしまっている。あとで忘れなければ修正の要望を出しておこう。
「なんで自殺できねぇんだよ!?」
そして何よりも場所が悪い。オリオンさんの話では訓練場では自傷行為によるダメージが発生しないそうだ。これはゲーム初日に"流星群"のメンバーでアバターの動作確認をした際に分かったことらしく、今はまだあまり知られてない仕様なのだとか。案の定、チャラ王はこの仕様を知らなかったらしく必死になって地面に頭を打ち据えている。
[決闘残り時間1分]
まだ決闘の残り時間はいくらでもある。
そろそろ本番といこう。
ここからは本格的にチャラ王の精神を削っていく。
「1586、1585、1584、1583……」
「は?」
「いや、僕は優しいからカウントダウンしてあげようかなって思ってさ」
「カウント、ダウン?」
「そう、カウントダウン。誰の何かまでは説明しないけどね。1560、1559、1558……」
メニューの時計機能を使ってカウントダウンを進めていく。
[サドンデスモードに移行します]
チャラ王もカウントダウンが1530を切ろうとしたところで通常の決闘からサドンデスにルールが変更された。たった1でもダメージを受ければ負けてしまう特殊ルールだ。チャラ王が魔術を使用する可能性も考慮して安全な距離からカウントダウンを続ける。
「1490、1489、1488、1487……」
「……!?まさか、おい、てめぇ!?」
「あぁ……やっと気づいた?」
「ふざけんな!さっさと殺せよ!」
「1481、1480、1479……答え合わせしよっか?」
「門番のおっちゃんの余命だってんだろ!?」
「ははは、ははは、ははははッッ、その答えが出るにはもう少し掛かると思ってたよ。まぁカウントダウンが終わるまでは殺してあげないんだけどね!」
…………………………………
……………………………
………………………
「57、56、55、54、53……」
「こんなの、こんなのあんまりだ!!さっさと殺してくれ、頼む、お願いだ!」
「あのさ、この程度で喚かないでよ。お前が僕に迷惑を掛けた代償だと思えば安いもんだろ?」
「なんの権利があって、こんなこと!」
「おいおい、ただの腹いせに権利も何もないだろ?」
「腹いせ?ふざけんな!」
「僕からすれば晒し行為やハラスメント、詳しくは知らないけど恐喝紛いの行為にまで手を染めた迷惑プレイヤーの存在の方が『ふざけんな』だよ。掲示板で反省したって書き込んだだけで許されるとでも思ってたの?」
「それは……」
言い淀むってことは自覚があるんだろう。
「君は自分の行いが原因であの門番のNPCを助けられい。まさに自業自得ってやつだよ。ほら、そろそろ最後のテンカウントだ。10、9、8、7……」
「あ、あぁぁ……」
[決闘に勝利しました]
「5、4、3……ってあれ?」
カウントダウンを最後まで言い切る前にチャラ王は消えてしまった。何かの不具合というよりは精神的な負担が原因の強制ログアウトだろう。なんとも締まらない結末になってしまったが、彼の絶望感に満ちた表情が僕の鬱憤を多少は晴らしてくれた。僕の情報を掲示板に晒した件はこれで手打ちにしてあげよう。
ひとまず僕はチャラ王との決闘を実況配信していたであろう藍香の元へ向かうことにした。
───────────────
お読みいただきありがとうございます。
運営「こいつはやべぇ……」
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⚫︎マヨイ
『マヨイは優し……ううん、ツンデレ?』
僕が自分の計画をフレンドコールでオリオンさんに伝えた直後の反応がコレだ。僕はツンデレというのは暁みたいな自分に素直になれない性格の持ち主が発症するものだと思っている。
だから僕はツンデレじゃない。
『そこは"優しい"って言い切って欲しかったかな』
『ふふっ……でも、すごく残酷』
まぁ……トラウマになってもおかしくない仕打ちだとは思う。たぶん、僕がチャラ王の立場なら性格が変わるくらいの精神的なダメージを受けるだろう。だからと言って計画を変更するつもりはない。
『僕の価値観はだいぶ歪んでるからね。自覚できている分だけマシなんだろうけど、自覚してても感情ってのはコントロールが難しいから』
『ごめんなさい……』
オリオンさんは僕や藍香の価値観が歪んだ原因が自分たちにあると思っている節があるけど、それは間違った認識だ。僕らの価値観や倫理観はずっと前から歪んでたと思う。
『いいって、気にしてないから。それじゃよろしく』
『うん、任せて』
チャラ王が訓練場にやってきたのは僕がオリオンさんとのフレンドコールを切った数分後だった。昨日アルテラの組合で目にした時にも持っていなかった2本の大剣を背負っている。
「待たせちまったな」
「いえ、突然押しかけて情報を出し渋った上、それを渡すのに条件をつけたのは僕の方ですからね。いくらでも待ちますよ。決闘の申請を送りますね」
「延長戦サドンデスってのはなんだ?」
「勝者なしの引き分けは僕としても困りますからね。制限時間の5分を過ぎた時点で互いの残り体力の割合が同じ場合は以後、僅かでもダメージを負った側の敗北になるルールです」
「分かった。それでいい」
[決闘の申請が受諾されました]
[30秒後に決闘を開始します]
彼の助けたいNPCの余命は30分前後だ。
制限時間に関係なくチャラ王の立場なら速攻以外の選択肢は頭にないだろう。慎重になられても面倒そうなので助かる。アイテム欄から装備できるというのに武器を隠してないのがいい証拠だ。僕なら直前まで装備しない。
[残り5秒]
アイテム欄からゲーム開始初日に果物屋で購入した"名工のナイフ"を装備する。何故"猪突王の短剣"ではないかというと単純に今回の計画には"名工のナイフ"が最適だからだ。
名前:名工のナイフ
分類:道具 武器 短剣
効果:不壊
器用+10
制限:対象制限[分類:食材]
不壊は"耐久性が0にならない"という効果だ。
器用のステータスが10上昇したところで誤差なところはスルーするとして、これならチャラ王の背負っている野次馬曰くワイバーンの素材から作られたらしい大剣と打ち合っても問題ないだろう。
そして僕が"名工のナイフ"を選択した最大の理由は制限にある"対象制限[分類:食材]"の部分だ。これは"食材に分類されないものに対してダメージを与えられない"という意味らしく、これならばチャラ王にダメージを与えないで済むと考えたのだ。
[決闘開始]
「はぁぁぁぁぁ!!」
決闘が開始されて早々にチャラ王が大剣を抜くなり僕に向かって投擲してきた。はっきり言って想定外の攻撃だけど、回転しながら飛んでくる大剣の速度は回避が難しいほど速いものではない。
「挑発!らぁっ!」
僕が飛んできた大剣を横に避けることで回避した直後、チャラ王は僕に対して挑発スキルを使用してきた。この挑発スキル、藍香の話では状態異常を与えることも可能らしいのでチャラ王もそれ狙いだろう。
挑発スキルと同時に背中から抜き放たれた大剣を更に横にステップして回避する。
「おらぁっ!!」
振り下ろした大剣が地面に当たる直前、跳ねるように僕を追ってきたが回避してチャラ王の背後に回り込む。
今の大剣の軌道を強引に曲げたのはスキルだろうか。派生という可能性もあるけど、派生だとしたら何が出て来るか分からないな。
「何処行った!?……があ゛っ」
どうやら僕を見失っているようだ。背後からチャラ王の右腕を斬りつけた……というか斬り飛ばしてしまった。幸いなことにチャラ王にはダメージが入っていない。どうやら"名工のナイフ"の制限はダメージを与えられないだけで斬ることは可能らしい。
当初の予定ではチマチマと"名工のナイフ"を当ててチャラ王にストレスを与えるだけのつもりだったんだけど……これはこれで悪くない。
「だぁっ!」
攻撃されたことで僕の位置を掴んだらしいチャラ王が左腕だけで大剣を背後にいた僕に振るってきた。回避するのも悪くないけど、こう回避ばっかだと飽きてくるので"名工のナイフ"で受け止めて押し返す。筋力のステータスでは負けていそうなので瞬間的に"狂狼化"を使うのを忘れない。
「なっ!?」
たたらを踏んだチャラ王に追撃を掛ける。
さすがに大剣の取り回しは短剣には及ばないらしく、チャラ王が大剣を構え直す前に左腕を斬り飛ばすことに成功した。まだチャラ王の体力は全く減っていない。
「なんで俺はダメージを受けてない?」
両腕を斬り飛ばされたのにダメージを受けていはい事に気づいたチャラ王が僕を視界に納めながら問いかけてくる。どうやら諦めてはいないらしい。
「この短剣のギミックだよ。この短剣では人にダメージを与えられないんだ。まさか斬り飛ばしてもダメージが入らないとは思わなかったけどね」
にじり寄ってくるところを見ると次は蹴りかな。
魔術という線も考えたけど、魔術媒体らしきものを身につけているようには見えない。でも僕のようにアバターの一部を魔術媒体にしている可能性もある。留意しておこう。
「何でそんな武器を使ってんだ、よっ」
予想通りの蹴りに"名工のナイフ"を合わせて右脚の膝上から下を斬り落とすと、バランスを崩したチャラ王は地面に倒れ込んでしまった。
「あぁ……両腕と右脚だけじゃバランスが悪いね」
というわけで倒れたチャラ王の左脚を押さえてチャラ王にも理解でにるよう"名工のナイフ"の刃をゆっくりと通す。
「や、やめっ、やめろぉぉ」
「煩いなぁ……黙れよ」
左脚を切断された直後のチャラ王の声が耳障りだったので思わず喉を裂いてしまった。さすがに人体の急所を裂いてしまえば即死してしま……あれ?
「え、なんで生きてんの?」
「……知らねぇよ、さっさと殺せ」
目の前には両腕と両足を切断され、喉を裂かれたチャラ王が横たわっている。まるでスプラッタ映画に出てくるオブジェのようだ。これ以上は死体蹴りな気もするけど、本人はまだ元気だし声は出るようなので予定通り進めようと思う。
ちなみにチャラ王は現在、降参できない状態にある。
なぜ降参ができないのかと言うと決闘システムの仕様上、メニューを操作して降参のタブをタップしなければならないからだ。本来なら、会話の中で「降参」という単語を使っただけで負けみたいな、本人にとって不本意な敗北を回避するための仕様なんだろう。ただ今回はそれが裏目に出てしまっている。あとで忘れなければ修正の要望を出しておこう。
「なんで自殺できねぇんだよ!?」
そして何よりも場所が悪い。オリオンさんの話では訓練場では自傷行為によるダメージが発生しないそうだ。これはゲーム初日に"流星群"のメンバーでアバターの動作確認をした際に分かったことらしく、今はまだあまり知られてない仕様なのだとか。案の定、チャラ王はこの仕様を知らなかったらしく必死になって地面に頭を打ち据えている。
[決闘残り時間1分]
まだ決闘の残り時間はいくらでもある。
そろそろ本番といこう。
ここからは本格的にチャラ王の精神を削っていく。
「1586、1585、1584、1583……」
「は?」
「いや、僕は優しいからカウントダウンしてあげようかなって思ってさ」
「カウント、ダウン?」
「そう、カウントダウン。誰の何かまでは説明しないけどね。1560、1559、1558……」
メニューの時計機能を使ってカウントダウンを進めていく。
[サドンデスモードに移行します]
チャラ王もカウントダウンが1530を切ろうとしたところで通常の決闘からサドンデスにルールが変更された。たった1でもダメージを受ければ負けてしまう特殊ルールだ。チャラ王が魔術を使用する可能性も考慮して安全な距離からカウントダウンを続ける。
「1490、1489、1488、1487……」
「……!?まさか、おい、てめぇ!?」
「あぁ……やっと気づいた?」
「ふざけんな!さっさと殺せよ!」
「1481、1480、1479……答え合わせしよっか?」
「門番のおっちゃんの余命だってんだろ!?」
「ははは、ははは、ははははッッ、その答えが出るにはもう少し掛かると思ってたよ。まぁカウントダウンが終わるまでは殺してあげないんだけどね!」
…………………………………
……………………………
………………………
「57、56、55、54、53……」
「こんなの、こんなのあんまりだ!!さっさと殺してくれ、頼む、お願いだ!」
「あのさ、この程度で喚かないでよ。お前が僕に迷惑を掛けた代償だと思えば安いもんだろ?」
「なんの権利があって、こんなこと!」
「おいおい、ただの腹いせに権利も何もないだろ?」
「腹いせ?ふざけんな!」
「僕からすれば晒し行為やハラスメント、詳しくは知らないけど恐喝紛いの行為にまで手を染めた迷惑プレイヤーの存在の方が『ふざけんな』だよ。掲示板で反省したって書き込んだだけで許されるとでも思ってたの?」
「それは……」
言い淀むってことは自覚があるんだろう。
「君は自分の行いが原因であの門番のNPCを助けられい。まさに自業自得ってやつだよ。ほら、そろそろ最後のテンカウントだ。10、9、8、7……」
「あ、あぁぁ……」
[決闘に勝利しました]
「5、4、3……ってあれ?」
カウントダウンを最後まで言い切る前にチャラ王は消えてしまった。何かの不具合というよりは精神的な負担が原因の強制ログアウトだろう。なんとも締まらない結末になってしまったが、彼の絶望感に満ちた表情が僕の鬱憤を多少は晴らしてくれた。僕の情報を掲示板に晒した件はこれで手打ちにしてあげよう。
ひとまず僕はチャラ王との決闘を実況配信していたであろう藍香の元へ向かうことにした。
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