VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

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本編

第194話 ルイは手を掛ける。

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⚫︎マヨイ

 ルイの試験を終わらせた僕は管理棟に戻る。
 もちろんルイも一緒だ。しかし、不本意な負け方だったのか、何やらずっと考え込んで黙ったままだ。
 正直、かなり気まずい。

「ただいま」

「おつかれさま」

 管理棟に戻ると藍香が苦笑いを浮かべながら出迎えてくれた。やっぱり勝ち方がよくなかったよね。男子高校生の僕が小学校高学年くらいのルイをうつ伏せに押し倒して首を絞めた絵面はどう見ても僕が悪者だ。

「兄さん、謝った?」

「なんで?」

 絵面的には僕が悪者だったんだろうけど、あれは試験という名の模擬戦だ。

「なんでって……そういうとこだよ、兄さん」

「アイ、僕なんか謝らないといけないことした?」

「……してないわね。でも客観的に見たら女子小学生の陰湿なイジメ現場みたいだったわよ?」

「あー、アイ?」

「シキ?」

「私たち同じ高校のクラスメイトなんだよね」

「「「「え」」」」

 以前、シキは高校生だって言ってたはずだ。そのシキとクラスメイトということはルイは少なくとも僕と同い年か年上ということになる。

「驚いた」

「来月18歳」

「高校3年生なんですか?」

「そう。マリア以外は推薦入学が決まってる」

「マリア?」

「ここに来てないクラスメイトだよ。ちょっと自己中で世間知らずなとこがあってさ。さすがに付き合いきれないから距離を取ってるんだ」

 確かシキから聞いた話だと、テコで暴走していた厄竜をテイムしていたのがマリアで、そのせいかのか分からないけれどPKから狙われるようになったんだよね。

「マヨイ。試験は合格?」

「僕は3人とも合格でいいと思う。アイたちは?」

「私もいいと思うわよ」

「私もです!」

「私もさんせー」

 暁は試験に参加出来なかったからか少し投げやりな感じだけど反対というわけではないらしい。

「というわけで3人ともよろしくね」

「ありがとう。それでさっそくなんだけどギルドのルールとかってある?」

「マヨイ、説明しないで連れて来たの?」

「あー、うん。変な配信者に絡まれてそこら辺の説明するの忘れてた」

「まったく……」

 こうして藍香の口からギルドのルールとその理由が説明された。

「──だから転移システムを利用できる11人までは人数を増やしたいのよね。もしギルドに参加させたいプレイヤーがいればギルドチャットで連絡してちょうだい」

「おっけー。テコで……というか前のイベントで知り合った人なんだけど、ギルドに参加してなくて上手い人がいるんだ。迷い家の参加条件とか教えても大丈夫?」

「いいわよ」

「どんな人なんですか?」

「前のイベントで私たちとパーティを組んでパーティランキング9位に入った人たちだよ。第1印象はナンパ野郎って感じだったけど、割と面白い人たちでさ」

「ナンパ野郎といえば、僕らもテコでナンパされたっけ」

「アンとポンとタンの3人組だよね」

「あれ、マヨイたち知り合いなの?」

「え?」

「私が誘いたいって言った人たち。アン、ポン、タンって3人組なんだけど……」

 偶然ってあるもんだなぁ……それにしてもイベントのパーティランキングで9位になったのか。僕らと会った時点では覚醒を持ってなかったはずだけど、あの後で手に入れたのかな。

「ナンパされたわ。マヨイが」

「マヨイが?」

「そう。マヨイが」

「あれナンパじゃなかったでしょ……」 

 しかも藍香はあの3人をMPKしようとしたよね。

「と、とりあえず声だけ掛けてみるね」

「分かったよ。それでこれからどうしようか」

「イベントの報酬を貰ってからアインに行くのはどうかしら?」

「イベントの報酬?」

「あ、私たちも貰ってない」

「ランキング上位に入ったプレイヤーはエイトの領主から褒賞を受け取れるはずよ。忘れてたの?」

「欲しかったものは先に手に入っちゃってたからね。何かどうでもよくなってた」

 立派なギルドホームも貰っちゃったからね。

「それじゃぁ今から行きましょうか」

「いや、時間的に昼休憩を挟もう」

「もうそんな時間?なら午後2時に集合しましょう」

 こうして僕らは昼休憩を挟んでから領主館に向かうことになった。




⚫︎ルイ


 ボクが昼休憩を終えてログインしたのは午後1時30分過ぎだった。まだギルドメンバーでログインしていたのはマヨイの妹らしいアカトキとクレアだけみたい。

「ただいま」

「ルイ……さん?おかえりなさい」

「ルイでいい」

 ボクが年上だと分かったからかアカトキはボクに敬称を付けようとしてくれたけど、何となく疎外感を覚えたボクは呼び捨てにして欲しいとお願いした。

「えっと……ルイ」

「うん。ボクもアカトキって呼んでもいい?」

「もちろん!」

「クレアは?」

「さっきの試験で何かいいアイデアが浮かんだって言ってたから工房にいるんじゃないかな」

「…………」

「…………」

「………………」

「………………」

 会話が続かない。
 シキたちもいないしどうしよう。

「……ルイは兄さんと戦ってどう思った?」

「っ……すごい簡単にあしらわれた、と思う」

「それは兄さんがルイの技能やステータスを先に高位鑑定で知ってたからだよ。もし何も知らないまま戦ってたら兄さんだって苦戦したんじゃないかな」

 技能とステータスを知られてしまうというのがこれだけ恐ろしいものだとは思ってなかった。

「アカトキもボクに勝てる?」

「分からない。でも負けないよ」

 アカトキはまるで断言した。まだ会って間もないボクに喧嘩腰になる理由は何だろう。何か怒らせるようなことを言ったかな。

「アカトキは前衛なのに?」

「うん、絶対に負けない」

「なら、勝負しよう」

 ボクは試験に参加しなかったアカトキの実力を知らない。マヨイが手加減が出来ないと言っていた意味を知らないまま、ボクは興味本位の軽い気持ちでパンドラの筐に手を掛けてしまった。

───────────────
お読みいただきありがとうございます。
書いていて気がついたら暁がルイに喧嘩売ってた。
プロットにないけど面白そうだからこのまま書きます。
大丈夫かなぁ……?
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