VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

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本編

第197話 アカトキは教導される。

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⚫︎ルイ

 アカトキに負けた後、ボクは呆気に取られていた。
 それは最後の攻防で封魔領域を無視してボクにダメージを与えただけでなく、たった1度のダメージでボクの体力が削り切られたからだ。ボクの体力は技能の効果で最大値が倍になっている。いったい最後の攻撃は何だったの。

「アカトキ」

「え、あ、ルイ。お、おつかれさ、さま……」

「おつかれ。どうしたの?」

 アカトキの挙動がおかしい。

「え、えっーとね……その、ね……また怒られそうだなーって思ったり、し、して、ね?」

 アカトキはチラチラとボクの背後を見て、しどろもどろに言葉を紡いだ。どうやらボクの背後の何かが原因らしい。

「…………はぇ?」

「……どうしよ?」

 気になって振り返った先は──記憶が正しければ訓練場の隣には畑があったはずだけど──完全に焼け野原となっていた。

「訓練場、バリアは?」



「まさか」

「うん、ぶち破っちゃった」

「えぇ…………そういえば最後の攻撃、なんで封魔領域で無効にならなかったの?」

 現実逃避気味に気になっていたことを質問する。
 あの焼け野原はボクにはどうしようもないから。
 やったのはアカトキだし、ボクに責任はない……よね?

「それ!私も分からないの。ルイの封魔領域ってを無効にするんだよね?」

「ちょっと違う。分類に魔法や魔術、魔力や魔素を含む技能の発動と効果を無効にする」

「……あ。分かった」

 ボクも自分で説明していて分かってしまった。

「アカトキの最後の攻撃、魔法でも魔術でもない?」

「うん。えっと、ちょっと待ってね……これ」

 そういってアカトキはボクにステータスの一部を見せてくれた。


技能:ヒゲキ
分類:火術 剣術 叙述級
効果:火撃と飛撃の複合技能
   対象の抵抗を無視してダメージを与える。
   この攻撃によるダメージは魔法ダメージとして扱う
制限:[動作キー]+[発声キー]省略不可


技能:飛撃
分類:剣術
効果:攻撃後、追加で透明な斬撃を放つ。
   威力は筋力と器用の値を元に算出される。
   斬撃の大きさは威力に比例する。
制限:[分類:剣]を含む武器
再使用:3秒


技能:火撃
分類:火術 
効果:魔力を100消費して火の塊を放つ。
   威力は知力と精神の値を元に算出される。
   塊の大きさは威力に比例する。
制限:[技能:火属性魔術]を習得
再使用:10秒


 アカトキが放ったのは"ヒゲキ"という飛撃と火撃という同音の技能の効果を併せ持ったオリジナル技能だった。確かに魔法や魔術の文字は何処にも書かれていない。でも火撃には魔術の文字があってもいいんじゃないの?

「ダメージを受けた理由のは分かった。でも何であんなに威力があったの?」

「それは戦闘中に使ったセルフサクリファイスでステータスが80倍になってたからだと思うよ。前にダンジョンを崩壊させちゃった後で修正されて威力が下がっちゃったんだよねー」

「……待って。ツッコミが渋滞してる」

 アカトキは懇切丁寧にボクの疑問に答えてくれた。
 まずセルフサクリファイスは体力を大きく消費する代わりにステータスを大幅に強化する技能らしい。以前は他のステータス強化系の技能と併用できたらしいけど、少し前に併用できないよう修正を受けてしまったそうだ。修正前にステータスを450倍(!?)にして放ったヒゲキらダンジョンを崩壊させるほどの威力があったらしい。

「すごい」

「もう出来ないけどね」

「……もっと威力を上げたいの?」

 今でも十分に強力だと思うけど、アカトキは満足していないらしい。

「うん、私はもっと強くなりたい。そのためにもヒゲキの威力を上げたいんだけど、仕様が変更されちゃったから……」

「出来ると思う」

「え、ほんと!?」

「ステータスを上げる技能と併用出来ないなら攻撃の威力を上げる技能と併用すればいい、らず」

「そんなのあるの?」

「いくつかある。教える代わりにボクもヒゲキを使わせて欲しい。もちろん、対価は払う」

「それって秘伝書ってやつだよね。相場とか分からないから封魔領域の秘伝書と交換でもいい?」

「もちろん」

 秘伝書というのは自分のオリジナル技能を他人が覚えさせるためのアイテムだ。秘伝書を作成することが出来るのはオリジナル技能を開発した本人のみ、そして秘伝書の作成は最短でも1週間のクールタイムが必要になる。ボクの封魔領域の場合は2ヶ月だった。

「うっへぇ……クールタイム720時間だって。720時間って何日だろう」

「30日」

「計算はやっ」

 ゲームシステム的な評価ではボクの封魔領域の方が倍近く上らしい。でもボクにとってヒゲキは封魔領域の発動中でも使える遠距離攻撃技能だ。その価値は計り知れない。

「慣れてるだけ。それで攻撃の威力を上げる技能だけど────」

 こうしてボクらは語り合った。




⚫︎マヨイ

 昼食の片付けを終えてログインすると、すぐにクレアからフレンドコールが届いた。

『お兄さん、おかえりなさい!』

『ただいま。もしかしてログアウトしなかったの?』

『水分補給だけしました』

『ならいっか』

 昼食を食べてないのは気になるけど、僕がそれに言及しても仕方ないだろう。

『アイたちは?』

『アイさんはまだログインしてないです。でもアカちゃんはルイさんと訓練場にいるみたいですよ』

『嫌な予感しかしないんだけど……』

 僕がログインしたのはログアウトした管理棟だ。
 慌ててモニター機能を操作して訓練場の様子を確認する。しかし、モニターには砂嵐が流れるだけで訓練場の様子は映らない。どうやら嫌な予感は当たったらしい。

「ただいまー。その砂嵐どうしたの?」

「おかえり。シキ、ちょうどよかった。今から訓練場の様子を確認しに行くんだけど付いてきてくれない?」

「よく分からないけど、いいよ」

 こうして僕はログインしたばかりのシキと一緒に訓練場へと向かった。


───────────────
お読みいただきありがとうございます。
ちなみに秘伝書の作成のクールタイムはオリジナル技能の特異性が低いほど短くなる仕組みです。

ホーム「訓練場……?おい、訓練場!?応答してくれ!」
訓練場「犯人はア……トキ……」
畑「巻き添えを食らった。解せぬ」
管理棟「ノーダメージ万歳!」

マヨイ「ほほぅ……?」
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