Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~

NotWay

文字の大きさ
5 / 76

五話

しおりを挟む

其は怨念の結晶。地に沈みし同族の願い。
倒れ伏し流れた血は生け贄となり代償となる。代償を捧げられし星は其の願いを聞き届け唯一匹に試練を課す。
魔物は共通して背に同族の血を纏い星に眠る精霊の力を宿す。
其の名を……



「ふー……全然角でなかったな……」

ウサギを5匹の群れになる40匹まで狩った後、再度レベルが上昇したのでスキルを取得し一区切りとした。
最初の街を出てすぐのモンスターなので経験値効率はどんどん悪くなった。たぶんスライムの半分程度なんじゃないだろうか。僕以外の初心者プレイヤーもいたが、少し狩った後はだいたいのプレイヤーが奥へ進んでいった。

【コマイヌ】
称号 【駆け出しの冒険者】
BLV:3
CLV:3

H P《Hit Point》 : 500
M P《Magic Point》 : 100
STR《Strength》 : 10 +2
VIT《Vitality》 : 10
DEX《Dexterity》: 10
AGI《Agility》 : 10 +52
INT《Intelligence》: 10

スキル

【剣術:TLV2】
 |---片手剣:LV1 - スラッシュ
 |---短剣:LV1  - ラッシュ

【軽装戦士:TLV1】
 |---歩方:LV1  - ステップ

ここまで来たらAGIに振ってみるのも面白そうだとは思ったのだけれど、ウサギを狩り続けてなおまだ体が振り回されているので保留。とりあえず攻撃力が欲しかったのでSTRに振った。
  
スキルはオネーチャンさんのところでおすすめされたステップ。その名の通り素早く横に跳ぶだけのスキルだけど、スキル硬直中にも出せる。
移動距離も一定のためAGI振りでも吹っ飛ぶことなく回避ができる、今の僕にぴったりと言っていいスキルだろう。実際ウサギ相手にダメージを受けることは少なくなった。ちなみに最大披ダメージソースは岩。時点で地面。

さて、目標の50匹まであと10匹だ。周りにウサギもほとんどいなくなってきたし移動しようか。

「……」

何か僕のことを遠巻きに観察しているプレイヤーがいた。なんだろうか。動物保護の観点から見たこのゲームのウサギ狩りについて言われると少し困るけど。

余り深く気にせず5匹の群れを2回討伐し次の戦闘。

ふと視線をそらすと一匹のウサギが僕と同じ格好の初心者プレイヤー……先程観察していた人ではないプレイヤーを角で貫いていた。そのウサギは他のウサギよりも一回り大きく、背に通常のウサギを従えて6匹の群れとなっていた。何よりも違うのは魔物のウサギを象徴する角、通常一本のそれが二本生え根本から捻れていた。

【デュアルホーンラビット】
称号 : リベンジャー

観察してみると種族名が違っている。しかも称号なんてものまでついていた。
直訳して二本角ウサギ?でいいのかな。そのまんまだけどイッカクウサギよりマシか。

元からターゲットは僕のようで初心者プレイヤーは哀れな犠牲だったらしい。こちらを見る二本角に対し僕は手を出さずまずは様子見。武器を構えて相手の出方を伺ってみる。通常のイッカクウサギなら溜めモーションの後に突進だけど。

【 Action Skill : 《突進》 】

二本角はそうもいかないようでいきなり飛び掛かってきた。しかも通常のウサギと違って突進というスキルにまでなっている。
ステップを発動して回避することに成功したけれど、さっきステップを取得していなかったら当たってたと思う。

突進というスキルがプレイヤーも取得できるかわからないけど、見たことないあのスキルは体に捻(ひね)りを入れて飛び込むスキルらしい。通常より角の攻撃力が増していた。
回避したため二本角は岩に向かったみたいだけど角が当たった部分がドリルに当たったようにえぐられている。

あれ当たったらやばいんじゃないかな。僕VITが初期値の10だし。

モンスターにMPの概念があるのかはわからないけれどステップよりは消耗が激しいだろうし丁寧にモーションを見極めながらダメージを蓄積……

【 Action Skill : 《突進》 】

「うわあ!気にせず連発!?」

先程の失敗などなかったように土煙の中から《突進》された。そりゃモンスターだから様子見とかないよね。

反射神経のごり押しで無理矢理体を反らすことはできたがステップほどの距離を稼げずドリルのような角に胴体がカス当たりした。
そのカス当たりだけでかなりの衝撃が響き、HPバーを確認すると半分ほど削れていた。

いやこれいくら僕が初期値(ぺらぺら)だとしても序盤の敵にしては強すぎでは…

幸いにも通常のウサギたちは一騎討ちに手を出さないらしくこちらをじっと見つめている。しかし僕が逃げ出そうとする素振りを見せるだけで背後に回ってくる程度の手助けはあるらしい。

【 Action Skill : 《足刈り》 】

二本角は突進一辺倒ではないようで角を薙ぎ払うように足元へ攻撃してきた。ウサギらしい打点の低さ、そして出の素早さから《ステップ》する間もなく、跳ねるように回避するしかなかった。

【 Action Skill - Chain : 《突進》 】

「嘘でしょッ…!」

それすらも読んでいたウサギは空中で身動きのとれない僕に対してスキルをキャンセルし繋げてきた。
《ステップ》は空中では発動することができない。草の葉1枚の上だろうがモンスターの上だろうがどこかに触れていればいいのだけど、完全に空中で捉えられた。

そうだ、捉えろ。主導権を取り返せ。
……そこッ!

【 Action Skill : 《スラッシュ》 】

《突進)に合わせて《スラッシュ》をぶつける。
STRがモンスター側にもあるのか知らないけど、2振った程度の僕の筋力では力負けした。しかし目的はそこではない。

【 Action Skill - Chain : 《ステップ》 】

空中ではなくモンスターと接触している判定となった今、ステップを踏む。そのままステップよいうより相撲のうっちゃりのような形で二本角の後ろに回り込んだ。

【 Action Skill - Chain : 《ラッシュ》 】

無防備な背中に短剣のスキルを叩き込む。光を帯びた短剣は切っ先を余すことなくぶつける。

「かったいな……」

獣皮が石のように武器を通さなかった。僕とは比べるまでもないVIT様みたいだ。振ろうかな。
しかしラッシュの中の数度は突き刺さっていた。その数度はクリティカル判定が出たようで着実に二本角にダメージを与えられている。

二本角は格下に傷を負わされたのが不快なのか鼻を鳴らして地面を足で鳴らし続けている。
いや結局はAIだからあれもプログラミングされた行動には変わりない。ダメージを食らったからモーションが増えた?

「ダメージで隙が増えるタイプなら……攻め続けるのが正解かな」

隙を晒しているのか誘っているのか動かないウサギに対して短剣を振りかぶる。

【 Action Skill  : 《足刈り》 】
【 Action Skill - Chain : 《昇角》 】

また新しいスキルだ。足元を攻撃するスキル、二本角は最初から避けられるのをわかっていたように突進ではないスキルを発動した。突進の縦版……つまり角を振り上げる、その際後ろ足で飛び上がるスキルだった。

「学習されてる、めんどくさいなぁ…」

急ブレーキをかけて横に転がる。AGIによる加速ですっ転んだような不格好さになったがなんとかかすり傷で対処できた。

まぁかすり傷2回で致命傷なんだけど。先程街で買った初心者用の回復アイテムである『初心者ポーション』をがぶ飲みする。お腹に貯まる感覚はないのでがぶ飲みは表現だけだけど。

HP自体も増やしてないので初心者用の安いポーション2つで全回復する。10本買ったしあと4回は同じことができるね。

クールタイムか温存か様子見か。AIがどのような判断を下したかはわからないけどスキルでもない通常の突進が繰り出された。しかし先程よりも明らかに勢いも速さも足りない攻撃は簡単に避けられ、こちらもスキルを使わず短剣を突き刺す。

今回は狙いを絞り背…通らず…頭…硬い…足……通った!

角のある頭が一番丈夫で、背、足と柔らかくなっていくのかな……ウサギなのに変な生態だ。

【 Action Skill  : 《一蹴》 】

後ろ足を蹴り上げるスキル。意表は付かれたが剣も構えており相手は反射的に使用しただけのスキル。こちらの攻撃を合わせるだけで簡単に弾けた。

そのまま背後を取り続け執拗に後ろ足を斬りつける。ダメージを負うと動きを止め、背後には動きが読みやすいスキルしか使用しない。仮に無理やり突進されても僕のAGIならステップで背後に回り込める。

「ごちそうさま。ありがとうございました」

弱りきったウサギにスラッシュとラッシュを叩き込みとどめを刺した。正面からの殴り合いという点では強敵だった。ステップを教えてくれていなかったら弱点すら探れずにデスしてたな。

レベルが2つも上昇していたので序盤にしては強敵だったのだろう。他の敵にも群れのボス的なモンスターはいるのだろうか。



其は怨念の結晶。地に沈みし同族の願い。

『星へ生贄が捧げられました』
『反撃者からの変換を開始します』



レベルのステータス割り振り、新スキルの取得をしてから二本角からのドロップを確認しようと見るとウサギの死体、そしてそいつが引き連れていたウサギがいなくなっていた。

いやウサギだけじゃないな。よく見ると始めたばかりのプレイヤーらしき人たちもいなくなっていた。確かに僕がウサギを狩り続けたし、初心者にしても美味しくないモンスターとはいえさすがに見回して一人もいないなんてことは。

『CAUTION!ボスエリアに侵入しました!ボスが接近中!』

「え、門から出てすぐにボスって」

二本角の死体があった場所から蠢く泥の塊のようなものが浮かび上がる。そこら中から赤いどろどろとした、まるで血のようなエフェクトが泥の塊に集まっていく。
遠くから雷のような音が響くと泥の塊に光が落ちた。そしてボスの接近を知らせるのと同じシステムメッセージが浮かび上がった。

『魔物は共通して背に同族の血を纏い星に眠る精霊の力を宿す。
其の名を……復讐者(アベンジャー)』
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

俺の職業は【トラップ・マスター】。ダンジョンを経験値工場に作り変えたら、俺一人のせいでサーバー全体のレベルがインフレした件

夏見ナイ
SF
現実世界でシステムエンジニアとして働く神代蓮。彼が効率を求めVRMMORPG「エリュシオン・オンライン」で選んだのは、誰にも見向きもされない不遇職【トラップ・マスター】だった。 周囲の冷笑をよそに、蓮はプログラミング知識を応用してトラップを自動連携させる画期的な戦術を開発。さらに誰も見向きもしないダンジョンを丸ごと買い取り、24時間稼働の「全自動経験値工場」へと作り変えてしまう。 結果、彼のレベルと資産は異常な速度で膨れ上がり、サーバーの経済とランキングをたった一人で崩壊させた。この事態を危険視した最強ギルドは、彼のダンジョンに狙いを定める。これは、知恵と工夫で世界の常識を覆す、一人の男の伝説の始まり。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

処理中です...