5 / 12
出会いました
狩人さんに出会いました
しおりを挟む
振り向いた時、そこにいたのは一人の青年だった。
緑を基調とした服装に茶色っぽいマントを羽織り、猟銃を持っている。
「こんばんわ、お嬢さん。こんなところでどうしたの?」
「…遠くに住んでいるお祖母様のところへ行く途中なのよ」
「もう暗いけど、大丈夫?」
「ええ。山小屋で一晩明かすから問題ないわ」
「そう、それなら大丈夫だね。ところで、この辺りで僕以外に誰かいなかったかな?」
「?どうして?」
「じつは……」
目の前の青年は語る。
曰く、
隣国の凶悪犯が牢から脱走して、この辺りで目撃情報があったと。
自分は狩人だからこの辺の情報に詳しく気にしていた…と。
「どうかな?」
「んー、怪しい人は見かけなかったわ」
(だって彼は怪我をしていた。牢を出るくらい行きたいと思っているなら、少なくとも傷を手当てするくらいはするはずだから…)
そう結論づけて目の前の青年に言うと、彼は頷いてから念を押すように言う。
「怪しい人には近づかないようにしなさい。何かあってからでは遅いのだから」
「ええ。ありがとう」
笑顔でお礼を言うと満足そうに笑って立ち去った。
(彼は自分を狩人だと行っていたけど…なんだか違和感があったような…)
しばらく立ち去る青年の後ろ姿を見ていたが、その違和感の正体がわからずなんだかモヤモヤした。
視線を落とした時、視界にはいた薬草を見て先にやることを思い出し慌てて山小屋に帰る。
まずは怪我を負っている青年を助けなくてはいけない。
小屋に戻ると青年は静かに眠っていた。
青白い顔はしているが、表情は少し穏やかだ。
薬草を置いて、また川に行って水を汲んでくると準備は整った。
「これと、これで傷薬になり…ああ、きっと熱が出るから熱ざましも必要ですね」
元々の口調が出てしまうが、ここに意識のある人は私しかいない。
咎める人がいないのだからのびのび自分の言葉を使える。
彼かが起きれば元に戻るのだけど…。
無心になって薬を作り、傷の手当てをしてしまう。このままでは化膿をしてもっとひどいことになってしまうからだ。
そして、熱ざましのお茶とスープも作った。
しかし、青年はまだ目を覚まさない。
彼の看病をするなら、きっとおばあさんの家に行くのは遅くなってしまうだろ。
だけど、死にそうな人を放ってはおけない。
目を覚ましていないことを確認してから、彼を観察する。
群青色の髪に精悍な顔立ち。意志の強そうな眉とほどよく日焼けをしている肌。瞳はしっかり閉じられているのでわからないが、手当てした時に見た体は細身ながらもガッチリとしていた。
「う…」
彼からうめき声が上がる。
そっと顔を覗き込んだら……彼の炎のように紅い瞳と目が合ったのだった。
緑を基調とした服装に茶色っぽいマントを羽織り、猟銃を持っている。
「こんばんわ、お嬢さん。こんなところでどうしたの?」
「…遠くに住んでいるお祖母様のところへ行く途中なのよ」
「もう暗いけど、大丈夫?」
「ええ。山小屋で一晩明かすから問題ないわ」
「そう、それなら大丈夫だね。ところで、この辺りで僕以外に誰かいなかったかな?」
「?どうして?」
「じつは……」
目の前の青年は語る。
曰く、
隣国の凶悪犯が牢から脱走して、この辺りで目撃情報があったと。
自分は狩人だからこの辺の情報に詳しく気にしていた…と。
「どうかな?」
「んー、怪しい人は見かけなかったわ」
(だって彼は怪我をしていた。牢を出るくらい行きたいと思っているなら、少なくとも傷を手当てするくらいはするはずだから…)
そう結論づけて目の前の青年に言うと、彼は頷いてから念を押すように言う。
「怪しい人には近づかないようにしなさい。何かあってからでは遅いのだから」
「ええ。ありがとう」
笑顔でお礼を言うと満足そうに笑って立ち去った。
(彼は自分を狩人だと行っていたけど…なんだか違和感があったような…)
しばらく立ち去る青年の後ろ姿を見ていたが、その違和感の正体がわからずなんだかモヤモヤした。
視線を落とした時、視界にはいた薬草を見て先にやることを思い出し慌てて山小屋に帰る。
まずは怪我を負っている青年を助けなくてはいけない。
小屋に戻ると青年は静かに眠っていた。
青白い顔はしているが、表情は少し穏やかだ。
薬草を置いて、また川に行って水を汲んでくると準備は整った。
「これと、これで傷薬になり…ああ、きっと熱が出るから熱ざましも必要ですね」
元々の口調が出てしまうが、ここに意識のある人は私しかいない。
咎める人がいないのだからのびのび自分の言葉を使える。
彼かが起きれば元に戻るのだけど…。
無心になって薬を作り、傷の手当てをしてしまう。このままでは化膿をしてもっとひどいことになってしまうからだ。
そして、熱ざましのお茶とスープも作った。
しかし、青年はまだ目を覚まさない。
彼の看病をするなら、きっとおばあさんの家に行くのは遅くなってしまうだろ。
だけど、死にそうな人を放ってはおけない。
目を覚ましていないことを確認してから、彼を観察する。
群青色の髪に精悍な顔立ち。意志の強そうな眉とほどよく日焼けをしている肌。瞳はしっかり閉じられているのでわからないが、手当てした時に見た体は細身ながらもガッチリとしていた。
「う…」
彼からうめき声が上がる。
そっと顔を覗き込んだら……彼の炎のように紅い瞳と目が合ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
会社員の青年と清掃員の老婆の超越した愛
MisakiNonagase
恋愛
二十六歳のレンが働くオフィスビルには、清掃員として七十歳のカズコも従事している。カズコは愛嬌のある笑顔と真面目な仕事ぶりで誰からも好かれていた。ある日の仕事帰りにレンがよく行く立ち飲み屋に入ると、カズコもいた。清掃員の青い作業服姿しか見たことのなかったレンは、ごく普通の装いだったがカズコの姿が輝いて見えた。それから少しづつ話すようになり、二人は年の差を越えて恋を育んでいくストーリーです。不倫は情事かもしれないが、この二人には情状という言葉がふさわしい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる
九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。
※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる