123 / 228
本編
第108話 マヨイはダンジョンに行きたい。
しおりを挟む⚫︎マヨイ
名称:アルテラ地下大迷宮
分類:ダンジョン
説明:地龍アルテラによって作られた迷宮。
龍の力を持ったモンスターが多く生息している。
詳細:全1024階層
総面積およそ25600㎢
「……ダンジョン?」
ダンジョンというのは英語で地下牢とか土牢という意味だけど、ゲームでは迷宮のような入り組んだ構造物のことを指す場合がほとんどだ。
……ある意味、僕らのギルドホームもダンジョンかもしれない。
「入口は……海岸線から少し離れたところか。行ってみよ」
ダンジョンがどんなものなのか気になった僕は地図を頼りにダンジョンに向かうことにした。もちろん、藍香たちとの約束があるので戦闘になったら逃げるつもりだ。
「それにしても最短ルートまで表示してくれるとか便利過ぎるって……同じような他の街の地図ってあるのかな」
地図の"道程検索"を使って最短ルートを検索すると地図に矢印の付いた青色の線が表示された。これは本当に便利な機能だと感心しながら一歩踏み出したところで僕の足は止まる。なぜなら矢印が示した目の前の道はどう考えても人が通れそうになかったのだ。
「…………いくら僕のアバターが小柄でも、これは無理かなー」
"道程検索"は役に立たないと結論付けた僕は今まで使って来なかった暗殺術の技能に統合された隠密技能を使用してから飛行技能を使うことにした。
「どうか見つかりませんように……」
隠密技能は使用者が自分で解除するか、もしくはダメージを受けるまで基本的に第三者から認識されなくなる技能だ。これだけ聞くと凄く強そうな技能なのだけど、探索技能を使われるだけで簡単に見つかってしまう上、隠密技能を使用中は敵性技能が使えなくなってしまうのだ。
「対人ならともかく、対モンスターに効果が薄いのもよくないよね……」
実際に確認したわけじゃないけれど、視覚を誤魔化すだけらしいので音や匂いなどで相手を認識するモンスターには効果が薄いという報告が掲示板の狩人スレッドに書かれているのを見た。
しかし、プレイヤーから飛んでいる姿を隠す分には有用……のはずなので今回は大丈夫だろう。街中で探索技能を使う人はいないはずだ。もし万が一、そんな奇特なプレイヤーがいたとしても、僕が飛行する高高度までを探索技能の範囲に含められなければ問題ない。
…………………………………
……………………………
………………………
人目の少なそうな磯にに降りた僕は隠密技能を解除してダンジョンの入口に向かう途中、小さな関所のようなのもがあった。詰めているのは軽装の合間から鍛えられた筋肉が見え隠れする騎士のような人たちだ。
「この先に進むには許可証が必要になる。許可証は持っているか?」
「持ってないです。どこで発行して貰えますか?」
「この先に何があるか分かっていて言っているのか」
「ダンジョンですよね?」
「はぁ……そうだ。ダンジョンに入るため許可証が必要になるのは常識だぞ。お前、もしかして渡界人か?」
「はい。そう呼ばれてるみたいです」
都会に住んでるわけじゃないけど、なんて寒いギャグが脳裏を掠めたけど無視する。ちなみに渡界人とはNPCがプレイヤーのことを指す場合に使われる呼称の1つだ。他にも異世界人とか落ち人なんて呼び方をしてくるNPCもいるらしい。統一されてないのが何故かは知らない。紛らわしいから統一して欲しい。
「なら仕方ないか。許可証を発行しているのは領主様と組合だ。危険度が低いダンジョンなら組合からの許可証だけでも入れるが、この先にあるような危険度の高いダンジョンに入る場合は領主様からの許可証が必要になるんだ」
「アルテラには代官……様がいるんですよね?」
「あぁ……これも知らなかったのか。確かにアルテラには代官としてタイザ様がいらっしゃるが、エイト領のダンジョンは基本的に全て領主様が管理されているんだ。で、領主様からダンジョン内の探索と周辺警備を任されているのが俺ら騎士隊だ」
領内のダンジョンを領主が管理している理由は気になるので機会があればウォルターに直接聞いてみよう。
「優秀なんですね」
「エイト領主軍所属の新人騎士は全員が経験するんだってよ。なんでも若い内にモンスターとの戦闘経験を積ませたいんだとよ。まから関所の仕事は割と適当だぞ?なにせ1度通した事のある相手がいるパーティなら基本的に顔パスだしな」
「えぇ……いいんですか、それ?」
「上層は俺ら騎士でも何とかなるが中層以下はウォルター様クラスでないと倒せないようなバケモンばっかだからな。どうせ実力の足りてない奴らはダンジョンの中で死ぬだけさ。自己責任ってやつだ」
ウォルターは英雄とも呼ばれているNPCだ。そんなキャラクターでなければ勝てないと言われるモンスターはどのくらい強いのか興味が湧いてきた。イベントとかどうでもいいからダンジョンに挑戦してみたい。
「分かった。色々とありがとう!」
「あ、おい!」
「ん?」
「領主様から許可証を貰うには先に組合から許可証と推薦状を貰う必要があるからな?」
「そうだよね、いきなり領主様に会いに行っても普通は会ってくれないよね」
「そういうことだ。はぁ……渡界人ってのか、みんなお前みたいな感じなのか?」
「どういうこと?」
「領主様ってのはな、そんな友達の家に遊びに行こうってノリで行って会えるお人じゃねぇんだぞ?分かってんのか?」
英雄だなんて呼ばれているくらいだし、彼もウォルターを尊敬している設定なんだろう。見下されているようで少しムカつくけど、この程度でNPCにキレても僕に何のメリットもないので素直に謝っておこう。
「ごめんね」
「ま、いいさ。許可証を発行して貰うのは大変だろうけど頑張れよ」
その後、人目のない場所へ移動した僕は隠密技能と飛行技能を併用してアルテラの組合近くまで移動したところでログアウトすることにした。昼飯の時間には少し早いけれど、暁がログアウトする前に暁が盗撮された動画を母さんに見せておきたいからだ。
───────────────
お読みいただきありがとうございます。
関所の先に何があるのか知らない(答えられない)場合は普通に追い返されます。
41
あなたにおすすめの小説
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる