8 / 228
番外編
母の日 君たちが飛ぶまで連荘やめない。
しおりを挟む
※注意事項
麻雀用語が複数出てきますが用語解説はありません。
また下ネタも含まれています。
───────────────
⚫︎藍香(小学3年生)
あたしのお母さんはプロ雀士です。
おっとりとした口調とプロ雀士としてデビューしてから公式戦で1度もマイナスになったことがないトップ率5割超という圧倒的な強さ、そしてアラサーには見えないモデルと言われても違和感のない容姿で大人気なんだって。
「あいか~ビール出してぇ~」
「お母さん飲みすぎだよ!」
「まら1ダース飲んれないわぁ~」
でも家にいる時のお母さんはメディアの前に出る時とは別人と言っていいほどだらけ切っているの。お父さん曰く「このキャップが可愛いんだよ」だって。
「もうベロンベロンじゃない。明日は対局あるんでしょ?」
「らいじょうぶらって。わらしが負けるわけないれしぉ?」
大丈夫には見えないから心配しているのに……
明日の対局は母の日記念で子持ちの女性雀士が集まって対局するんだって。
◆
「夏間さん、お子さんが配信者始めたんですって?」
「好きな男の子と一緒にいる時間を増やしたいって祐樹さんに相談したみたいなのよ。男の子のご両親も乗り気で、あれよあれよという間にデビューしちゃったわ」
「海外のマイナーなプロゲーマーを呼んで八百長したんですってね」
「なんのことかしら」
「普通に考えて10歳の女の子がプロとして活動してる大人に勝てるわけないじゃない」
「夏間さんも男性と対局する時、手を抜いて貰ってるって話をききましたよ」
「手で抜いてあげてる、の間違いじゃなくて?」
「「ははは」」
「ふぅ……私も全力を尽くすわ。よろしくね」
◆
翌日、あたしはネット中継されている会場の関係者控室でお母さんの対局を観戦しているの。残すはオーラスのみ、お母さんは現在最下位だ。麻雀は実力だけでなく運が大きく介在するゲームだから、いくらお母さんでも役満の親被りを食らってから逆転するのは難しいと思う。
『さて、これでオーラス。最後の局となるのか、それとも奇跡の逆転劇を見せてくれるのか。解説の緒方さんどう思いますか』
『そうですね。東4局での役満の親被りが響いて現在最下位の夏間がラス親で挽回できるか注目ですね』
『夏間と言えば彼女はプロ雀士公式戦になってから1度もマイナスになったことがないことで有名ですね。ついに土が付いてしまうのでしょうか!?』
『では配牌を見ていきましょう。まずは親の夏間ですが配牌で一向聴!しかもこれは──』
『ええ、いい形ですね。これなら断么や平和、上手く五筒を自摸れれば三色もありえますよ!』
『南家の後藤も悪くない配牌ですね』
『はい、対子が4つあります。七対子かな?』
『現在トップの西家の錦戸は少し悪いか?』
『そうですね。余程のことがなければトップは意地できますから慎重に打ちたいところ』
『そして現在2位の佐々井は……これは──』
『対子の白と中、上手く引ければ逆転もありえますよ!』
お母さんはオーラスの親だけど、トップとの点差は36500点もある。2位との点差だって10000点近くある。はっきり言って絶望的、そんな状況での逆転を狙える好配牌が来た。お父さんはよく「お母さんは牌に愛されているんだよ」って言ってるけど、お母さんが愛してるのはお父さんとあたしだけだから浮気じゃありません!
お母さんは立直・自摸・断么・平和・三色・一盃口でトップとの差を一気に詰めると、次の局でトップから立直・断么・七対子・ドラ2をあがって逆転した。
七対子で地獄待ちって普通はしないし、相手のおばさんも凄く驚いてる。
『いやぁ……まさか、まさかの展開でしたね。まさに牌に愛されている、とでもいうんでしょうか』
『いやぁ……強かった!』
普通ならここで止めてお母さんの勝ちという場面だから司会と解説の人たちも、そしてあたしも完全に終わったものだと錯覚していた。
『え、続行?』
『夏間、まさかの続行です。何があったんでしょう?』
まさかの続行。あとで聞いた話だけど「2日酔いで点数計算するのが面倒になったから全員飛ばすことにしたのよ」とのこと。事実、お母さんは鬼気迫る表情で他家を飛ばすまで連荘し続けた。
それから毎年開催されている母の日の記念対局企画にお母さんは呼ばれなくなった。
───────────────
お読みいただきありがとうございます。
過去一短くなってしまいました。
ちなみに藍香母のやったことはマナー違反です。
実際の対局なら強制終了させられるんじゃないかな?
麻雀用語が複数出てきますが用語解説はありません。
また下ネタも含まれています。
───────────────
⚫︎藍香(小学3年生)
あたしのお母さんはプロ雀士です。
おっとりとした口調とプロ雀士としてデビューしてから公式戦で1度もマイナスになったことがないトップ率5割超という圧倒的な強さ、そしてアラサーには見えないモデルと言われても違和感のない容姿で大人気なんだって。
「あいか~ビール出してぇ~」
「お母さん飲みすぎだよ!」
「まら1ダース飲んれないわぁ~」
でも家にいる時のお母さんはメディアの前に出る時とは別人と言っていいほどだらけ切っているの。お父さん曰く「このキャップが可愛いんだよ」だって。
「もうベロンベロンじゃない。明日は対局あるんでしょ?」
「らいじょうぶらって。わらしが負けるわけないれしぉ?」
大丈夫には見えないから心配しているのに……
明日の対局は母の日記念で子持ちの女性雀士が集まって対局するんだって。
◆
「夏間さん、お子さんが配信者始めたんですって?」
「好きな男の子と一緒にいる時間を増やしたいって祐樹さんに相談したみたいなのよ。男の子のご両親も乗り気で、あれよあれよという間にデビューしちゃったわ」
「海外のマイナーなプロゲーマーを呼んで八百長したんですってね」
「なんのことかしら」
「普通に考えて10歳の女の子がプロとして活動してる大人に勝てるわけないじゃない」
「夏間さんも男性と対局する時、手を抜いて貰ってるって話をききましたよ」
「手で抜いてあげてる、の間違いじゃなくて?」
「「ははは」」
「ふぅ……私も全力を尽くすわ。よろしくね」
◆
翌日、あたしはネット中継されている会場の関係者控室でお母さんの対局を観戦しているの。残すはオーラスのみ、お母さんは現在最下位だ。麻雀は実力だけでなく運が大きく介在するゲームだから、いくらお母さんでも役満の親被りを食らってから逆転するのは難しいと思う。
『さて、これでオーラス。最後の局となるのか、それとも奇跡の逆転劇を見せてくれるのか。解説の緒方さんどう思いますか』
『そうですね。東4局での役満の親被りが響いて現在最下位の夏間がラス親で挽回できるか注目ですね』
『夏間と言えば彼女はプロ雀士公式戦になってから1度もマイナスになったことがないことで有名ですね。ついに土が付いてしまうのでしょうか!?』
『では配牌を見ていきましょう。まずは親の夏間ですが配牌で一向聴!しかもこれは──』
『ええ、いい形ですね。これなら断么や平和、上手く五筒を自摸れれば三色もありえますよ!』
『南家の後藤も悪くない配牌ですね』
『はい、対子が4つあります。七対子かな?』
『現在トップの西家の錦戸は少し悪いか?』
『そうですね。余程のことがなければトップは意地できますから慎重に打ちたいところ』
『そして現在2位の佐々井は……これは──』
『対子の白と中、上手く引ければ逆転もありえますよ!』
お母さんはオーラスの親だけど、トップとの点差は36500点もある。2位との点差だって10000点近くある。はっきり言って絶望的、そんな状況での逆転を狙える好配牌が来た。お父さんはよく「お母さんは牌に愛されているんだよ」って言ってるけど、お母さんが愛してるのはお父さんとあたしだけだから浮気じゃありません!
お母さんは立直・自摸・断么・平和・三色・一盃口でトップとの差を一気に詰めると、次の局でトップから立直・断么・七対子・ドラ2をあがって逆転した。
七対子で地獄待ちって普通はしないし、相手のおばさんも凄く驚いてる。
『いやぁ……まさか、まさかの展開でしたね。まさに牌に愛されている、とでもいうんでしょうか』
『いやぁ……強かった!』
普通ならここで止めてお母さんの勝ちという場面だから司会と解説の人たちも、そしてあたしも完全に終わったものだと錯覚していた。
『え、続行?』
『夏間、まさかの続行です。何があったんでしょう?』
まさかの続行。あとで聞いた話だけど「2日酔いで点数計算するのが面倒になったから全員飛ばすことにしたのよ」とのこと。事実、お母さんは鬼気迫る表情で他家を飛ばすまで連荘し続けた。
それから毎年開催されている母の日の記念対局企画にお母さんは呼ばれなくなった。
───────────────
お読みいただきありがとうございます。
過去一短くなってしまいました。
ちなみに藍香母のやったことはマナー違反です。
実際の対局なら強制終了させられるんじゃないかな?
10
あなたにおすすめの小説
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる