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【第一章:予兆の記録(2024年~2027年)】
第4話:資料No.003(地方新聞のベタ記事アーカイブ)2024年
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【資料No.003】
資料種別:地方新聞「北関東日報」記事データベースのスクリーンショット
記録年:2024年
(以下は、フリージャーナリスト工藤██氏が、自身の取材メモ(資料No.002)に基づき、過去の新聞記事データベースを検索して発見した、三つの傷害事件に関する記事のスクリーンショット記録である。いずれも社会面の片隅に小さく掲載された、いわゆる「ベタ記事」として処理されている)
1. 2024年10月5日付 「北関東日報」朝刊19面
[スクリーンショット記録]
(見出し)
路上で男性襲われる 顔に泥塗られる 〇〇市
(本文)
四日午後十一時半ごろ、〇〇市△△台の路上で、帰宅途中の会社員、Aさん(48)が何者かに襲われ、顔などに打撲を負う事件があった。〇〇署によると、Aさんは「背後から突然、大男に羽交い締めにされた」と話しているという。
犯人はAさんの顔面に泥のようなものを複数回塗りつけ、Aさんが抵抗すると、そのまま現場から南側の雑木林の方向へ走り去ったとのこと。Aさんに金銭的な被害はなかった。Aさんは犯人の特徴について、「身長は二メートル以上あり、全身が泥でできているようだった。言葉は一切発しなかった」などと興奮した様子で話しており、同署は、傷害事件として、周辺の防犯カメラの映像を解析するなど、慎重に捜査を進めている。
同署管内では、今年に入り同様の被害が二件発生しており、いずれも未解決となっている。
(編纂者による注記:この記事を発見した工藤氏の取材メモには、「タレコミのあった△△台団地で発生。時期も一致。これが、あの主婦が言っていた『変な大男』の正体か? 全身が泥…? 被害者の錯乱か、あるいは…」と、走り書きが残されている)
2. 2024年7月22日付 「北関東日報」朝刊21面
[スクリーンショット記録]
(見出し)
深夜の公園で女性襲われる 不審な男、逃走
(本文)
二十一日午後十時ごろ、〇〇市△△台中央公園で、散歩をしていた近所の主婦、Bさん(52)が男に襲われ、軽傷を負った。〇〇署が傷害容疑で男の行方を追っている。
Bさんの証言によると、公園のベンチに座っていたところ、茂みから現れた大柄な男に突然口を塞がれたという。男は暴れるBさんの顔に、近くの水たまりからすくったとみられる泥を塗りつけた後、公園の北側へ逃走した。
Bさんは「犯人は今まで見たことがないくらい大きく、泥の塊が歩いているようだった。人の形をしていたが、あれは人間ではない」と錯乱した状態で証言しており、同署は、Bさんが精神的に大きなショックを受けているとみて、慎重に事情を聞いている。現場に有力な遺留品はなく、犯人の特定には至っていない。
3. 2024年4月16日付 「北関東日報」朝刊23面
[スクリーンショット記録]
(見出し)
河川敷で男性に暴行、顔に泥 犯人は逃走
(本文)
十五日午後九時四十五分ごろ、〇〇市を流れる利根川水系の支流、××川の河川敷で、釣りをしていた会社員のCさん(61)が何者かに襲われ、顔や腕を負傷した。
〇〇署によると、Cさんは「川の中から、泥でできた巨人のようなものが現れ、いきなり顔に泥を塗りつけてきた」と話しているという。犯人はCさんが川に突き落とされた隙に、現場から姿を消した。
同署は、周辺で発生している不審者情報との関連も視野に捜査しているが、犯人像の特定には至っていない。なお、本件と同様の、顔に泥を塗りつけられる傷害事件の被害者二名(Bさん、Cさん)は、いずれも事件から約一ヶ月後に、原因不明の急性肺炎で死亡が確認されている。関連は不明。
(編纂者による注記:この記事の末尾の一文を読んだ工藤氏は、自身の取材メモに、乱れた文字で大きく円を描くように、以下の言葉を書き殴っている)
「なんだ、これは」
「ただの傷害事件じゃない」
「泥を塗られた人間は、一ヶ月後に、死ぬ?」
「肺炎…? 泥と、肺炎…? どういうことだ?」
「警察はなぜこれを公表しない? ベタ記事で処理するような話じゃないだろ、これは!」
「…まさか、あの違法土葬と、関係が…?」
(この記録を境に、工藤氏の調査は、当初の「デリケートな社会問題」という範疇を完全に逸脱し、より異様で、生命の危険を伴う領域へと、急速に引きずり込まれていくことになる)
資料種別:地方新聞「北関東日報」記事データベースのスクリーンショット
記録年:2024年
(以下は、フリージャーナリスト工藤██氏が、自身の取材メモ(資料No.002)に基づき、過去の新聞記事データベースを検索して発見した、三つの傷害事件に関する記事のスクリーンショット記録である。いずれも社会面の片隅に小さく掲載された、いわゆる「ベタ記事」として処理されている)
1. 2024年10月5日付 「北関東日報」朝刊19面
[スクリーンショット記録]
(見出し)
路上で男性襲われる 顔に泥塗られる 〇〇市
(本文)
四日午後十一時半ごろ、〇〇市△△台の路上で、帰宅途中の会社員、Aさん(48)が何者かに襲われ、顔などに打撲を負う事件があった。〇〇署によると、Aさんは「背後から突然、大男に羽交い締めにされた」と話しているという。
犯人はAさんの顔面に泥のようなものを複数回塗りつけ、Aさんが抵抗すると、そのまま現場から南側の雑木林の方向へ走り去ったとのこと。Aさんに金銭的な被害はなかった。Aさんは犯人の特徴について、「身長は二メートル以上あり、全身が泥でできているようだった。言葉は一切発しなかった」などと興奮した様子で話しており、同署は、傷害事件として、周辺の防犯カメラの映像を解析するなど、慎重に捜査を進めている。
同署管内では、今年に入り同様の被害が二件発生しており、いずれも未解決となっている。
(編纂者による注記:この記事を発見した工藤氏の取材メモには、「タレコミのあった△△台団地で発生。時期も一致。これが、あの主婦が言っていた『変な大男』の正体か? 全身が泥…? 被害者の錯乱か、あるいは…」と、走り書きが残されている)
2. 2024年7月22日付 「北関東日報」朝刊21面
[スクリーンショット記録]
(見出し)
深夜の公園で女性襲われる 不審な男、逃走
(本文)
二十一日午後十時ごろ、〇〇市△△台中央公園で、散歩をしていた近所の主婦、Bさん(52)が男に襲われ、軽傷を負った。〇〇署が傷害容疑で男の行方を追っている。
Bさんの証言によると、公園のベンチに座っていたところ、茂みから現れた大柄な男に突然口を塞がれたという。男は暴れるBさんの顔に、近くの水たまりからすくったとみられる泥を塗りつけた後、公園の北側へ逃走した。
Bさんは「犯人は今まで見たことがないくらい大きく、泥の塊が歩いているようだった。人の形をしていたが、あれは人間ではない」と錯乱した状態で証言しており、同署は、Bさんが精神的に大きなショックを受けているとみて、慎重に事情を聞いている。現場に有力な遺留品はなく、犯人の特定には至っていない。
3. 2024年4月16日付 「北関東日報」朝刊23面
[スクリーンショット記録]
(見出し)
河川敷で男性に暴行、顔に泥 犯人は逃走
(本文)
十五日午後九時四十五分ごろ、〇〇市を流れる利根川水系の支流、××川の河川敷で、釣りをしていた会社員のCさん(61)が何者かに襲われ、顔や腕を負傷した。
〇〇署によると、Cさんは「川の中から、泥でできた巨人のようなものが現れ、いきなり顔に泥を塗りつけてきた」と話しているという。犯人はCさんが川に突き落とされた隙に、現場から姿を消した。
同署は、周辺で発生している不審者情報との関連も視野に捜査しているが、犯人像の特定には至っていない。なお、本件と同様の、顔に泥を塗りつけられる傷害事件の被害者二名(Bさん、Cさん)は、いずれも事件から約一ヶ月後に、原因不明の急性肺炎で死亡が確認されている。関連は不明。
(編纂者による注記:この記事の末尾の一文を読んだ工藤氏は、自身の取材メモに、乱れた文字で大きく円を描くように、以下の言葉を書き殴っている)
「なんだ、これは」
「ただの傷害事件じゃない」
「泥を塗られた人間は、一ヶ月後に、死ぬ?」
「肺炎…? 泥と、肺炎…? どういうことだ?」
「警察はなぜこれを公表しない? ベタ記事で処理するような話じゃないだろ、これは!」
「…まさか、あの違法土葬と、関係が…?」
(この記録を境に、工藤氏の調査は、当初の「デリケートな社会問題」という範疇を完全に逸脱し、より異様で、生命の危険を伴う領域へと、急速に引きずり込まれていくことになる)
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