Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~

NotWay

文字の大きさ
41 / 76

三十八話

しおりを挟む
階層を下ると今度は一階とも二階とも違う場所だった。一階はどちらかというと木の中、二階はジャングルだとするとここは……

「なんか、草原?」

「ですねー」

ダンジョンの中に何故か日が差し込み牧歌的な雰囲気のある草原が広がっていた。うーん、ナイスファンタジー。

「これ日差しとかどうなってるんですかねー?というか空間が急に広がったんですけどー」

「星の力とか、精霊の力とか、魔法の力とかじゃない?私はあんまり詳しくないしなー」

僕もよく知らないし、ゲームの中だから……と言われたら別にそれまでのような気がする問題だ。それよりも問題があるとするならばこの階層の階段がどこにあるかだ。
もしかしてこの広い草原内を走り回って階段を探せということだろうか、喜んで走りはするけど。

「僕がひとっ走り行ってきます」

「そんな自販機にジュース買いに行くみたいな気軽さで言わないでいいんだよ?」

そうはいっても一応後衛二人と前衛の僕なら僕が行った方がいいと思うし、僕ならそう易々とつかまらないし、なんなら走るの好きだし。

「いやー、最初は全員で歩けばいいんじゃないかなーって思うんですよー」

その手があったか。

歩き始めて数分だけど景色があまり変わらない。遠くに木の壁が見えるので別に迷いはしないがただただ草原が広がるばかりだ。このまま壁までたどり着けば階段があるのだろうか?

「あ、モンスターいるね」

「ああ、一階で見た蔦巨人」

なんだ、ここでも普通に出るのか。日光浴でもしてるのか一切動いていないが数匹で固まって立ち尽くしている。

「どうします?」

「とりあえず経験値も美味しいですしー、れっつとつげきー」

あいあいさー。



省略、瞬殺。特筆すべきこともなく撃破できる。複数で固まっていようと適当に機動力を削いで顔の部分をずたずたにすれば簡単に撃破できてしまうな。たぶん空中戦できないプレイヤーだったらもっと大変なんだろうなぁ、こいつ。そもそも顔に攻撃する手段が薄いし、魔法は細かく狙うのは難しいらしいし。

それにしても倒してみたけれど、一階のように道が現れたり、二階のように妨害しに来たというわけでもなさそうなのだがどうすればいいのだろうか。

「こっちから襲っちゃったけど、それまで敵対はしなかったみたいだね」

「ギミックですかねー、敵対しないことに意味あるギミックって倒しちゃいけない系しか思いつかないんですがー」

え、突撃って言ったのワンダードリームさんでは。
僕も何も考えず突撃したけど。

「とりあえず直進してみよっか。次にモンスターがいて敵対視なそうだったらそのままにしてみよう」

「了解ですー」

あいあいさー。



何体か蔦巨人や背中蔦、謎の植物モンスターを見るがどれも敵対はしてこない。なので攻撃をすることもなく指示に従い、歩く。
この階層ではこれしかしていない気がする。三階が広いドームのような空間だとして、今は真ん中らへんに差し掛かったあたりだろうか。ちょうどそのあたりで、今までとは少し景色が変わる。

「キレイな花が咲いてるね、一階のとも別のやつ。白くて可愛いね」

「またなんか埋まってたりしますかねー?」

だとしたら引き抜かないと……あれ?引き抜かなくていいんだっけ。もうすでに前のことな気がする。

「うーん……とりあえず採取してみよっか。何か出てくるかもしれないから警戒はしといてね」

「あ、じゃあ僕が抜きますよ」

今回で植物を切ったり引っこ抜いたりするのはだいぶうまくなった自信がある。少し後ろに二人を下がらせて花を引っこ抜いてみる。抜いた瞬間に【血兎】を展開し様子を見るも……特に変化なし。なんもないのだろうか?

「コマ君、何か変わった?」

「特に変化ないですね……っと待ってください」

引っこ抜いた花がみるみる枯れていく。白い花弁が茶色くなったかと思うとはらりと散っていき、土に吸収されていった。あれ、何がいけなかったのだろうか。

「三階はこれっぽいねー」

「今さらですけどー、ダンジョン攻略がノーヒントってつらくないですかー?」

「もしかしたら攻略する前にエルフの人とかに情報収集するのが正解だったのかもねー。今さらだけど」

そういえばそう考えたら一階も二階も事前に情報しいれていたらもっと楽勝だったし。あれ?僕たちってわざわざめんどくさいことしてる?

「まぁまぁ、昔のゲームなんてもっとめんどくさかったりするんだしこれはこれでいいじゃん。ということでレッツゴー!」

「いやいやー、レッツゴーの前にこの花のこと調べてくださいー」

顔を赤く染めて歩き出していたボタンさんが戻ってくる。賑やかな人だな。

花の抜き方に問題があるのだろうかと思いゆっくり抜いてみる、意味なし。逆に素早く、茎を手折って、剣で切って。
……どれもダメか。うーん、別にこれは持ち出し禁止のマップオブジェクトなのだろうか。

「僕はだめですね、二人はどうですか?」

「取ろうとしてもダメみたいだから色々試行錯誤中ー。こういうのはリー君リーちゃんの方が得意なんだけどなー」

「ログインしてるならクランチャットで聞いてみるとか」

「お、それいいね。相談してみよー」

というとクランチャットではなくフレンドへの個人チャットを行うボタンさん。ワンダードリームさんはなんかわからないけど日向ぼっこをしている。そのまま眠りそうだなこの人。あ、寝た。

横顔を観察しているけど、寝ている姿が様になる人だな。普段の姿が眠そうなパジャマ姿だからだろうか。とはいえ草原にパジャマはまったく似合ってないのだけれど。

「なるほどねー、ドリちゃん魔力の流れを……って!なんで寝てるの!コマ君も女の子が寝てる横顔をまじまじ見ない!」

確かにそうだ。失礼なことを。

「天気が良くてー……なんですかー」

いや、この人なら見てても気にせず寝てそうな気がする。

「特殊なアイテムの使用か魔法的採取かもしれないから花の周りの魔力を見ろって。できれば土属性で」

「おー。なるほどー?」

そういうとスキルログは流れないがワンダードリームさんの目の周りにスキルエフェクトを同じ光が集まり、花を注視し始めた。魔力とか見えるんだこのゲーム。
その状態でボタンさんが様々な方法で花にアプローチをかけるとワンダードリームさんが途中で止めた。

「やっぱり地面から何か吸収しているっぽいのでー、切り離した途端に吸収できなくなって枯れちゃうみたいですねー」

「じゃあ今はどうにかできないかー、やっぱりまだ探索かな」

まぁまだこの階層半分も見てないですからね。と言ってもここで使った時間も微々たる物だし。気にしないで。



「うーん……コマイヌ君ー、辺りをちょっとダッシュでー。夢は少し休憩するのですー」

あいあいさー。

「ドリちゃんそんなコマ君を……ってコマ君も行かなくていいからって足はっや!」

【 Action Skill : 《ダッシュ》】

スキルの≪ダッシュ≫と単純にダッシュ、走ることを交互に行い全速力で走り回る。まずはシャトルランのようにドームの壁際まで。壁際の方は少し茂みや低木があり、草原とはまた少し景色が変わる。

しかしそれだけらしいので今度は入り口から見て右端の方へ走る。途中モンスターとすれ違うも敵対もしないし、そもそも相手の攻撃が当たる速度では走っていない。

それにしてもこの速度にも慣れたものだ。あと地味に忘れられているかもしれないがAGIをあげれば走り続けるスタミナも一緒に上昇するので今までと走り続ける際の持久力も違う。

うおおおおお、今僕は全力で世界を楽しんでるぞおおおおお。



「で、コマ君。何かあった?」

「走ってたら楽しかったので忘れてました、もう一回行ってきます」

もう一回走れるよ、やったね。今度はちゃんと探してくるのでそんな残念な物を見る目はやめてください……ごめんなさい……
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

俺の職業は【トラップ・マスター】。ダンジョンを経験値工場に作り変えたら、俺一人のせいでサーバー全体のレベルがインフレした件

夏見ナイ
SF
現実世界でシステムエンジニアとして働く神代蓮。彼が効率を求めVRMMORPG「エリュシオン・オンライン」で選んだのは、誰にも見向きもされない不遇職【トラップ・マスター】だった。 周囲の冷笑をよそに、蓮はプログラミング知識を応用してトラップを自動連携させる画期的な戦術を開発。さらに誰も見向きもしないダンジョンを丸ごと買い取り、24時間稼働の「全自動経験値工場」へと作り変えてしまう。 結果、彼のレベルと資産は異常な速度で膨れ上がり、サーバーの経済とランキングをたった一人で崩壊させた。この事態を危険視した最強ギルドは、彼のダンジョンに狙いを定める。これは、知恵と工夫で世界の常識を覆す、一人の男の伝説の始まり。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

処理中です...