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本編
第177話 その頃の運営サイド④
しおりを挟むマヨイが克己の万が一のでイデアドールを倒した報酬を受け取り、それに関するワールドアナウンスが流れた頃。その一部始終を興味本位で覗いていた斎藤林檎と蓬崎和馬は唖然としていた。
「嘘、だろ……」
「お助けアイテムもなしに勝っちゃいましたよ」
克己の間で待ち受けているのは、克己の間の扉を開けた人物と同じ位階・素質・覚醒・称号・ステータス・技能を持ったイデアドールだ。このイデアドールの行動方針は扉を開けて入って来た者の殺害である。
「和馬さん、テスターのイデアドールに対する勝率ってどれくらいでしたっけ?」
「お助けアイテムなしで勝てたのは何故か参加した社長と宍戸ってプロゲーマーだけだ。お助けアイテムありなら他にも5・6人いたはずだぞ」
お助けアイテムというのはアイテム欄に存在するだけで克己の間で戦うことになるイデアドールの性能を2割も下げるアイテムだ。
「テスターって50人くらいいたはずですけど……」
「………………」
「テスターの勝率が15%切ってるエネミーをそのまま実装した運営にもドン引きですけどね。それ以上に前情報ほぼなしで勝てちゃうプレイヤーにドン引きですよ」
「………………確かにな」
テスターは事前にイデアドールに関する詳細な情報を貰った上で戦って、それでも勝率が全体で15%を下回っていた。ちなみに初見での勝率がそれなのであって最終的には7割のテスターがイデアドールに勝利している。
「そもそもイデアドールが倒されるのって予想では半年後くらいでしたよね?」
「そうだな。早くてもリリースなら3ヶ月くらいの予想だったはずだ。挑戦する条件もシビアな上、報酬の前情報はほぼなし。それであの強さだからな」
「最低でも位階が60以上で組合からの評価ポイントが1000点以上ないと推薦状を書いて貰えないんでしたっけ?」
「ああ」
「位階はともかく評価ポイントは可視化できないからプレイヤーは大変ですね。評価ポイント1000以上のプレイヤーって今のところ彼だけですか?」
「いや、評価ポイントだけなら満たしてるプレイヤーはそれなりにいるな。これが現在の評価ポイントのランキングだ」
そう言って蓬崎が端末を操作して斎藤に見せる。そこにはプレイヤー側からは確認できない組合からの評価ポイントをランキング形式したリストが表示されていた。
1位 ポン 2525pt
2位 アン 2522pt
3位 タン 2519pt
4位 チャラ王 1891pt
5位 サタナリア 1746pt
・
・
・
22位 マヨイ 1466pt
・
・
・
169位 社員〼カット 1002pt
170位 シシドウ 986pt
「え、これヤバくないですか?」
「ヤバいな」
運営の想定では組合からの評価ポイントが1000ポイントを超えるのは最短でも1ヶ月は掛かるはすだった。それをリリースから2週間近く経過した段階で169人が達成している。明日には更に数人増えそうだ。
「もしかしてソプラのワイバーン襲撃で爆上がりしました?」
「それもあるな。上位3人はそれに加えて組合で報酬が低く評価値が高いタイプの依頼を率先して受けているみたいだ」
「……評価ポイントは可視化されてないのに?」
「評価ポイントは可視化されてないのに、だ」
「これ組合からの評価ポイントだけじゃなくてNPCからの好感度も高そうですよね」
「そうだな。おそらく上位3人は組合からのNPCとの交流が多いタイプの雑用を報酬の寡多を無視して積極的に受けているようだ。組合からの評価ではなくてNPCからの好感度による恩恵が狙いなんだろう」
NPCからの好感度を上げることよって受注が可能になるクエストには希少なアイテムや技能などを獲得するためのヒントが隠されている。事実、アンたち3人はNPCから受けたクエストによって希少な技能と装備を獲得している。位階は決して高いわけじゃないが、同じ位階で覚醒を持たないプレイヤーの中では間違いなく頭1つか2つは抜きん出たステータスと技能だ。
ちなみにマヨイはNPCと深く関わろうとしないので住民からの好感度は組合の評価ほど高得点ではない。もっともポーション類の委託によって本人の知らないところで少しずつ好感度は上がっているのだが。
「位階の条件まで満たしてるのは……29人ですか。思ったよりは少ないですね」
「いや、ダンジョンを周回し始めたプレイヤーが出始めたから少しすれば増えると思うぞ」
一部のギルドやプレイヤーが隠していたダンジョンに関する情報は、エイトの組合でマヨイが朱桜會と諍いを起こした直後に朱桜會を脱退したプレイヤーによって暴露・拡散された。
またアインでのPvPイベントが控えているせいか、上位層と呼ばれるプレイヤーたちの大半は既にアインに到着している。アイン周辺のダンジョンは経験値効率もドロップの質も良いためPvPイベントに参加する予定のプレイヤーたちはメキメキと実力を付けそうだ。
「そこの2人、もう休憩時間は終わるわよ!」
「まだ5分もあるじゃないか」
「そうですよ。佐藤さんが戻ってくるの早いだけですって」
「局長からも何とか言ってくださいよ!」
「「局長ならさっき退室しましたよ」」
「またぁ!?」
その後、局長が拉致して来たスタッフとPvPイベントにおける戦力の均衡化についての話し合いが行われた。これは一部のプレイヤーがその他のプレイヤーよりも遥かにステータスが高くなってしまっていたからだ。
「予選と本戦の細かなルールの変更は面倒くさいですね」
「それでもライト層でも楽しめるようなイベントにしないとユーザーは簡単に離れるからな。テコ入れは必要だろう」
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お読みいただきありがとうございます。
1周年記念の間話としてスポットが当たるキャラクターの投票は本日〆切です。
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自筆です。
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