7 / 42
【第一章:予兆の記録(2024年~2027年)】
第7話:資料No.006(SNS投稿ログ)2025年
しおりを挟む
【資料No.006】
資料種別:SNS(X 旧Twitter)投稿ログ
記録年:2025年
(以下は、資料No.005で言及された、2025年秋の熊被害拡大に伴うSNS上の論争を、編纂者が再構成したものである。異なる立場の人々の「善意」が、いかにして建設的な対話を不可能にし、社会の分断を深めていったか。その典型的な記録としてここに収める)
1. 発端となった投稿
ユーザー名: @love_animals_tokyo
投稿日時: 2025年10月29日 08:15
投稿内容:
昨日のニュース特集を見て、本当に胸が痛みました。山に餌がなくて、お腹を空かせたクマさんが人里に下りてきているだけなのに…。私たち人間が彼らの住処を奪った結果です。それなのに、安易に「駆除」という言葉を使うのは、あまりにも傲慢ではないでしょうか。彼らだって、同じ地球に生きる仲間です。
#熊を殺すな #共存の道を探そう
[添付画像:愛らしい子熊が木に登っている写真]
2. 対立の激化
ユーザー名: @gunma_farmer88 (上記投稿を引用)
投稿日時: 2025年10月29日 09:30
投稿内容:
東京から、綺麗事を言うな!「仲間」が、家の裏の畑を毎晩のように荒らしに来る恐怖がわかるか? 小学生の孫娘が、一人で学校から帰ってこれないんだぞ! こっちは生活と命がかかってんだ!
#熊被害 #駆除やむなし
ユーザー名: @eco_conscious_yuki (@gunma_farmer88への返信)
投稿日時: 2025年10月29日 10:05
投稿内容:
横から失礼します。でも、元はと言えば人間が森林を伐採したのが原因ですよね? 被害者意識を持つのは少し違うのではないでしょうか。電気柵の設置など、殺さないための努力をまず尽くすべきだと思います。命は、地球より重いのですから。
#熊を殺すな
ユーザー名: @niigata_hunter72 (@eco_conscious_yukiを引用)
投稿日時: 2025年10月29日 11:20
投稿内容:
あんたみたいなのが一番タチが悪い。電気柵にいくらかかるか知ってんのか? 国や県からの補助金なんて雀の涙だ。こっちは好きで殺してるわけじゃねえ。あんたらの食ってる米や野菜を、命がけで守ってるんだ。一度、こっちに来て夜を越してみろ。山の暗闇から、ガサガサ聞こえる音に怯えながらな。
#熊を殺すなとか言う前に現場に来い
ユーザー名: @cat_cafe_lover (@niigata_hunter72への返信)
投稿日時: 2025年10月29日 12:45
投稿内容:
猟友会の人って、結局は趣味で動物を殺したいだけでしょ? 正義の味方みたいに言わないでほしい。言葉が通じない相手だからって、命を奪っていい理由にはならない。許せない。
#動物虐待
ユーザー名: @niigata_hunter72 (@cat_cafe_loverへの返信)
投稿日時: 2025年10月29日 13:10
投稿内容:
話にならん。ブロックする。
3. 議論の拡散と混乱
ユーザー名: @bengo4_com_news (ニュースメディアアカウント)
投稿日時: 2025年10月30日 12:00
投稿内容:
【特集】「#熊を殺すな」は傲慢か? 専門家と考える、野生動物との「距離感」。都市部と地方で深まる溝、法的な問題点は… [記事リンク]
ユーザー名: @logic_is_god (@bengo4_com_newsを引用)
投稿日時: 2025年10月30日 14:22
投稿内容:
感情論は一旦置いといて、データで語ろうよ。鳥獣保護管理法では、人の生命に危害を及ぼす可能性がある場合、許可を得た上での駆除は認められている。一方で、生態系維持の観点から個体数の管理も必要。これは単純な善悪二元論で語れる問題じゃない。みんな少し冷静になるべき。
ユーザー名: @conspiracy_joker (@logic_is_godへの返信)
投稿日時: 2025年10月30日 15:01
投稿内容:
↑こういう冷静ぶってる奴が一番怪しい。そもそも、今年の熊被害が異常すぎると思わないか? 政府が、食糧危機を煽るために、山に何か特殊な電磁波でも流して、熊を凶暴化させてるって説もある。みんな、メディアに騙されるな。目を覚ませ。
4. 異質な「現場」からの声
ユーザー名: @hokukan_fire_dept (北関東の消防団員と思われる個人アカウント)
投稿日時: 2025年11月2日 22:40
投稿内容:
「殺すな」も「駆除しろ」も、もう、そういう次元の話じゃない気がする。
今夜、△△台団地の近くで、また出た。俺は消防団として、警察と一緒に現場に駆けつけた。スーパーに居座ったっていう、あのニュースの熊じゃない。もっと、デカいやつだ。
山に餌がないからじゃない。あいつは、腹が減ってる獣の動きじゃなかった。
何て言えばいいんだ…。目的がある動きだった。民家のゴミ捨て場を、何かを探すように、執拗に掘り返してた。生ゴミじゃない。燃えないゴミの袋を、何か…匂いを嗅ぐように、一つ一つ…。
そして、一番おかしいのは、その目だ。
俺は、親父も猟師だったから、ガキの頃から何度も熊を見てきた。威嚇する時の目、怯えている時の目、空腹の時の目。獣の目は、だいたい分かる。
でも、今夜のあいつの目は、違った。
何の感情もなかった。
ただ、真っ黒な穴が二つ空いてるみたいに、虚ろだった。
人間を恐れるでもなく、憎むでもなく、ただ、そこにいる俺たちを「障害物」としか見ていないような、そんな目だった。
あれは、俺たちが知ってる「熊」じゃない。
何かが、おかしい。この町で、俺たちの知らない、何か良くないことが、静かに起きてる。
(編纂者による注記:この消防団員による投稿は、他の感情的な論争の奔流の中に埋もれ、ほとんど注目されることはなかった。しかし、この記録は、工藤氏の調査メモに残された「熊が何かを掘り起こしていたという噂」と不気味に符合する、数少ない現場からの客観的な証言である)
資料種別:SNS(X 旧Twitter)投稿ログ
記録年:2025年
(以下は、資料No.005で言及された、2025年秋の熊被害拡大に伴うSNS上の論争を、編纂者が再構成したものである。異なる立場の人々の「善意」が、いかにして建設的な対話を不可能にし、社会の分断を深めていったか。その典型的な記録としてここに収める)
1. 発端となった投稿
ユーザー名: @love_animals_tokyo
投稿日時: 2025年10月29日 08:15
投稿内容:
昨日のニュース特集を見て、本当に胸が痛みました。山に餌がなくて、お腹を空かせたクマさんが人里に下りてきているだけなのに…。私たち人間が彼らの住処を奪った結果です。それなのに、安易に「駆除」という言葉を使うのは、あまりにも傲慢ではないでしょうか。彼らだって、同じ地球に生きる仲間です。
#熊を殺すな #共存の道を探そう
[添付画像:愛らしい子熊が木に登っている写真]
2. 対立の激化
ユーザー名: @gunma_farmer88 (上記投稿を引用)
投稿日時: 2025年10月29日 09:30
投稿内容:
東京から、綺麗事を言うな!「仲間」が、家の裏の畑を毎晩のように荒らしに来る恐怖がわかるか? 小学生の孫娘が、一人で学校から帰ってこれないんだぞ! こっちは生活と命がかかってんだ!
#熊被害 #駆除やむなし
ユーザー名: @eco_conscious_yuki (@gunma_farmer88への返信)
投稿日時: 2025年10月29日 10:05
投稿内容:
横から失礼します。でも、元はと言えば人間が森林を伐採したのが原因ですよね? 被害者意識を持つのは少し違うのではないでしょうか。電気柵の設置など、殺さないための努力をまず尽くすべきだと思います。命は、地球より重いのですから。
#熊を殺すな
ユーザー名: @niigata_hunter72 (@eco_conscious_yukiを引用)
投稿日時: 2025年10月29日 11:20
投稿内容:
あんたみたいなのが一番タチが悪い。電気柵にいくらかかるか知ってんのか? 国や県からの補助金なんて雀の涙だ。こっちは好きで殺してるわけじゃねえ。あんたらの食ってる米や野菜を、命がけで守ってるんだ。一度、こっちに来て夜を越してみろ。山の暗闇から、ガサガサ聞こえる音に怯えながらな。
#熊を殺すなとか言う前に現場に来い
ユーザー名: @cat_cafe_lover (@niigata_hunter72への返信)
投稿日時: 2025年10月29日 12:45
投稿内容:
猟友会の人って、結局は趣味で動物を殺したいだけでしょ? 正義の味方みたいに言わないでほしい。言葉が通じない相手だからって、命を奪っていい理由にはならない。許せない。
#動物虐待
ユーザー名: @niigata_hunter72 (@cat_cafe_loverへの返信)
投稿日時: 2025年10月29日 13:10
投稿内容:
話にならん。ブロックする。
3. 議論の拡散と混乱
ユーザー名: @bengo4_com_news (ニュースメディアアカウント)
投稿日時: 2025年10月30日 12:00
投稿内容:
【特集】「#熊を殺すな」は傲慢か? 専門家と考える、野生動物との「距離感」。都市部と地方で深まる溝、法的な問題点は… [記事リンク]
ユーザー名: @logic_is_god (@bengo4_com_newsを引用)
投稿日時: 2025年10月30日 14:22
投稿内容:
感情論は一旦置いといて、データで語ろうよ。鳥獣保護管理法では、人の生命に危害を及ぼす可能性がある場合、許可を得た上での駆除は認められている。一方で、生態系維持の観点から個体数の管理も必要。これは単純な善悪二元論で語れる問題じゃない。みんな少し冷静になるべき。
ユーザー名: @conspiracy_joker (@logic_is_godへの返信)
投稿日時: 2025年10月30日 15:01
投稿内容:
↑こういう冷静ぶってる奴が一番怪しい。そもそも、今年の熊被害が異常すぎると思わないか? 政府が、食糧危機を煽るために、山に何か特殊な電磁波でも流して、熊を凶暴化させてるって説もある。みんな、メディアに騙されるな。目を覚ませ。
4. 異質な「現場」からの声
ユーザー名: @hokukan_fire_dept (北関東の消防団員と思われる個人アカウント)
投稿日時: 2025年11月2日 22:40
投稿内容:
「殺すな」も「駆除しろ」も、もう、そういう次元の話じゃない気がする。
今夜、△△台団地の近くで、また出た。俺は消防団として、警察と一緒に現場に駆けつけた。スーパーに居座ったっていう、あのニュースの熊じゃない。もっと、デカいやつだ。
山に餌がないからじゃない。あいつは、腹が減ってる獣の動きじゃなかった。
何て言えばいいんだ…。目的がある動きだった。民家のゴミ捨て場を、何かを探すように、執拗に掘り返してた。生ゴミじゃない。燃えないゴミの袋を、何か…匂いを嗅ぐように、一つ一つ…。
そして、一番おかしいのは、その目だ。
俺は、親父も猟師だったから、ガキの頃から何度も熊を見てきた。威嚇する時の目、怯えている時の目、空腹の時の目。獣の目は、だいたい分かる。
でも、今夜のあいつの目は、違った。
何の感情もなかった。
ただ、真っ黒な穴が二つ空いてるみたいに、虚ろだった。
人間を恐れるでもなく、憎むでもなく、ただ、そこにいる俺たちを「障害物」としか見ていないような、そんな目だった。
あれは、俺たちが知ってる「熊」じゃない。
何かが、おかしい。この町で、俺たちの知らない、何か良くないことが、静かに起きてる。
(編纂者による注記:この消防団員による投稿は、他の感情的な論争の奔流の中に埋もれ、ほとんど注目されることはなかった。しかし、この記録は、工藤氏の調査メモに残された「熊が何かを掘り起こしていたという噂」と不気味に符合する、数少ない現場からの客観的な証言である)
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
隣人意識調査の結果について
三嶋トウカ
ホラー
「隣人意識調査を行います。ご協力お願いいたします」
隣人意識調査の結果が出ましたので、担当者はご確認ください。
一部、確認の必要な点がございます。
今後も引き続き、調査をお願いいたします。
伊佐鷺裏市役所 防犯推進課
※
・モキュメンタリー調を意識しています。
書体や口調が話によって異なる場合があります。
・この話は、別サイトでも公開しています。
※
【更新について】
既に完結済みのお話を、
・投稿初日は5話
・翌日から一週間毎日1話
・その後は二日に一回1話
の更新予定で進めていきます。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる