VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

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本編

第169話 マヨイは目撃される。

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⚫︎マヨイ

 テコの組合で鋼王龍と鋼龍の情報を仕入れてから2時間後、自分が習得している技能をあらかた確認した僕は鋼王龍が生息しているらしいテコの北山にある廃坑にやってきた。

「ふぅ……やるか」

 テコの組合で購入した資料が正しければ鋼王龍と鋼龍の群れが普段生活しているのは廃坑の奥だ。まずは飛行技能を使って空を飛ぶ。しかし、まだ高度は廃坑のある山全体を俯瞰できる程度までだ。

「(魔力弾×200000)」

 まずは実戦で使うのは初めてとなる水属性を付与した魔力弾で廃坑を崩壊させる。見た目は野球のボールくらいの大きさをした大粒の雨が降り注いだような感じだ。もはや慣れてしまった爆音と同時に坑道が崩壊し、地の底から大きな唸り声のようなものが空にいる僕にまで聴こえてきた。やはり鋼王龍には魔術や魔法が効かないとはいえ、崩落に巻き込まれれば少なくないダメージがあるようだ。
 轟音が鳴り止んだ頃、鋼王龍どころか鋼龍の姿もまだ確認出来ていないけれど、坑道の辺りに体力バーがいくつも見えるようになった。おそらく体力バーが3本あるのが鋼王龍、2本あるのが鋼龍だろう。鋼王龍と思しき体力バーは1本目が3割近く削れているのに対して、鋼龍と思しき体力バーは半分強も削れている。これなら先制攻撃は成功したと言っていいだろう。

「(魔力弾×2000、魔力弾×2000、魔力弾×2000)」

 そして崩落して窪地となった廃坑の周囲に向けて魔力弾を放って崖崩れを発生させる。崩れ落ちた土砂で窪地を埋めるのが狙いだ。

「これで生き埋めになってくれれば楽だったんだけどな」

 鋼龍と思われる無数の体力ゲームは既に1本目を削り終えて2本目の半分ほどまで減少しているが、鋼王龍と思われる体力バーは廃坑の崩落後からほとんど減っていない。

「シャァァァァァアア!」

 地を揺らすような大きな雄叫びような音が響いた直後から埋めた窪地の中心部が次第に膨らみ始めた。盛り上がった地面からは微かに赤い光のようなものがチラついた。これは何かが這い出て来るというよりは何かが溢れて来そうだ。僕は高度を上げて非常時に備える。

「シャァァァァァァァァアア!!」

 2度目の雄叫びのような音は最初のそれよりも大きく、それが響いたと思った直後に膨らんでいた大地が

「(形状変化・魔力弾×50)」

 高度を上げて非常時に備えていた僕のところに最大で人の頭ほどの大きさの噴石が無数に飛来した。タイミングとしてはギリギリではあったけど、魔力弾を膜のように形状変化させ重ねるように放つことによって防ぐことが出来た。

「ふぅ……っと、おでましか」

 噴石の雨を凌いだところで噴火地点を確認すると、そこから緩慢な動きで巨大な蛇のような生き物が這い出てきた。体力バーが3本あるということはあの蛇が鋼王龍なのだろう。取り巻きの鋼龍に関しては今の噴火に巻き込まれたのか大半が体力を失っている。生き残っているのも虫の息だ。
 それにしても組合から購入した資料で知ってはいたけれど、鋼王龍は僕が当初の想像していた翼の生えたトカゲのような姿とは随分と違うね。

「(付与魔術・筋力強化)」

 しかし、そう簡単に空に出て来させたりはしない。
 僕は筋力を10%増加させる付与魔術を自分を対象に使うと空から急降下して鋼王龍の額に杖を叩きつけた。その時にチラリと見えた地面の亀裂の間からは鋼龍と思しき個体が複雑に絡み合っているのが見えた。はっきり言って生理的な嫌悪を覚える。

「シャァアア!」

 僕の補正値込みで1100万を超えている筋力で振るわれた杖を額に受けたというのにも関わらず、残り3鋼王龍の体力バーは1本目を削り切れていなかった。直径5mはありそうな首を回しながら開かれた口は執拗に僕を狙ってくる。
 そして、ここまでは概ね僕の狙い通りの展開だ。あとは僕の考えが間違っていないことに期待しよう。



⚫︎カナタ

 テコの組合で『廃坑の調査』というクエストを受けた私たち3人がテコの北にある廃坑へ向かっていると何かが砕かれるような大きな音が聞こえてきた。

「え、今の何?」

「俺に聞かれても分かるわけねぇじゃん。この先に大型のモンスターがいるとかじゃねぇの?」

 反射的に口から出た疑問に応えたのはパーティメンバーの1人であるクオンだ。現実での幼馴染で腐れ縁。そう聞くと恋愛関係に結びつけようとする人が少なからずいるけど恋愛感情なんてこれっぽっちもない。

「音が聴こえてきたのは廃坑がある方角よ?どうする?」

 そう問いかけてきたのはテコの組合で知り合ったジャスティさん。180センチくらいありそうな長身で青色の髪を後頭部でまとめた──教えて貰わなければ男性だと勘違いしてしまいそうな──カッコいい女性です。プロフィールに男性と書いている理由を聞くと「ナンパ避けだよ」と教えてくれました。納得です。
 私たちが受けたクエスト──正式な依頼名はテコ北部坑道跡地の調査──は報酬が良い代わりに位階が50以上の3人以上のパーティでないと受けることができません。このクエストの報酬である抗魔鱗こうまりんという素材が欲しかった私とクオンが残りのメンバーを募集しているところに来てくれたのがジャスティさんです。

「抗魔鱗ってのはドラゴンの鱗なんだろ?」

「生え変わる時に落ちたものらしね。それが?」

「今の音ってドラゴンが発生源なんじゃねぇかなってさ」

「え、ドラゴンがいるってこと?」

「組合で買った資料だと廃坑の奥に住んでるドラゴンは危害を加えられなければ暴れたりしないらしいじゃん。ならドラゴンを無視して落ちてる鱗だけ回収できるんじゃねぇかな?」

「確かに依頼の達成条件を満たすなら奥まで行く必要が出てくるだろうね。カナタはどう思う?」

 テコ北部坑道跡地の調査依頼をクリアするためには、依頼を付けた時に貰えるテコ北部坑道の地図に書かれたエリアを70%以上踏破するか、内部の素材を規定量──今回は20種類──採取する必要がある。

「抗魔鱗は何としても確保したいし、ドラゴンが襲って来ないならいいと思います」

「うっしゃ!」

 そして私たちが山道を進んだ先にあったのは崩落した坑道と体の半分くらいが地面から出ていない巨大な蛇のモンスター、そして巨大な蛇のモンスターは空を飛んでいる何かを追い掛けるように首を忙しなくせわし動かしています。

「「「……………………」」」


───────────────
お読みいただきありがとうございます。
更新が予定よりも遅れて申し訳ありません。
上手くまとめきれなかったのでカナタとクオンの顔見せシーンを挟むことにしました。

マヨイの魔力弾に属性が付加されるようになりました。
あと付与魔術で自身のステータスをさらに上げられるようになったのです。
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