実の父に隣国へ死にに行けと言われた王女は、隣国の王に溺愛される。

曼珠沙華

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オリビア……オリビア……。

誰かが私の名前を呼んでる。
何度も何度も。

優しくて温かい声。
そして、とても懐かしい。
泣き出してしまいそうなほどに。

「お母さん」

迎えに来てくれたの?

辺りは白い輝きに満ちていて、眩しい。
何も見えない。

お母さん、どこ?

会いたい、会いたい。

「まだ、だめよ」

後ろからそっと抱きしめられた。
振り向きたいのに、包み込むその腕が許してくれない。

「今はまだだめ。あなたは今まで辛い思いをしてきた分、これからはたくさんの愛情を与えられて、もっともっと幸せになるの」

「そんなの、無理だよ」

幸せって、なに?
たくさんの愛情を与えられて?

誰が醜い私にそんなことをしてくれるの?

「あら、オリビアは醜くないわ」

くすぐるように頬を撫でられた。

「あなたが醜いと思っていても、彼はあなたに夢中よ」

”彼”

死ぬ時にも言っていた”彼”。

「それは誰なの?」

「んー、そうねぇ。お母さんが教えちゃってもいいけど……これはやっぱり本人から伝えてもらわなきゃよね。お母さん、お節介って言われちゃうわ」

後ろでくすくす笑っているのが伝わってくる。

「大丈夫。大丈夫よ。あなたは幸せいっぱいの中で長生きして、それから生涯を終えるの。その時はお母さんが迎えに来てあげるわ。ぎゅーって抱きしめてあげる」

そう言いながらお母さんは今、力いっぱい抱きしめてくれた。

「私の可愛い可愛いオリビア。愛しているわ」

「そろそろ戻ってあげなさい」とお母さんは腕をほどき、トンッと軽く背中を押した。

いやだ。
いやだっ!!

行かないでっ!!!
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