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本編
第108話 マヨイはダンジョンに行きたい。
しおりを挟む⚫︎マヨイ
名称:アルテラ地下大迷宮
分類:ダンジョン
説明:地龍アルテラによって作られた迷宮。
龍の力を持ったモンスターが多く生息している。
詳細:全1024階層
総面積およそ25600㎢
「……ダンジョン?」
ダンジョンというのは英語で地下牢とか土牢という意味だけど、ゲームでは迷宮のような入り組んだ構造物のことを指す場合がほとんどだ。
……ある意味、僕らのギルドホームもダンジョンかもしれない。
「入口は……海岸線から少し離れたところか。行ってみよ」
ダンジョンがどんなものなのか気になった僕は地図を頼りにダンジョンに向かうことにした。もちろん、藍香たちとの約束があるので戦闘になったら逃げるつもりだ。
「それにしても最短ルートまで表示してくれるとか便利過ぎるって……同じような他の街の地図ってあるのかな」
地図の"道程検索"を使って最短ルートを検索すると地図に矢印の付いた青色の線が表示された。これは本当に便利な機能だと感心しながら一歩踏み出したところで僕の足は止まる。なぜなら矢印が示した目の前の道はどう考えても人が通れそうになかったのだ。
「…………いくら僕のアバターが小柄でも、これは無理かなー」
"道程検索"は役に立たないと結論付けた僕は今まで使って来なかった暗殺術の技能に統合された隠密技能を使用してから飛行技能を使うことにした。
「どうか見つかりませんように……」
隠密技能は使用者が自分で解除するか、もしくはダメージを受けるまで基本的に第三者から認識されなくなる技能だ。これだけ聞くと凄く強そうな技能なのだけど、探索技能を使われるだけで簡単に見つかってしまう上、隠密技能を使用中は敵性技能が使えなくなってしまうのだ。
「対人ならともかく、対モンスターに効果が薄いのもよくないよね……」
実際に確認したわけじゃないけれど、視覚を誤魔化すだけらしいので音や匂いなどで相手を認識するモンスターには効果が薄いという報告が掲示板の狩人スレッドに書かれているのを見た。
しかし、プレイヤーから飛んでいる姿を隠す分には有用……のはずなので今回は大丈夫だろう。街中で探索技能を使う人はいないはずだ。もし万が一、そんな奇特なプレイヤーがいたとしても、僕が飛行する高高度までを探索技能の範囲に含められなければ問題ない。
…………………………………
……………………………
………………………
人目の少なそうな磯にに降りた僕は隠密技能を解除してダンジョンの入口に向かう途中、小さな関所のようなのもがあった。詰めているのは軽装の合間から鍛えられた筋肉が見え隠れする騎士のような人たちだ。
「この先に進むには許可証が必要になる。許可証は持っているか?」
「持ってないです。どこで発行して貰えますか?」
「この先に何があるか分かっていて言っているのか」
「ダンジョンですよね?」
「はぁ……そうだ。ダンジョンに入るため許可証が必要になるのは常識だぞ。お前、もしかして渡界人か?」
「はい。そう呼ばれてるみたいです」
都会に住んでるわけじゃないけど、なんて寒いギャグが脳裏を掠めたけど無視する。ちなみに渡界人とはNPCがプレイヤーのことを指す場合に使われる呼称の1つだ。他にも異世界人とか落ち人なんて呼び方をしてくるNPCもいるらしい。統一されてないのが何故かは知らない。紛らわしいから統一して欲しい。
「なら仕方ないか。許可証を発行しているのは領主様と組合だ。危険度が低いダンジョンなら組合からの許可証だけでも入れるが、この先にあるような危険度の高いダンジョンに入る場合は領主様からの許可証が必要になるんだ」
「アルテラには代官……様がいるんですよね?」
「あぁ……これも知らなかったのか。確かにアルテラには代官としてタイザ様がいらっしゃるが、エイト領のダンジョンは基本的に全て領主様が管理されているんだ。で、領主様からダンジョン内の探索と周辺警備を任されているのが俺ら騎士隊だ」
領内のダンジョンを領主が管理している理由は気になるので機会があればウォルターに直接聞いてみよう。
「優秀なんですね」
「エイト領主軍所属の新人騎士は全員が経験するんだってよ。なんでも若い内にモンスターとの戦闘経験を積ませたいんだとよ。まから関所の仕事は割と適当だぞ?なにせ1度通した事のある相手がいるパーティなら基本的に顔パスだしな」
「えぇ……いいんですか、それ?」
「上層は俺ら騎士でも何とかなるが中層以下はウォルター様クラスでないと倒せないようなバケモンばっかだからな。どうせ実力の足りてない奴らはダンジョンの中で死ぬだけさ。自己責任ってやつだ」
ウォルターは英雄とも呼ばれているNPCだ。そんなキャラクターでなければ勝てないと言われるモンスターはどのくらい強いのか興味が湧いてきた。イベントとかどうでもいいからダンジョンに挑戦してみたい。
「分かった。色々とありがとう!」
「あ、おい!」
「ん?」
「領主様から許可証を貰うには先に組合から許可証と推薦状を貰う必要があるからな?」
「そうだよね、いきなり領主様に会いに行っても普通は会ってくれないよね」
「そういうことだ。はぁ……渡界人ってのか、みんなお前みたいな感じなのか?」
「どういうこと?」
「領主様ってのはな、そんな友達の家に遊びに行こうってノリで行って会えるお人じゃねぇんだぞ?分かってんのか?」
英雄だなんて呼ばれているくらいだし、彼もウォルターを尊敬している設定なんだろう。見下されているようで少しムカつくけど、この程度でNPCにキレても僕に何のメリットもないので素直に謝っておこう。
「ごめんね」
「ま、いいさ。許可証を発行して貰うのは大変だろうけど頑張れよ」
その後、人目のない場所へ移動した僕は隠密技能と飛行技能を併用してアルテラの組合近くまで移動したところでログアウトすることにした。昼飯の時間には少し早いけれど、暁がログアウトする前に暁が盗撮された動画を母さんに見せておきたいからだ。
───────────────
お読みいただきありがとうございます。
関所の先に何があるのか知らない(答えられない)場合は普通に追い返されます。
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15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
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