VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

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本編

第135話 アカトキは我慢している。

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⚫︎マヨイ

「約束ぶっちしてカフェで駄弁ってんじゃねぇよ。ほら、イベント行くぞ!」

 カフェの最奥に近い席に座る僕らとところまで一直線にやってきた4人組の先頭を歩いていた男は何の挨拶もなくツッコミどころ満載のセリフを言い放った。

「アカトキ、彼らは?」

「さっき言った迷惑プレイヤー。もちろん約束なんてしてないから」

「はぁ!?約束しただろ!」

 暁と約束があると主張しているプレイヤーの名前はタクヤ。素質や覚醒、位階に関しては非公開にしているけれど、背中の大剣と金属鎧から前衛タイプなのは間違いないだろう。

「してない。証拠でもあるの?」

「何言ってんの、タクヤが嘘つくわけないじゃん」

 暁の子どもっぽい言い返しに反論したのは4人組唯一の女性であるサーヤというプレイヤーだ。素質は属性魔術士と神官、覚醒は持っていないようだ。位階は40と平均的なプレイヤーと同程度、きっとパーティを組んでいるタクヤも似たような位階だろう。

「つか、関係ないやつが口出すことじゃねぇし」

「そーそー、引っ込んでろよ」

 僕に対して文句を言っているのは残りの男性プレイヤー2人だ。
 いかにも魔術士然とした格好をしているのがルシフェル、素質は法術士と魔術士、覚醒はなし。位階は47と高めだけど明らかに名前負けしてる感は否めない。もう1人の名前はイェーガー。素質は狩人と狙撃手、覚醒は弓術士だ。位階は45と高めだけどクレアちゃんの下位互換にしか見えてない。ちなみに武器はクレアちゃん製の──常識的な性能をした──弓のようだ。

「ま、そういう訳だから無関係な奴は引っ込んでろよ」

「僕も本当に無関係なら特に口を出すことじゃないけれどね。妹と妹の友達が困ってれば口くらい出すさ」

「は?」

「で、無関係がなんだって?」

 そういえば鳥野クリスも同じような論調だったな。同じ考えを持ったプレイヤーが集まることはあるだろうけど、彼らの場合はそもそもが現実での交友関係から始まった集団だ。ここまで偏った考え方が蔓延するのは不自然な気がする。

「暁が妹ってことは前の生徒会副会長だろ」

「え、ってことは男?」

「それが?」

 もしかしたら彼らの考えは誰かに誘導されたものかもしれない。その可能性があるなら少しは優しい対応をしてあげてもいいんじゃないか、そんな僕の考えはタクヤの次の発言で吹き飛んだ。

「ってことはネカマかよ。キモすぎんだけど」




⚫︎アカトキ

「今、なんて言った?」

 お兄ちゃんは性別を勘違いされるのが嫌で名前と性別は公開情報に設定している。それなのに馬鹿なクラスメイトたちは踏んではならない地雷を躊躇なく踏み抜いた。

「はっ、とかマジでキモいから死ねっつったんだよ!」

「もしかして男に構って欲しくてネカマしてんじゃね?」

「ホモかよ!マジでキメェわ」

 お兄ちゃんを侮辱されて私も暴力衝動に駆られている。
 でも街中で彼らを攻撃すれば犯罪者プレイヤーになってしまう。それ自体は構わないのだけど、それでお兄ちゃんたちに迷惑が掛かるのは絶対に嫌だ。藍香お姉ちゃんも同じ考えなのか動こうとしない。あ、お姉ちゃんは録画しているだけか。目が据わっているし凄い怒ってそう。

「僕はパーソナルでプレイヤー名と性別を公開してあるんだけど、小学校低学年レベルの漢字を読めないと学校の勉強について行くのは大変そうだね。知り合いに塾講師してる人がいるから紹介しようか?」

 お兄ちゃんの知り合いで塾講師なんていたっけ?
 お兄ちゃんの交友関係を全て知ってるわけじゃないけど、そんな人の話は聞いたことないや。ちょっと気になるなぁ……。

「てめっ……ふざけんじゃ──」

 顔を真っ赤にした佐原拓哉タクヤがお兄ちゃんに一歩近づいて威嚇しようとした次の瞬間、その姿が忽然と消えた。そして消えたのは彼だけじゃない。天城司ルシフェル朝田家保イェーガーの2人も同様に姿を消していた。
 この場に残ったのはタクヤの彼女でクラスでも2つの意味で声の大きな中澤沙耶香サーヤだけだ。

「タクヤ!?……あんた、何したのよ!」

「知り合いの塾講師を紹介しようとしただけ?」

 たぶんタクヤたちは通報されて強制ログアウトになったんだと思う。そして通報したのは間違いなく藍香お姉ちゃんだ。さっきから撮影しているみたいだし、織姫は弓を構えているクレアを抑えてくれている。私としては暴走する頻度が増えているクレアを抑えられるという一点だけで織姫をギルドに入れる価値はあると思う。

「サーヤでいいかしら。今の3人が消えたのは私が通報したからよ」

「はぁっ!?なんでよっ!」

「まずゲーム内とはいえ公共の施設で騒いで現在進行形で周囲に迷惑を掛けていること」

「……うっ」

 藍香お姉ちゃんに指摘されてサーヤが周囲を見回すけど周りにいるのは「よく言ってくれた!」とでもいいたげなカフェの店員やお客さんたちだ。

「次に私たちのギルドメンバーに対する強引な勧誘。そもそも私ちちに近づいている途中で無視しやがってとか言っていたわよね。なのに約束があるって主張は少しおかしくないかしら」

「え、う……」

 実際には約束した後で無視するようになった、なんてパターンもあるだろうけどね。

「そもそも私はトリスから「タクヤとユウジのパーティがどっちもタンク足りないんだって。どっちかとパーティを組んでくれない?」って聞かれてた時に「まだユウジの方がマシ」って即答するくらいタクヤが苦手なんだよね。そんな奴と一緒にパーティを組む約束なんてするはずないじゃん」

「え、だって、タクヤが……」

 ちなみにトリスとユウジは「性格が全てを台無しにしてるハイスペック男」とか呼ばれてるのに対してタクヤは「性格が全てを物語っているDQN」と言われたりしている。それでいて3人とも彼女持ちなんだから見る目のない女って何処にでもいるんだなって思った。

「そして真宵に対して暴言を吐いたことね。先に現実リアルを持ち出したのは貴方たになのだから、こっちも相応の対応と取らせてもらうわ」

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁあああん」

 お姉ちゃんからのプレッシャーに耐えきれられずサーヤは泣きながらログアウトしていった。


───────────────
お読みいただきありがとうございます。
マヨイがキレる前にアイが我慢できませんでした。

???「織姫ちゃん離して!そいつ殺せない!」

今話のMVPは間違いなく織姫ですね。

ちなみに強制ログアウトが実行されたのは彼らの発言が差別発言だとAIに判断されたからです。ゲーム内での煽り文句などはスルーしてくれる謎仕様です。噂では脳波を測定しているとか云々。

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