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本編
第111話 マヨイは鬱屈とする。
しおりを挟む⚫︎マヨイ
[復活地点を選択してください]
・アルテラ
・テコ
・ソプラ
・エイト
ちょっと(かなり?)情け無い死に方をした僕はテコでリスポーンすることにした。アルテラでリスポーンするよりも用事のあるテコにデスルーラした方が効率的だと判断したからだ。
そしてリスポーンした直後、フレンドリストから確認できる僕の現在地がアルテラ大森林からテコに瞬間移動するのを偶然目撃したらしい藍香からフレンドコールが掛かってきた。
さすがに死んだ状況を説明するのは恥ずかしかったけど隠してもしょうがないので大まかにあったことを説明する。
『……ごめん、真宵。もう1度、聞いてもいいかしら』
『地上で魔力弾を使ったら地面が抉れて転倒、そこに巻き上げた土とか諸々が降ってきて回避する間もなく埋もれて窒息死しました……』
もう少し平静を保てれば降ってきた土を魔力弾で吹き飛ばすなどして対処できたはずだ。魔力を使いすぎて飛行技能が使えなかった時点で軽くパニックを起こしたのもよくない。最低限、飛行技能を使う分の魔力は残しておくべきだった。
『窒息って状態異常じゃないのかしら』
『さすがに物理的な窒息は状態異常扱いじゃないみたいだね』
進化してから地上で魔力弾を使ってなかったにも関わらず空から攻撃するのと同じ密度の弾幕を張ったのも良くなかった。しかし、これまで散々頼ってきた状態異常無効が働かない場合があるのを知れたのは大きな収穫だ。他にも似たようなパターンがないか色々と調べておきたい。
『それでもマヨイのステータスなら何とでもなったんじゃない?』
『土に埋もれた段階で地上がどっちか分からなくなったんだよね。なぜか土の中だと魔力弾が使えくてあっという間に死んじゃったよ』
テコにリスポーンしてから運営に問い合わせた結果、魔力弾が使えなくなったのはバグではなく仕様らしい。当たり前だけど、どんな仕様かについては教えてくれなかった。なので機会があれば似たような状況を作って検証しておきたい。原因が分かれば対応もおのずと見えてくるはずだ。
『今はテコにいるのよね?』
『南門のリスポーンエリアにいるよ』
テコの組合にダンジョンの情報を聞きに行きたかったから結果的にデスルーラしたのは僕にとって都合が良かったと言える。VRでの自傷行為は倫理的に褒められた行為ではないし、もちろん積極的に使いたい手段ではない。けれど、だからと言って便利な移動手段を利用しない手はないもの事実だ。ここら辺は運営がどう判断するかによるだろう。
『アルテラの噴水広場に犯罪者プレイヤーが大量にリスポーンして乱闘になったそうよ』
そういえば犯罪者プレイヤーを倒したことで彼らが持っていた装備品以外のアイテムや掲示板で何度か見た犯罪者プレイヤーを倒さなければ手に入れることの出来ない"穢れた人魂"というアイテムを入手することもできた。この"穢れた人魂"は対人装備を作る際に重宝するアイテムらしいのでクレアちゃんに何個か譲ろう。
『あれだけ混雑してるとこに犯罪者プレイヤーが50人近く現れたらパニックにもなるか……ちょっと悪いことしちゃったかな』
噴水広場にいたプレイヤーの位階は高くても30前後だったはずだ。覚醒しているプレイヤーが6人もいる犯罪者プレイヤー側が圧倒的に有利だろう。
『結果、アルテラとソプラでしかリスポーン出来ない犯罪者プレイヤーはロストするまでリスキルされてるわよ。そっちは?』
『え、覚醒持ちもいたと思ったけど……よく倒せたね』
かなり意外だ。ちなみにリスキルとはリスポーンキルの略語で、復活地点で待ち伏せして何度も何度も繰り返し殺す行為のことだ。ゲームによっては相当に嫌われる行為なのだけど、今回のように相手が犯罪者プレイヤーなら「いいぞ、もっとやれ」みたいな空気になったりもする。
『アルテラは近場にいたらしい槍使いの女性が、ソプラはKING'Sのプレイヤーが中心になって倒したいるわね。それと話は変わるのだけど、暁がお昼以降ログインしてこないのよ。何か知ってる?』
『あぁ……たぶん母さんに怒られてる最中だと思うよ』
母さんはゲームが絡むと沸点が低く、そして説教が長くなる傾向にある。たぶん、まだ中盤に差し掛かったところだろう。
『何があったのよ……』
『それは────』
オリオンが僕と会っていた場面を盗撮されたこと、それを撮ったプレイヤーが過去に暁やクレアちゃんを盗撮したものを掲示板に投稿していたこと、そのプレイヤーが規約違反行為をしていたため通報したことを藍香に伝えると──
『マヨイから言うのも気まずいでしょうし、クレアの方は私からキツく言っておくわ』
家族でもない異性を相手に「盗撮されてたよ」と伝えるのは一歩間違えばセクハラだ。同性の藍香から言って貰った方が角が立たないだらう。
『クレアちゃんの両親には母さんから連絡が行くだろうから加減してあげてよ?』
『ほどほどにしておくわ』
なんか心配になってきたけど、任せるしかない。
クレアちゃん、強く生きてくれ。
…………………………………
……………………………
………………………
「こちらが"蜂の巣"の簡易マップと内部で出現する主だったモンスターの資料になります」
「ありがとうございます」
テコの組合に行ったもののブライトが不在だったため、別の受付係のNPCからテコの近くにあるらしい"蜂の巣"と呼ばれるダンジョンの情報を購入した。入口は前に僕がゴーレムで遊んでいた場所から少し西に行ったところらしい。アルテラ大迷宮と同じく騎士が関所のようなものを設けているから見れば分かるそうだ。
「そこまで強いモンスターは出ないみたいだけど……」
とりあえず僕は組合のエントランスで購入した資料に目を通すことにした。資料によると出現するモンスターは蜂ばかり、ボスも"宝石蜂"と呼ばれる蜂のモンスターのようだ。このボスの名前は変異種のリストでも見たことがあるけれど、今の僕のステータスを考えれば間違いなく格下の相手だ。しかし、生理的に無理な羽虫のモンスターの巣窟へ向かわなければならないと思うと鬱屈とした気分になる。
「……挑むのはイベント終わってからにしようか、うん」
藍香からも今日はレベリングしないで欲しいと言われているし、このまま加工施設を借りて中断していたゴーレムの核を人工魔石に加工する作業の続きをしよう。
───────────────
お読みいただきありがとうございます。
死因:土砂の下敷きになって窒息死
宵が羽虫を苦手にしている設定を覚えてる方がいれば嬉しい。
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自筆です。
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