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愛しい君の好きな物 ウィリアム編3 【ウィリアム】
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初めてローズを街へ誘った。
今までも幾度か街へ行きたいと思っていたが、なかなか父上からの許可が下りなかった。
やっと訪れた機会。
断られるとは思っていなかったが、OKの返事をもらえた時は正直ほっとした。
ただローズが友人であるメアリー嬢を誘おうとした時は焦ったけれど。
ローズはいつだって私の心を搔き乱す。
ローズの気持ちは私と同じだと信じているが、それでもたまには恰好つけさせてもらわないと。
当日になり、笑顔で迎えてくれるローズ。
赤いリボンの髪留めがよく似合っていた。
後ろに黒いオーラを纏わせる彼女の義弟がいたけれど、いつも同じ家に住んで彼女を独占している彼に遠慮するつもりはない。
彼女はいろんな人を魅了するから、困る。
それは近衛騎士であり、彼女の護衛役であり、私の幼馴染である彼もそうであり……。
「ローズお嬢様の身の安全を護ることが私の仕事なので」
幼い頃は近衛騎士の教育で淡々と生きていた彼が、ある時からローズ一色の生活を送っている。
「自分のためって言ったって……ローズを護ることが俺の全てだから」
近衛騎士にこんなことまで言わせてしまうなんて、一体どうやってたらしこんだのやら。
未来の妃として誰からも好かれることは悪いことではないが、彼女にとってそれが無自覚なのが厄介だ。
婚約者といえども、いつか誰かに盗られるのではないかと気が気でない。
レストランで心底おいしそうに食べる表情も、劇場で感動的なシーンでは涙してしまうところも全てが愛おしい。
別れが惜しくてたまらなかった。
だから君が雑貨屋に足を止め、立ち寄るかどうかを聞いたのは少しでも君といたい私の口実だった。
それに、ここで君が気に入った物を買ってあげれば、少しは恰好がつくだろう?
彼女が素敵だと言った髪飾り。
すかさずプレゼントとして買ってあげようとした。
けれど、彼女の次の言葉に思考が停止する。
「この宝石、ウィリアム様の瞳と同じ色です!」
続いて彼女が何か言っていたが、脳内で彼女の言葉が繰り返されて耳に入ってこない。
私の婚約者である君はもっと高価な物を望めるのに。
私の瞳と同じ色の宝石だからと……。
たったそれだけの理由で、キラキラと子犬のような目をさせて……。
そんなにも私を愛してくれているなんて。
ローズ、私も君を心から愛している。
私が知る貴族の令嬢たちは女性らしい身体や化粧、香りを使い、男を虜にしようとする。
そのどれも使うことなく君は魅力的だ。
私だけのローズ。
君以外の伴侶など、もう私には考えられない。
今までも幾度か街へ行きたいと思っていたが、なかなか父上からの許可が下りなかった。
やっと訪れた機会。
断られるとは思っていなかったが、OKの返事をもらえた時は正直ほっとした。
ただローズが友人であるメアリー嬢を誘おうとした時は焦ったけれど。
ローズはいつだって私の心を搔き乱す。
ローズの気持ちは私と同じだと信じているが、それでもたまには恰好つけさせてもらわないと。
当日になり、笑顔で迎えてくれるローズ。
赤いリボンの髪留めがよく似合っていた。
後ろに黒いオーラを纏わせる彼女の義弟がいたけれど、いつも同じ家に住んで彼女を独占している彼に遠慮するつもりはない。
彼女はいろんな人を魅了するから、困る。
それは近衛騎士であり、彼女の護衛役であり、私の幼馴染である彼もそうであり……。
「ローズお嬢様の身の安全を護ることが私の仕事なので」
幼い頃は近衛騎士の教育で淡々と生きていた彼が、ある時からローズ一色の生活を送っている。
「自分のためって言ったって……ローズを護ることが俺の全てだから」
近衛騎士にこんなことまで言わせてしまうなんて、一体どうやってたらしこんだのやら。
未来の妃として誰からも好かれることは悪いことではないが、彼女にとってそれが無自覚なのが厄介だ。
婚約者といえども、いつか誰かに盗られるのではないかと気が気でない。
レストランで心底おいしそうに食べる表情も、劇場で感動的なシーンでは涙してしまうところも全てが愛おしい。
別れが惜しくてたまらなかった。
だから君が雑貨屋に足を止め、立ち寄るかどうかを聞いたのは少しでも君といたい私の口実だった。
それに、ここで君が気に入った物を買ってあげれば、少しは恰好がつくだろう?
彼女が素敵だと言った髪飾り。
すかさずプレゼントとして買ってあげようとした。
けれど、彼女の次の言葉に思考が停止する。
「この宝石、ウィリアム様の瞳と同じ色です!」
続いて彼女が何か言っていたが、脳内で彼女の言葉が繰り返されて耳に入ってこない。
私の婚約者である君はもっと高価な物を望めるのに。
私の瞳と同じ色の宝石だからと……。
たったそれだけの理由で、キラキラと子犬のような目をさせて……。
そんなにも私を愛してくれているなんて。
ローズ、私も君を心から愛している。
私が知る貴族の令嬢たちは女性らしい身体や化粧、香りを使い、男を虜にしようとする。
そのどれも使うことなく君は魅力的だ。
私だけのローズ。
君以外の伴侶など、もう私には考えられない。
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