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本編
第151話 リエルは追い詰められる。
しおりを挟む⚫︎リエル
私はリエルといいます。CiLというゲームで朱桜會というギルドのギルドマスターをしています。今日はイベント最終日ということでギルドメンバーの大半がログインしていました。
『リエルちゃん、急いで掲示板見て!』
イベントで消費したアイテムを補充するため組合に向かっていた道中、ギルドのサブマスターであるナカミアさんからギルドコールが届きました。その口調からは私に嫌な予感を覚えさせるには十分過ぎるほど焦燥感が伝わって来ます。
「はぁっ!? なんだよ、これ!?」
「またかよ、タイタンの馬鹿野郎!」
私の予感が的中しているのは私より先に掲示板を確認したギルドメンバーの声で分かりました。恐る恐る私も掲示板を確認します。
周囲の声を聞くにタイタンさんたちがまたトラブルを起こしたのでしょうか?
「えぇ!?」
私の予想は的中していました。しかし、問題はそれだけに止まりませんでした。現在イベントランキングで1位にあるギルドからの抗争宣言が成立してしまったのです。
私もギルドマスターになった時に色々と調べたから抗争宣言については知ってます。ギルドの所属メンバー同士のトラブルを回避するための基本的に被害者側が有利な仕組みです。それが成立したということは余程のことがあったに違いありません。私は急いで組合に駆け込みました。
「……ご用件はなんでしょうか」
「朱桜會のリエルです。迷い家からの抗争宣言があったと耳にして真偽を確かめにきました。もし真実なら成立した理由を教えていただけないでしょうか」
心なしか受付さんの態度が普段よりも冷たいです。
「耳が早いんですね。では原因となったトラブルについてから説明しましょう。まずは──」
受付さんから原因となったトラブルについて聞いている内に私だけでなく、隣で聞いていたギルドメンバーの皆さんの顔色も悪くなっていきます。
タイタンさんはギルドの名前を出してカツアゲ紛いの行為をしただけでなくチートだと難癖をつけて決闘騒ぎまで起こしていました。
「はぁ……組合の敷地内でそういうことされるのは私どもとしても困るんですよ」
「すいませんっ」
「担当の者を向かわせる予定でしたがギルドマスター本人が来てくださったのなら、この場で迷い家側からの要求を通達いたします。今回の発端になった人物と朱桜會からの正式な謝罪、それと賠償金として彼が奪われそうになった装備品と同価値の資産です」
「え、それだけですか?」
「はい」
迷い家のギルドマスターさんは凄く怖い人だって聞いていたので「慰謝料としてギルド資産の半分寄越せ!」くらい言われると思ってました。
装備分の金額なら簡単に払うことができるはずです。掲示板で私たちを心配するコメントが書かれていたので書き込みしようっと。
「よかったじゃん」
「言うて一式だろ、結構するんじゃね?」
「高そうなローブ着てたもんな」
「前衛なのにローブって……」
「それだけ優秀な装備ってことだろ?」
いくら優秀な装備でも200万Rくらいが相場です。
でも少し心配になってきました。聞けば教えてくれるかな?
「賠償金はいくらになるんでしょうか……?」
「7億5150万Rになります」
「え」
「はぁっ!?」
「領主様から下賜されたという国宝級装備一式に加えて洗練された意匠が施された杖と変異種からしか手に入れることのできない装備数点、これらを合算した試算額です」
「な、ななおく……こくほう……」
無理です。ギルドの土地や不動産を含めても全く足りません。
これならギルドの資産の半分を要求された方が良かったです。
「む、無茶苦茶だろ!なんだよ国宝級って!?」
「払えるわけねぇじゃねぇか!」
「その装備を力ずくで奪おうとしたのは朱桜會側です」
私はそんなこと指示したことはありません。でもギルドマスターは会社の社長みたいなものなんだってギルドを設立した時に教えて貰いました。社員が起こした不祥事で槍玉に挙げられる社長さんの心境ってこんなに辛いものなんですね。
「マヨイって奴が決闘を受けなきゃよかっただけだろ!?」
「そうですね。それが?」
「なっ……あいつらを優遇し過ぎだろ!いい加減にしろ!!」
確かに今回の件は迷い家が優遇され過ぎているように思えます。
そもそも組合だって私たちの資産は把握しているはずです。払えないことが分かっているはずなのに迷い家の要求を認めるだなんて酷いと思います。
「組合は営利組織ですからね。貢献度の低いギルドを切り捨てるため、その敵対ギルドを優遇することくらいあります。特に最近、朱桜會はトラブルを起こし過ぎています」
「だからって!」
「条件が不服ならば決闘なさっては?迷い家からは当事者であるギルドマスターのみが参戦すると明記されていますよ」
朱桜會はプレイヤーの設立したギルドでは最大の人員を誇るギルドです。それに今回のイベントのおかげで私を含めた主力メンバーの位階は70を超えました。それでも迷い家は4人しかいないギルドでありながらランキングを独走してます。そんなギルドと決闘しなければならないなんて……でも7億Rなんて払えるわけがありません。最初から私たちに決闘しないという選択肢はないんです。
「……条件は飲めません。決闘を……お願いします」
「かしこまりました。迷い家側から条件を拒否された場合の副案として既に決闘の日時指定がされています。本日20時もしくは1週間後の20時のどちらかだそうです」
今日はイベントの最終日です。ランキングのポイント差が僅差のこの状況で決闘に時間を取られればランキングで下のパーティやギルドから抜かれてしまいます。他のギルドだってチャンスを逃すはずがありません。それは援軍を求められないことを意味します。
そして1週間後は第2回イベント当日です。組合を利用できない状態が1週間も続けばゲームを止めちゃう人もいるはずです。そうなれば決闘を受けた後でギルドは自然消滅してしまう気がします。それだけは絶対に嫌です。
「分かり、ました……。今日の20時でお願いします」
だから私に選択肢はあってないようなものでした。
迷い家のギルドマスターさんは絶対に悪魔か何かです。
───────────────
お読みいただきありがとうございます。
朱桜會はギルドマスターと周辺はまともですけど、それ以外のメンバーが「俺たちは朱桜會なんだぞ」と狩場を独占したりカツアゲ紛いの行為をしたりと色々とやらかしています。そのせいで組合からの評価は低く、迷い家側が過剰に優遇される結果になってます。
次回は掲示板回です。
掲示板に名前のあるプレイヤーの位階について読者の方から質問があったので本話時点での掲示板常連(?)の位階を記載しておきます。
※読者様がモデルとなったプレイヤーの位階については麟華さんしか決まっていません。
テンペスター 86★★
麟華 85★★
リエル 79★
ノウアングラウス 78★
マードック 78★
超授 77★★★
かげろう 76★★
necotto 75★
チャラ王 72★★★
社員〼カット 57
世紀末試験 42
プレイヤーの平均が40前半ですがランキング上位陣に名を連ねてるプレイヤーは位階70後半以上になっています。位階の右側にある★の数は所持している覚醒の数です。
他の掲示板キャラクターの位階について知りたい方がいらっしゃれば感想欄にコメお願いします。
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自筆です。
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