VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

文字の大きさ
209 / 228
本編

第196話 アカトキは勝ちたい。

しおりを挟む

⚫︎ルイ

 アカトキを狙い放たれた小次郎の攻撃が彼女の背中に命中する寸前、それまでボクに絶え間なく剣を振るっていた彼女の姿が消えた。
 それによって小次郎の放った攻撃がボクを襲う。
 小次郎の放った攻撃はサンダー・レイという雷属性の付与されたビームだ。威力は低いものの命中すれば高確率で麻痺の状態異常を与える追加効果を持っている。

「うっ……」

 けれどボクは例外はあるみたいだけど、基本的に状態異常にならない。サンダー・レイの威力も大したことはないと分かっている。だからボクはサンダー・レイを回避するよりも姿が消えたアカトキを探すことを優先した。

「キャン!」

「小次郎!」

 アカトキはすぐに見つかった。どうやら彼女はボクよりも先に小次郎を狙うことにしたらしい。しかし、小次郎にも物理ダメージを与えることはできない。

「縮地、魔力撃!」

 これはチャンスだ。
 ボクはアカトキの背後を取った。
 ザッという訓練場の地面をボクが踏みしめた僅かな音を聞き取ったのか、アカトキがボクの接近に気が付いた。しかし、このタイミングなら縮地で逃げるよりも先にボクの魔力撃が当たる。

「うぐっ……」

 結論だけを言うならばボクの魔力撃はアカトキの体力を削り切ることは出来なかった。しかし、収穫もあった。ボクが接近するまでに小次郎から攻撃を受けたことで残り5割近くまで回復していたアカトキの体力が3割くらいまで減っている。
 ここまでの戦闘でアカトキは"攻撃を受けると体力を最大値の2割回復する"ことはほぼ間違いない。つまりボクの全力の魔力撃でアカトキの体力を4割ほど削れてから今の体力まで回復したんだ。
 つまり、もう1度だけ全力の魔力撃を当てれば勝てる。

「小次郎、ムーブ&サポート!」

「わん!」

 ボクの魔力撃を受けた衝撃でたたらを吹き飛んだアカトキゆ追撃を加えたいところだけど、中途半端な威力の攻撃では逆に体力を回復されてしまう。小次郎を引き離してボクのサポートを徹底させる。

「──たい……」

 あとは魔力が最大値まで自然回復するまで耐えて魔力撃を命中させればボクの勝ちだ。

「──んだ……」

 アカトキは緩慢な動きで起きあがるとうつろな目でボクの方を見据えた。
 何か様子がおかしい。それ気がついたのは、まだ距離があるにも関わらずアカトキが剣を振りかざした直後だった。

「────」

 アカトキが小さな声で何かを呟くと同時に振り下ろされた剣から放たれた白いビームが飛んできた。しかし、魔法攻撃なら回避する必要もない。

「封魔領域」

 これで目の前に迫るビームを受けても問題ない。
 あれ、封魔領域の効果範囲内に入ったのにビームが消えない?


[決闘に敗北しました]


「え」


 こうしてボクとアカトキとの初対戦はアカトキの勝利という形で終わった。



⚫︎アカトキ


 小次郎からの攻撃を上手く回避してフレンドリファイアを引き起こすことに成功した私は"ルイが麻痺状態になっている"とターゲットを小次郎に切り替えた。
 小次郎がルイの"黄金の神威"を共有していることは予想していたし事実その通りだった。しかし、テイム技能のテイムしているモンスターと技能を共有する効果には"テイマーが状態異常を受けている場合、モンスターは共有されている技能を使用できない"という弱点があるからだ。
 
(なんで!?)

 しかし、私が小次郎を斬りつけても小次郎はダメージを受けなかった。
 もしかして小次郎も物理ダメージを受けないの!?

「縮地、魔力撃!」

 動揺した私の背後にルイが現れた。
 魔力撃は魔力を消費して攻撃を強化する技能だったはず。小次郎から攻撃を受けた私の体力は半分近くまで回復しているとはいっても、覚醒3つ持ちのルイの(おそらくは)全力だ。耐えられるかは微妙だと思う。

「っ」

 回避は間に合わない。それを悟った私はルイの攻撃が命中した瞬間、足を滑らせた。宙に浮いた身体はルイの攻撃の衝撃で吹き飛ばされる。
 吹き飛ばされ地面に落ちるタイミングで柔道の受け身を取る。柔道は小学校を卒業と同時に辞めちゃったけど、こんなところで役に立つなんて思っても見なかった。

「うぐっ……」

「小次郎、ムーブ&サポート!」

「わん!」

 何とか耐えた私が起き上がるとルイは小次郎に指示を出して守りを固めていた。きっと魔力の自然回復を待って一気に決めるつもりなんだろう。
 そして私はルイの耐性を突破できていない。今のままじゃ遅かれ早かれ負けてしまう。
 そう考えた時、気がつけば私は本心を吐露していた。

「勝ち、たい……」

 勝ち目はある。私のオリジナル技能"ヒゲキ"は魔法ダメージを与える攻撃技能だ。今の私のステータスがセルフサクリファイスを元の80倍まで上昇している。このステータスで放った"ヒゲキ"が命中すればルイもひとたまりもないはず。でもルイには封魔領域っていう魔法攻撃を無効にしてしまうオリジナル技能がある。

「勝つ、んだ……」

 勝ち目は薄いけど、まだ負けたわけじゃない。
 まずは封魔領域を使わせる。その後は効果時間が切れるまで耐え忍んでからヒゲキを連打しよう。

「ヒゲキ」

 大上段に構えた剣を振り下ろしてヒゲキを発動する。
 いくらルイを1撃で倒せる可能性のある攻撃とは言っても、この間のメンテナンスでダメージ倍率に修正があってセルフサクリファイスと士道《背水》は同時に使えなくなってしまったから、威力は小鬼骨堂を崩壊させた時の5分の1以下なんだよね。ちょっと不安だ。

「封魔領域!」

 そしてルイは私の目論見通り封魔領域を発動してくれた。あとは封魔領域の効果時間60秒を凌ぐだけだ。


[決闘に勝利しました]
[称号:炎神の加護を獲得しました]


「ほぇ?」

 なんで?


───────────────
お読みいただきありがとうございます。
次話は(ギルド施設の)安否確認です。

ルイ、ここに来て噛ませ犬疑惑浮上。
これも全部プロット無視したアカトキって奴が悪いや……
しおりを挟む
感想 576

あなたにおすすめの小説

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。 Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。 最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!? ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。 はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切) 1話約1000文字です 01章――バトル無し・下準備回 02章――冒険の始まり・死に続ける 03章――『超越者』・騎士の国へ 04章――森の守護獣・イベント参加 05章――ダンジョン・未知との遭遇 06章──仙人の街・帝国の進撃 07章──強さを求めて・錬金の王 08章──魔族の侵略・魔王との邂逅 09章──匠天の証明・眠る機械龍 10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女 11章──アンヤク・封じられし人形 12章──獣人の都・蔓延る闘争 13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者 14章──天の集い・北の果て 15章──刀の王様・眠れる妖精 16章──腕輪祭り・悪鬼騒動 17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕 18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王 19章──剋服の試練・ギルド問題 20章──五州騒動・迷宮イベント 21章──VS戦乙女・就職活動 22章──休日開放・家族冒険 23章──千■万■・■■の主(予定) タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

処理中です...