天蓋村の不可解な求人広告について

月影 朔

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第一部:ウェブ・ドキュメント『天蓋村(てんがいむら)に関する報告』

第7話:資料No.007(求人情報誌)1988年

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資料種別: 求人情報誌のアーカイブ(スキャン画像)
発行年: 1988年

(雑誌紙面記録)

月刊 GET A JOB! 1988年11月号

【カタい仕事でガッツリ稼ぐ!官公庁・オフィスワーク特集】

職種: 天蓋村役場 臨時職員(書類ファイリング係)
場所: 〇〇県天蓋村役場内
給与: 日給 9,000円 (交通費別途支給、残業ナシ!)
資格: 経験・年齢・性別一切不問!真面目に作業に取り組める方。
高所が平気な方、および閉所に対して不安を感じない方。
応募: まずはお気軽に下記までお電話ください。履歴書は不要です。

天蓋村役場 臨時職員課 担当:フクシマ


【調査担当者による注釈】
調査は、バブル経済が絶頂期を迎えつつあった1988年へと遡る。
当時の求人情報誌は、その時代の狂騒を体現したかのような色彩と楽観的な言葉で満ちていた。

その中で発見した「天蓋村役場」の募集は、一見すると単調な書類ファイリング係の仕事だ。

しかし、その「資格」の欄に、私は第五の異常な条件を見つけ出した。

「高所が平気な方、および閉所に対して不安を感じない方」

これまでの条件が身体的特徴や知覚能力を問うものであったのに対し、これは応募者の「精神性」――恐怖に対する「耐性」を問うている。

役場のオフィス作業に、なぜ高所と閉所という対極の恐怖への耐性が同時に求められるのか。

合理的な説明は不可能だ。
この一文は、作業環境への適性を超え、ある種の極限状態に耐えうる特殊なメンタリティを選別しているとしか思えない。

バブルの熱狂の裏で、山深い天蓋村では、世間の喧騒とは隔絶された論理に基づいた「選別」が、行政の手によって淡々と進められていた。

この「精神的資質」という新たなピースの出現は、天蓋村が求めていた人材が、単なる肉体的なスペックだけでなく、より複雑で心理的な負荷を伴う「役目」を担う者であったことを示唆していた。

そしてこの予感は、さらに時代を遡った調査で、戦慄を伴う確信へと変わることになる。
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