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本編
第150話 マヨイは宣戦布告する。
しおりを挟む⚫︎マヨイ
「ではこれより───と───は──状態にあるものとして扱わせていただきます」
「よろしくお願いします」
再び組合にやって来た僕は受付でとある申請を行っていた。証拠として録画した動画を提出することが出来たおかげで色々とスムーズに済んだようだ。そしてエントランスで暁たちと合流すると織姫が壊れていた。
「兄さん、おっそい!」
「装備を預けてましたけど、何をしていたんですか?」
「あぁ……クレアの装備の鑑定をお願いしてたんだよ」
「6750……6750……」
「おーい、織姫やーい」
「やーい」
「織姫どうしたの?」
「それがですね──」
どうやらクレアが要らないと判断したキマイラと影猿以外の素材を売却したところ27000Rになったのがショックだったようだ。僕らにとって1人につき6750Rというのは微妙な額だけど織姫にとっては大金だったみたいだね。
「お兄さん、次のイベントに参加するプレイヤーをターゲットにキマイラや影猿の素材で作った防具を販売してもいいですか?」
「僕もポーションを売る予定だし別に構わないよ」
「あ、それならギルドホームの裏にある畑!あそこ使ってもいい?」
ギルドホームの裏に畑があったなんて初耳なんだよなぁ……
たぶんギルドホームの中に1番詳しいのは暁だ。伊達に迷子になってないな。僕はあとで資料を読み込んでおこう。
「ただいまー!」
「ただいにゃー!」
ギルドホームに戻ってきたところで暁と織姫が2人で出掛けたいと言って来たのでパーティは解散、クレアも織姫の装備を作るためギルドホームの加工施設に籠るそうだ。
「さて……掲示板で宣戦布告もしたしアルテラに移動するか」
現在の時間は午後2時を回ったところなので移動だけなら夕飯の時間には余裕で間に合うはずだ。僕は暁たちに事のあらましを伝えてからギルドホームを後にした。
【人類】Continued in Legend 総合掲示板 37【卒業】
1.灰雲
ここは主に雑談や専門のスレッドのない話題で盛り上がることを目的としたスレッドです。専門のスレッドがある話題が長引くようならどなたか誘導してあげてください。
それと運営によると誹謗中傷や第3者によるプレイヤーの個人情報の書き込みなどはアカウント停止処分などの処分が下る可能性があるそうです。
次スレは>>950が建ててください。
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……………………………
………………………
891.マヨイ
流れを切るようですいません。
"朱桜會のタイタン"と名乗るプレイヤーから僕と僕がギルドマスターに就いているギルドが誹謗中傷を受けました。即座に謝罪と発言の撤回を求めましたが受け入れて貰えず、装備品を賭けた決闘を申し込まれました。
決闘は僕の勝利で終わりましたが本人からは謝罪一つありません。そこで僕は彼の所属するギルドに対して彼からの謝罪と相応の賠償を求めます。先ほど迷い家から朱桜會に対してギルド間抗争宣言を行いました。
決闘にまで発展した場合は僕1人で戦う予定です。
892.社員〼カット
ギルド間抗争is何?
893.ノウアングラウス
いくつか面倒な条件を満たさなければならないが、ギルド同士のトラブルを最小限に止めるための仕組みだ。マヨイが言っているのは条件が折り合わなかった場合の最終手段のことだろう。組合の訓練場を借りてギルドメンバーの代表同士による決闘を行い勝者は敗者に対して相応の要求が認められるらしい。
894.世紀末試験
代表(ギルメン全員)も可能だから実質総力戦だな。
援軍システムとかもあるぞ。
で、それに1人でって正気か?
895.ミケ猫ジェロニモス
イベントで1位だからって調子乗ってるだけだろ
896.社員〼カット
組合で確認してきた。面倒な条件っていうか抗争の根拠となる証拠または証言の提出、あと最低500万Rの担保が必要なんだってよ。宣言した側が負ければ半分が相手に支払われて勝てば4分の3戻ってくるって……それなり以上の要求が出来ないと何のメリットもないよな?
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………………………
977.リエル
迷い家さんからの要求は『該当人物ならび所属ギルドからの謝罪』と『決闘で賭けられた彼の装備品と同等の資産』だそうです。抗争が終わるまでは素材の売却どころか依頼を受けることも出来ないって言われました……
あとギルドメンバーの脱退もロックされてます。
978.necotto
その条件だと該当人物がログインしていないと決闘することになるんじゃない?
979.麟華
強く生きてください
980.リエル
ええっ!?
981.世紀末試験
さすがにイベント暫定1位のギルドでもギルマス1人なら朱桜會が有利じゃない?
援軍もあるんでしょ?
982.超授
細かく書くと晒し行為になるので避けるのであるが、動画から確認出来た彼のステータスは少なくとも平均4桁後半である。覚醒を持たないプレイヤーなぞ鎧袖一触であろうな。
⚫︎超授
「そう少なくともである……なんちゃって」
私は超授。掲示板限定で胡散臭い教授こロールプレイをして楽しんでいる3流プロゲーマーだ。あと出席数ギリギリでいつ退学になるか分からないけど一応は現役JKでもある。偶に「詐欺だろ!」とか言われるけど「~である」がデフォルトとか男でもレッドリストものでしよ。
今はテコで購入したギルドホームに設置したばかりのシアタールームでマヨイの戦闘風景をチェックしている。シアタールームは値が張ったけどいい買い物だったと思える。
「で、実際のところは?」
「うーん、筋力は最低でま6桁後半だね」
「マジか」
「この子の武器の性能や耐久力が不明だから細かな計算は無理だけど、私たちの武器と同程度だと仮定して1撃で武器破壊するのに必要なダメージ量は約5000ダメージ。武器を防具として使用した場合の防御力は攻撃力補正の半分っていうのは検証で判明しているから──」
「ストップ、ストーーップ!また悪い癖が出てるぞ」
しまった。また暴走しちゃってたみたい。やっぱりバンカーはギルドの頼れるストッパー役だね。さすがサブマス。
「まったく……それで超授。結論は?」
「援軍でクラウンズやTTTが全員参加してもマヨイが範囲攻撃を持ってれば9:1でマヨイの勝ちだと思うよ。もってなければ分からないけど彼の素質に魔術士があったのは確定情報だから間違いなく持ってるはずだよ」
ギルドマスターのシバさんは戦闘狂だけど、相手の情報すら知らずに勝ち負けを論じる脳筋ではなく、情報を得た上で策を練り最善を尽くす出来る大人だ。あと現実でもゲームでもイケメン。
「やはりか。なら放置だな」
「うん、大恩あるとは言っても迷い家に援軍を送る必要はないと思うよ」
実は私たちがギルドを設立する際、迷い家のサブマスターであるアイから手助けを受けている。ギルドの方針として彼女たちがピンチなら助けたいというのが本音だ。そう、ギルドの方針としてはね。
「なんだ、超授?」
「いや、勝ち目のない恋愛って不毛だなーって」
「なっ、た、確かにアイは美人だが別に恋愛感情を持ってるわけではないぞ!? そ、そもそも彼女は高校生になっはばかりで10歳も離れてるんだ!俺はロリコンじゃない!!」
「ギルマス、語るに落ちてない?」
「ほんと戦闘以外はポンコツだよねー」
「う、うるさい!アインを目指して移動するぞ」
「「はーい」」
そういうところが好きなんだよねー。
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お読みいただきありがとうございます。
やっと超授視点を挟めました。
名前:超授
性別:女性
Bustersというプロゲーミングチーム所属の現役JKプロゲーマー。検証ガチ勢だが掲示板では的外れな考察やミスリードを意図的に書き込んでいる。ゲーマーとしてのスペックはオリオンと同程度。学業優先で大会に積極的に参加していないため知名度は低い。
胡散臭い教授をイメージしたロールプレイはほぼ掲示板限定。外見はまな板+緑色の長髪に白衣を着たイケメン。女だと見下されたくないという意識が強いからかパーソナルの性別欄は男に設定している。また支援職なのでソロでの戦闘は苦手。
リーダーであるシバが好きなのはシバ以外の身内にはバレている。
っていうのが掲示板初登場時のキャラ設定です。
たぶん、色々と変わっていくんだろうなぁ(クレアを見ながら
応援ありがとうございます!
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