VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

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本編

第193話 マヨイは締めつける。

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⚫︎マヨイ

 僕は高位鑑定でルイのステータスは技能や称号まで把握している。だから試験開始直後に放った魔力弾がルイに届く前に消滅したことに動揺はない。むしろ早いタイミングで使ってくれて助かったという気持ちの方が強いくらいだ。


技能:抗魔領域
分類:支配 領域 封印
効果:魔力を最大値の半分消費して発動できる。
   自身を中心とした半径5m以内において
   以下の分類を含む技能の発動と効果を無効にする。
   [分類:魔法][分類:魔術]
   [分類:魔力][分類:魔素]
制限:効果時間60秒
   再使用80秒


 これがルイが使った技能の効果。魔法や魔術を主体とした戦い方、例えば僕の魔力弾を使ったゴリ押し戦術との相性は最悪だ。もっとも魔力弾が使えないなら接近戦主体で戦えばいいだけの話なんだけどね。
 彼女の獲得している覚醒は守護騎士と暗殺者と金の使徒の3つ。つまり覚醒した時に習得する強力な技能を彼女は3つ持っている。


技能:ソウル・オブ・ガーディアン
分類:守護 防御 強化
効果:仲間の被ダメージを-20%
   仲間の受けるダメージを50%肩代わりする
   自身の体力の最大値を+100%
制限:なし


技能:暗殺者の心得
分類:攻撃 支援
効果:足音を抑制する。
   索敵の対象にならない。
   [分類:暗器]または[分類:毒]の作成と使用にボーナスを獲得する。
制限:なし


 この2つに関しては確かに強力な効果を持ってはいるけれど、今の状況ではあまり脅威ではない。それと"暗殺者の心得"なのにルイが暗器や毒を使ってくる可能性があると相手にバラしてしまってるのはどうなんだろう。
 問題なのは最後の1つ。金の使徒の効果だ。


名称:黄金の神威
分類:補助 神聖 耐性 強化
効果:ステータス減少無効
   状態異常無効
   被物理ダメージ無効
制限:なし


 いや、僕も人のこと言えた立場じゃないけど物理ダメージ無効は反則過ぎるでしょ。しかもルイはオリジナル技能の効果で自身を中心とした5m以内の魔法や魔術を無効にしている。さらにダメ押しとばかりに状態異常まで通用しないのだから普通に考えればダメージを与える手段がない。
 60秒間の実質的な無敵状態。これこそがルイの自信の源なんだろう。しかし、僕のこれまでの体験からくる推論が正しければ彼女の無敵状態には穴がある。

「…………縮地」

 抗魔領域の効果時間は60秒だ。効果が切れる前にケリをつけたいのか、ルイは縮地を使って強引に接近して来た。僕としても接近戦は望むところだ。

「ふっ」

「!?」

 ルイの武器は右手に持った片手剣だ。たぶんルイの本来の戦闘スタイルはテイムモンスター小次郎がいることを前提としたものだろう。切り込んで来た彼女の攻撃は暁のそれよりも拙く感じた。僕はそれを交わしてルイの右手を杖で打ち据える。

「ちっ」

 しかし、その手応えは岩でも叩いたかのように硬い。これが黄金の神威の効果"被物理ダメージ無効"の効果なんだろう。しかし、叩かれた衝撃は確かにあったようだ。剣を叩き落とせはしなかったけれど、これならいくらでも戦いようはある。

「……!?」

 ルイは僅かにひるんだけれど、彼女の攻撃の手は止まらなかった。それを僕は余裕をもって交わし続ける。このまま抗魔領域の効果時間が切れるまで交わし続ける続ければ勝てるんだけど、それだと試験にならない気がするなぁ……よし、仕掛けるか。

「ほいっ」

「!?」

 まずは現状では役に立っていない杖をルイの顔に向かって放り投げた。そして案の定、ルイは剣を力強く振るって杖を叩き落とす。物理ダメージを受けないのだから無視してもいいだろうけど、顔に飛んで来れば反射的に叩き落とすか避けるかはしてしまうよね。
 そしてルイの攻撃の手が緩んだ。その隙を見逃してあげるほど僕は甘くない。ルイの背後に素早く回り込む。ルイがそれに反応して振り返るのに合わせて足を引っ掛ける。するとルイはあっさりと地面にうつ伏せに倒れ込んだ。あとはルイの背中から跨って首を掴みながら地面に押し付けるだけで彼女はもう抵抗できい。
 人間の身体っていうのは地面に横たわった状態で正中線を抑えられると簡単には抜け出せないようになっている。

「うぐっ……な、なんで……」

「物理ダメージを無効するとは言っても転ばせるくらいは出来るみたいだね」

「は、な、してっ!」

「いや、試合中に有利な体勢を解くわけないでしょ」

「うぐぐ……でもボクはダメージを受けない。どうするの?」

 ここまで戦闘開始から40秒も掛かっていない。
 ルイの抗魔領域の効果時間は20秒以上残っている。

「まぁ……このまま抗魔領域の効果が切れるのを待ってから魔力弾でゴリ押ししてもいいんだけど、せっかくの機会だから僕の推論をルイで試させて貰おうかな」

「すい、ろ……ぐっ……」

「状態異常無効は本当に全ての状態異常を無効にするのかっていうやつだよ。僕の推論が正しければ物理的に呼吸が出来ない状況になれば状態異常無効があっても窒息の状態異常になるはずなんだよね」

 両手で背中からルイの首を絞める。
 僕がアルテラ大森林でPKを相手に魔力弾を大量に放ち舞い上がった土に埋もれた時、僕は窒息の状態異常になって死んだ。それによって僕は状態異常無効も万能ではないということを知った。

「~~、~~~~、~~っ」

 あの経験から僕は一定のラインを超える、あるいは条件を満たした状態異常は無効に出来ないんじゃないかと考えた。例えば物理的に呼吸が出来ない状態なら窒息の状態異常を避けられないとか。
 ルイは必死で暴れるけれど、僕は背中から彼女の首を絞めつつ正中線を押さえつけている以上は脱出することは困難だ。

「やっぱり状態異常無効は完璧じゃないみたいだね」

「っ~~~~っ!」

 ルイは僕の予想した通り窒息の状態異常になっていた。窒息の状態異常は徐々にルイの体力を減らていく。このペースならルイの体力が尽きるまで5分近く掛かるだろう。つまり体力が尽きる前に抗魔領域の効果は切れる。
 しかし、技能の思考発動ができないルイは首を絞められて発声出来ない状態では素のステータスで抵抗するしかない。要するに僕の視点からはルイは完全に詰んでいるんだけど、ルイは諦めず必死でこの状況を脱しようともがいていた。
 そしてあっという間に試験開始から60秒が経過した。

「魔力弾×200000」

 窒息の状態異常でルイが死ぬまで首を絞め続けてもよかったんだけど、ルイはアクティブ技能の縛りプレイをされるのを嫌がってたから大量の魔力弾アクティブ技能でトドメを刺すことにした。


[決闘に勝利しました]


 ルイが片手剣の扱いに慣れていれば苦戦したかもしれないけど、それでも抗魔領域の効果時間が切れるまで防御と回避に専念すれば何とでもなった気もする。

「……マヨイも、素手で戦えたの?」

「アイほどじゃないけどね」

 藍香と素手で戦うとリーチの差が如実に現れるから、どうしても不利な立場になるんだよね。もう30㎝くらい身長が欲しいなぁ……


───────────────
お読みいただきありがとうございます。
小学5~6年生に見える男の娘(高校1年生男子)が小学5~6年生に見える女の子(高校3年生)の背中に跨って首を絞める図。なんとなく犯罪チックですね(おい

ルイの一種の無敵状態に関しては初見殺し過ぎてナーフされそうですね。
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