実の父に隣国へ死にに行けと言われた王女は、隣国の王に溺愛される。

曼珠沙華

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エメラルド国は自然豊かな国だった。
美しい緑、水、土地がたくさんあった。

それにより主に農業が栄え、人々は幸せに暮らしていた。


けれど突然、エメラルド国の王が亡くなった。
民のことを一番に想う心優しき王だった。

その王の跡を引き継いだのは優しい王に甘やかされ、
いや、甘やかされすぎて育った愚息だった。

もうすでに亡くなっているたった一人の王妃を愛した王とは違い、王子は女たちと豪遊三昧。
酒癖も悪く、王宮の召使いたちを困らせていた。


嫁をとらせれば落ち着くかと公爵令嬢と結婚させるが、そんなことでは治らず。
子供を持てば落ち着くかと思っていたが、それも叶わず。


ある日、愚息はさまざまな国を旅していた美しい踊り子を手籠めにしてしまった。

それだけでは飽き足らず、踊り子は愚息の手によって城に軟禁されてしまった。

そうして生まれたのがオリビアだった。

王は孫のオリビアをとても可愛がった。
子が生まれ、もう城に残るしか道がなくなってしまった母の踊り子にもできるだけ居心地がいいようにと配慮を怠らなかった。


そんな王が亡くなった。
そして、愚息と影で言われ続けた王子がこの国の王となったのだ。

母とオリビアの扱いはひどいものとなった。
前王の目がなくなり、親子を面白くない存在だと思っていた王妃が表立って嫌がらせをするようになったのだ。
前王が与えた部屋を取り上げ、城の敷地の隅にある塔へと親子を幽閉した。
ろくに食べ物も与えず、冷たい石畳に薄い布団と布しかない部屋で寒い夜を親子は肌を寄せ合って過ごした。

母親は少ない食べ物をオリビアに分け与えた。

「お母さんは大丈夫よ。お腹いっぱいだもの。だからオリビアが代わりに食べて」

お腹いっぱいのはずなんてないのに。

そんな生活が長く続くわけもなく、母親は栄養失調でこの世を去ってしまった。

「オリビア、生きなさい。生きて生きて必ず幸せになるの。大丈夫、あなたを幸せにしてくれる人がいるの。お母さんは彼を信じるわ」

母の最期の言葉。

お母さん、彼って誰なの。

母は微笑むばかりでその彼のことを教えてくれなかった。

母が亡くなり、独りぼっちになってしまったオリビアは孤独に苛まれた。
誰も話し相手はおらず、会うのは食事を運ぶ使用人と王妃のみ。

王妃は事あるごとにオリビアの元を訪れていた。

もちろん可愛がるためではない。

王妃としての責務のストレスをオリビアで発散したのだ。

「あぁ、苛々する。オリビア!さっさと背中を見せなさい!」

また痛い思いをする。
怖い。

「何をしているの!ここに住まわせてあげてる恩があることを忘れるんじゃないわよ!追い出されたいの!」

季節は冬。
追い出されたら生きてはいけない。

いっそ死んで母の元へいこうか。

何度もそう思ったが、母の最期の言葉がそれを阻止する。


「生きなさい」


オリビアは服を脱ぎ、背中を見せた。

王妃が残虐な笑みをみせる。

「さぁ、オリビア。いつものようにお願いなさい」

「お義母様、どうかクズで役立たずな私を調教してください」

王妃はぞくりと興奮した表情を見せた。

「仕方ないわねぇ」

バチン!!

そうして王妃の気が済むまで鞭が振り下ろされ続けるのだった。
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