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本編
第211話 アカトキは天災。
しおりを挟む⚫︎マヨイ
藍香たちに連絡を取って5分もしない内に織姫がログインした。
少し遅れてクレアも戻って来た。
「あ、織姫。今日はログイン出来ないって言ってなかった?」
「朱莉……じゃなかった。クレアが先輩が新しいテイムモンスターの里親を探してるからログインしようって誘ってくれたんです。それと新しいギルドメンバーさんも合流するって聞いたから挨拶したくて」
「なるほど」
里親とは言い当て妙だ。まだ生まれてないから厳密には違う気がするけど、他にしっくりくる表現もないし説明する時はそう言おうかな。
「織姫ちゃん、ククルちゃんのこと凄い羨ましそうにしてたんですよ!」
「呼んだ?」
「あ、ククルちゃん!」
「ママ!」
自分の名前が呼ばれたことに反応したのか、ククルが揺り籠から飛び出してクレアに抱きついた。
「クレア、私にも抱かせて」
「ククルちゃん、織姫ちゃんが抱っこしたいって」
「いやー」
「うう……せんぱいぃ……」
ククルに拒否された織姫が涙目で「なんとかしてください」と訴え掛けてくる。どうやらククルが孵った時に居合わせたメンバーと、それ以外の人物では反応がかなり異なるらしい。
『あと5分もすればギルドホームに着くわ』
『了解。ありがとう』
すでに藍香たちにも事情を説明してある。
テイムモンスターを欲しがってた藍香は意外にも「他に引き取り手がいなければ引き受けるわ」と消極的で、逆に暁が「欲しい! 何でもするから譲って!」と興奮気味だ。
ちなみにシキたちは「龍の卵を拾ったってどういうこと?」と混乱したらしいが今は落ち着いている。ルイは「小次郎がいるから」とハッキリと拒否した。
「ただいま」
「おかえり」
これで迷い家のメンバーが全員揃った。
ひとまず相談するのに適してそうな大部屋に移動する。
「君が織姫ちゃん? やっば、クール系美人じゃん! あ、オレはショウ。織姫ちゃんと同じ格闘家だよ」
「織姫です。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
「私、ルイ。織姫も規格外?」
「え、規格外? 先輩のことですか?」
「そう」
「違いますよ。(でもいつか追いつきたいです)」
「おぉぉ……応援する」
「先輩ってマヨイのこと?」
「そうだよ。織姫は去年の夏に兄さんに告って手ひどく振られたの」
「「アカちゃん?/暁?」」
「ひぇっ……ちょ、お兄ちゃんも睨まないでよ!」
「「「「「アカトキが悪い」」」」」
いくら友達でも触れて良いことと悪いことがある。
僕も愉快な気持ちにはならないしね。
「アカトキ、あとで沙織さんに言い付けるから」
「やめて!? 死んじゃう!」
「アカちゃんの自業自得です」
「是非もないよね」
「こればかりはアカトキちゃんが悪いね」
この時、僕はギルドメンバーの心が初めて一つにまとまったのを感じた。クレアの言う通り今回は暁の自業自得だ。
⚫︎アイ
カタログに添付された見取り図には会議室と書かれている部屋にやって来た。それと、アホトキが口を滑らせたせいで織姫とシキたちは簡単に打ち解けられたみたいね。これがワザとなのか、単なるポカなのか分かりにくいのよね。
「──それで原竜の卵を拾って来たんだよね。ククルの時と同じように素材を与えることで孵化するみたいなんだけど、拾ってきた内の3つは既に結構な量の素材が与えられてるみたいだ」
「それを孵化させるとククルみたいな竜が生まれてくるのか?」
「うーん、なんて言ったらいいかな。ククルの時は孵す時に大量のライオンの素材を使ったんだよね。だから与えた素材が孵化先に影響を与えるのは間違いない……はず」
そう言って真宵は机の上に4つの卵を並べた。
どれも白磁も見まごうばかりの白さだ。
名称:原竜の卵
分類:卵
説明:鋼龍種の卵。
接触した魔力を魔素に分解して吸収し、その吸収量が閾値に達することで孵化する。自然孵化には数十年掛かるとも言われている。
備考:魔素吸収量0.33%
備考欄の魔素吸収量の値こそ違うものの、どれも説明書きの内容は一緒だ。ちなみに魔力吸収量は多い順に0.33%・0.28%・0.17%・0.02%だ。0.02%と言うことは生まれたてなのかしら。
「これさ、兄さんと私で魔力を充填すれば生まれてくる子は兄さんと私の赤ちゃんってこと?」
「先輩、私と子どもを作ってください!」
「ちょ、織姫!?」
「お兄さんの赤ちゃん!? あわわわわっ」
暁の天災的な発言によって場が混沌となりそうな気配を感じ取ったのか、真宵が手を打ち鳴らして注目を集めた。
「話が進まないから落ち着いてくれる?」
「う、うん」
「もちろん、魔力の充填には協力するけれど、先に生まれて来た原竜を誰がテイムするのか決めようと思う」
言外に「次に余計な事を言えば分かってるよな?」とでも言いたげな視線で中学生組を見た真宵は、暁の話をスルーして話を進めた。
これは、気まずくなって話を逸らしたわね。
「私、小次郎がいるからパス」
「私はテイムの技能を取る枠がないから難しい、かな」
「ルイみたいにモンスターと一緒に戦うのは憧れるけど……オレもシキと同じで技能枠がキツいな」
シキたち3人はそれぞれの理由でテイムは無理だと判断したようね。3人とも無計画に技能を習得しているわけじゃないから、統合して枠を開けることは可能だと思う。でも技能の統合は大量の経験値が必要になるから、いきなりテイムを習得するために経験値を支払うのは難しいわよね。
「欲しい!」
「えっと、私も欲しいです」
暁とクレアは私と同じで、前からククルのようなテイムモンスターを欲しがっていたから同然の反応よね。
「その、えっと、わ、私も……」
織姫は顔を真っ赤にしながら小さな声でテイムモンスターを希望した。さっきの自分の発言を思い返しているみたいね。
「アイは?」
「自分の足で探したかったところだけど、これも何かの縁よね。私も真宵と赤ちゃんを作るわ」
「ちょ、アイ!」
「ふふっ、冗談よ、冗談」
「勘弁してよ……」
「さて、他にも話はあるのよね?」
───────────────
お読みいただきありがとうございます。
暁が余計なことを言い出したので明日の更新を予定通りできるか不安です。でも思いついちゃったんだから仕方ないよね!
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自筆です。
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