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一万年に一人の美少女アイドルとダンジョン攻略4
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≪ダンジョン・入口≫
「いや~、待ちくたびれましたよ。ようやく来てくれましたね、精鋭の戦士団」
ガイドはオリバー共和国の戦士団を歓迎する。
「こっちはもう準備万端ですよ」
ガイドはニヤリと笑う。
「我々も準備は整っている。いよいよダーク・クラーケンを討伐し、このダンジョンで最高のアイテムをオリバー共和国に持ち帰るのだ!!」
戦士団の団長がそう言うと、
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
戦士団は鬨の声を上げる。
ジ、ジジ、、、、、
空間が歪む音がした。
ヴオォォオンンン。。。。。。。
翔とミゾレがワープで姿を現す。
「な、なんだと!!?」
ガイドと戦士団は狼狽する。
「一体どうなっているんだ!?」
団長はガイドに詰問する。
「え?いや、わたしに言われましても。。。。」
「帰還の腕輪は停止しておけとあれほど言っただろうが!!」
「い、いえ、わたしは確かに腕輪の機能を停止しておきました!」
「なら何故ターゲットの二人が自由に帰還の腕輪を発動出来たんだ!?」
団長の怒号にガイドは萎縮する。
「おい」
翔は言葉をはさむ。
その言葉に団長は怒鳴り声で返す。
「お前は黙っていろ!!お前らの所為で計画が台無しだ!!」
団長の横暴な振る舞いは、翔にとって酷く不愉快だった。
ミゾレが危険に曝されたのだ。
助かったのは僧侶の腕輪が有ったからで、結果論に過ぎない。
「お前らは生贄としての役目も全う出来ないのか!!」
団長は翔とミゾレを罵倒する。
ズバッ!!
翔の神速の居合抜きで、団長の片腕は宙に舞う。
「グギャアアアアア!!!」
団長は悲鳴を上げる。
他の戦士は武器を構えた。
だが。
ズババ!!
翔は全員を一瞬で戦闘不能にした。
毒に身体を蝕まれながらも、勇者の腕輪でミゾレの回復をしつつ、ダーク・クラーケンの猛攻を捌ききり、ダーク・クラーケンを刀の錆にした翔にとって、オリバー共和国の精鋭戦士団は欠伸が出るほど弱い。
「キキキキキミは自分が何をしたか分かっているのか!?オリバー共和国の精鋭戦士団以外、一体誰がダーク・クラーケンを討伐出来るっていうんだ!?」
ガイドは狂乱する。
「ダーク・クラーケンなど、すでに討伐したが?」
翔は当然の如く言う。
「嘘を吐くな!」
口調は強いが、団長は片腕を飛ばされ、戦士団は瞬殺された。
ガイドは怖気付く。
「腕輪の機能を使い、映像を確かめてみろ」
翔の言葉にガイドは映像を確かめる。
「ばっ、馬鹿な!!ダーク・クラーケンが!!!死んでいる!!!」
ガイドはワナワナと震えだす。
「い、一体誰が。。。。???」
「だから俺がダーク・クラーケンを討伐したと言っている」
「そそそそそれならアイテムは!?レアアイテムは!!??」
「俺の腕に有るだろうが」
翔は僧侶の腕輪を見せる。
「そそそそそんな馬鹿な!!しかも他にも腕輪が!!」
ガイドは翔が装着している二つの勇者の腕輪を見る。
ガイドは混乱しながらも、思案した。
「。。。。。。いやぁ、おめでとうございます!これにて見事、オリバー共和国から望む報酬を受け取る事が出来ますよ!さあ、オリバー共和国へ向かいましょう!」
ガイドは最も自分に利益になる提案をした。
ズバン!
翔はガイドを斬り付ける。
「んぎゃあああああああああああああああああ!!!」
ガイドは悲鳴を上げた。
悲鳴が耳障りなので、ガイドの顔面を拳で殴り付ける。
「今からお前達をダンジョンにワープさせる。自力で生き残ってみろ」
翔は団長とガイドをワープの台座に乗せ、ダンジョンへとワープさせる。
「こんな事が許されると思っているのか!?」
「わたしは命令されていただけです!!」
「お前を殺してやる!!」
「こんな事をすれば、オリバー共和国に殺されますよ!?」
「分かった!認めよう!お前は強い!早くこの馬鹿な真似を止めるんだ!」
「わたしだけでも助け/
ギュオオオオオ。。。。。カッ!!!
台座にエネルギーが渦巻き、光が湧き上がる。
ガイドと団長が好き勝手に喋っている途中でワープが発動し、二人はダンジョンに送り込まれた。
勿論、帰還の腕輪は渡されていない。
翔は振り返り、戦士団を見る。
「ひぃっ!!」
戦士団は翔の殺気に気圧されて悲鳴を上げた。
「お前達、俺に何か提示できるか?」
翔は戦士団に問う。
「な、なにかって?」
「何でも良い。道具でも、情報でも。お前達の国。オリバー共和国に付いて、知っている事を言え」
翔は剣を向ける。
「オ、オ、オリバー共和国は元々王国だったが、国王の暴政に民衆は困窮し、救国の革命家クローヴァーが王制に反旗を翻し。。。」
「その様な宣伝には興味が無い。今現在のオリバー共和国の政治情勢を語れ」
「い、今のオリバー共和国は、王国時代の負の遺物、メアリー伯爵に手を焼いている。
メアリー伯爵は頑なに既得権益にしがみ付き、共和制に反発している。
領民に呼びかけても、すっかり洗脳されていてメアリー伯爵の言うなりなんだ。
話し合いが通じないなら、いっそのこと武力で解決すればいいと共和国議会で採決されたが、派兵は失敗に終わった。メアリー伯爵も異世界召喚に手を染めていたんだ。
しかも、メアリー伯爵領にもダンジョンが有って、召喚者たちが次々と攻略に乗り出している。このままじゃあ折角の共和制国家、オリバー共和国が滅びてしまう!
だ、だから、その」
「お前は勘違いをしている」
翔は指摘する。
「か、かんちがいをしている???」
オリバー共和国の戦士は翔の指摘を理解出来なかった。
「共和制国家の指導者が、必ずしも君主制国家の指導者よりも有能とは限らない」
翔は堂々たる宣言をした。
「そ、そんな事はない!我々オリバー共和国は公正なる選挙を経て正しい指導者を選出した!」
オリバー共和国の戦士は反論する。
「それで、選出された指導者の計画を実行に移した結果が今のお前達だ」
翔は揺るぎ無い事実を突き付けた。
「う、ぐ、、、」
オリバー共和国の戦士は言葉を詰まらせる。
「メアリー伯爵とやらに興味が湧いた。メアリー伯爵領の地図を寄こせ」
「そ、そんなものは持ってきていない!持ってきたのはダンジョンの地図だけだ!」
「ならば、書き込め」
翔は、今いるダンジョンに来る際に使用した地図を取り出す。
「此処が現在地だ。それで、メアリー伯爵領は何処だ?指し示せ」
翔は一人ずつ地図を見せる。
「こ、此処が現在地なら、メアリー伯爵領はこの辺りだ」
戦士は地図の中のメアリー伯爵領を指し示す。
「次はお前だ。メアリー伯爵領を指し示せ」
翔は一人ずつから見えないように位置を聞き出す。
全員から場所を聞き出した。
「どうやら嘘は吐いていないようだな」
翔は地図上のメアリー伯爵領に印を付ける。
「もういいだろ!!」
「さっさと消えちまえ!」
「共和制の敵め!」
「覚えてろよ!!」
戦士たちは翔を罵倒する。
「奇妙な事を言うな。お前達に明日が来るかの様な言い草だ」
翔の言葉に戦士たちは凍りつく。
「ダンジョン攻略しに来たんだろう?楽しんで行くが良い」
翔は戦士たちをワープの台座に乗せて、ダンジョン内部にワープさせる。
「待ってく」
「頼む止め」
「何でもす」
「悪かっ」
次々と戦士たちはダンジョン内部にワープされていく。
そして全ての敵をダンジョン内部にワープさせた。
武器も帰還の腕輪も持たせずに。
≪ダンジョン内部≫
「うわあああああ!!」
ガイドは発狂している。
「最悪だ!こんな目に会うなんて!!」
「うるさいぞ!そもそもお前が帰還の腕輪の機能を停止しておかなかったから、こんな事になったんだ!!」
団長はガイドを罵倒する。
団長もガイドも、ダーク・クラーケンの部屋に脱出用のワープの台座が有る事を知らない。
もっとも、辿り着く事など出来はしないが。
「何を言ってるんですか!?わたしは確かに帰還の腕輪を機能停止にしておきましたよ!!大体、あなた達こそ来るのが遅いんですよ!!あんた達が到着に間に合っていれば、あいつらとワープで位置を交換して、ダーク・クラーケンの部屋のアイテムを手に入れる事が出来たのに!!」
ガイドと団長は言い争う。
「あんただと?一体誰に言っている積もりだ!?」
団長は凄んで見せる。
「あんたですよ!あ・ん・た!あいつに片腕を吹っ飛ばされた激弱の団長さん」
ガイドは団長を馬鹿にした。
「片腕でも、お前ぐらい訳なく殺せるぞ!!」
団長の言葉に、ガイドは怯む。
「や、やだなぁ。なに本気になってるんですか。冗談ですよ。冗談」
ガイドはおどけてみせたが、団長は翔に完敗した悔しさをガイドに向ける。
「うわあああああああああああ!!!」
団長はガイドに襲いかかった。
「ひいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
ガイドは逃げ惑う。
≪ダンジョン・地下2F≫
「はあ、はあ、クソッ!!ガイドめ!ブッ殺してやる!!」
団長は翔に斬り飛ばされた片腕を押さえながらヨロヨロと歩く。
「だ、団長」
その声は、戦士団の戦士だった。
「おお、お前か、今ガイドが逃げていった!追ってすぐに殺せ!!」
団長は戦士に命令する。
「そんな事より、どうやって脱出するんですか?」
戦士は当然の疑問を口にした。
「そんな事?そんな事だと!?あいつはこの俺を馬鹿にしやがったんだぞ?悔しくないのか!お前は!!自分の所属する戦士団の団長を馬鹿にされたんだぞ!!」
「今は脱出方法を見つける方が先ですよ」
「悔しくないのか!?恥ずかしくないのか!?この玉無し野郎!!」
団長は戦士を罵倒する。
戦士はムッとした。
「あの召喚者に瞬殺された団長の方が恥ずかしいですよ」
「なんだと!?」
「団長の方が恥ずかしいって言ったんですよ!!ボロ負けして、八つ当たりして、アンタみたいな団長だから、こんな事になったんだよ!!」
「なんだと~!?」
「ホントの事でしょ!!」
「今まで誰が世話してやったと思ってんだ!!?」
「アンタの世話になった事なんてねえよ!!何時も口だけで部下にやらせて!失敗したら部下のせい!成功したら手柄を横取り!!お前なんていない方が良いんだよ!!団の誰もお前の事を慕ってなんかないんだよ!!」
「なんだと!!!」
「さっきから『なんだと』ばっかだな!!ボキャブラリー少なすぎだろ!!低能!!」
「死ね!!」
「お前が死ね!!」
団長と戦士は取っ組み合い、殺し合う。
≪ダンジョン・地下3F≫
「はぁっ、はぁっ、ここまで来れば、安全でしょう。追いつくまでに、あいつは出血多量で死ぬはずですからね、くくく」
ガイドは息を切らしながら笑う。
「て、てめぇ、、、、よくも俺らを見捨てたな。。。。」
恨みに満ちた声がした。
「キ、キミ達は!?」
ガイドの視線の先にいたのは、翔に斬られたオリバー共和国の手先、ガイドが捨て駒と言い捨てた三人だった。
団長から逃げたガイドが辿り着いたのは、毒の水路だった。
「よくも俺達を捨て駒扱いしてくれたな。。。。!!」
「死ねええええええええ!!」
血塗れの三人はガイドに襲いかかる。
「ひっ!!」
ガイドは逃げようとするが、団長から逃げたばかりで、体力が無かった。
足を掴まれる。
「まままま待つんです!!こんな事をしても、どうにもなりませんよ!!」
ガイドは捨て駒の三人を説得する。
「俺たちゃ、もう直ぐ死ぬ。元からどうにもならねぇんだよ!!」
捨て駒の三人はガイドに襲いかかる。
「ひぃ!!」
ガイドは滅茶苦茶に腕を振り回す。
しかし、瀕死の三人には通用した。
肘が瀕死の男の顔面に当たる。
「ぐっ」
「は、ははは!なんだ、わたしでも倒せるじゃないですか!!心配して損しましたよ!
むしろわたしの方からキミたちの息の根を止めてやりますよ!!」
ガイドは笑いながら瀕死の男を蹴る。
「ははははは!!捨て駒の分際で、逆らうんじゃありませんよ!!」
ガイドはすでに息絶えた男を蹴る。
「さあ、残り二人ですよ!次はどっちから殺してやりましょうかね!?」
ガイドは強者として振る舞う。
「おい、俺は正面から行く、お前は後ろから襲え」
瀕死の男は二手に分かれる。
「え?そ、そんな、やめましょうよ、仲間同士で」
ガイドは瀕死の男、二人に挟み打ちにされて慌てる。
「仲間の事を仲間だと思ってるなら、捨て駒なんて言わねえんだよ――――!!!」
瀕死の男二人はガイドに襲いかかる。
「うわああああああああ!!」
ガイドは腕を振り回す。
正面から襲いかかってきた男に手の甲が当たり、正面から来た男は毒の水に落ちた。
「はははは!!!ざまぁ!!」
ガイドは笑う。
「死ね死ね――――!!」
這い上がろうとする瀕死の男の頭を足で沈める。
ガイドの身体に後ろから来た男がタックルをした。
「お前も死ぬんだよ」
瀕死の男はガイドの身体に抱き付き、自分ごと毒の水路に飛び込む。
「ま、待て止めろ!痛い!痛い!助け。。。!!」
ガイドは悲鳴を上げ、禍々しい色をする水路に引きずり込まれる。
悲鳴は泡の音に代わり、ガイドは瀕死の男と共に毒の水路の中に消えた。
その場にいた全ての人間が死んだ。
翔の完全勝利である。
「いや~、待ちくたびれましたよ。ようやく来てくれましたね、精鋭の戦士団」
ガイドはオリバー共和国の戦士団を歓迎する。
「こっちはもう準備万端ですよ」
ガイドはニヤリと笑う。
「我々も準備は整っている。いよいよダーク・クラーケンを討伐し、このダンジョンで最高のアイテムをオリバー共和国に持ち帰るのだ!!」
戦士団の団長がそう言うと、
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
戦士団は鬨の声を上げる。
ジ、ジジ、、、、、
空間が歪む音がした。
ヴオォォオンンン。。。。。。。
翔とミゾレがワープで姿を現す。
「な、なんだと!!?」
ガイドと戦士団は狼狽する。
「一体どうなっているんだ!?」
団長はガイドに詰問する。
「え?いや、わたしに言われましても。。。。」
「帰還の腕輪は停止しておけとあれほど言っただろうが!!」
「い、いえ、わたしは確かに腕輪の機能を停止しておきました!」
「なら何故ターゲットの二人が自由に帰還の腕輪を発動出来たんだ!?」
団長の怒号にガイドは萎縮する。
「おい」
翔は言葉をはさむ。
その言葉に団長は怒鳴り声で返す。
「お前は黙っていろ!!お前らの所為で計画が台無しだ!!」
団長の横暴な振る舞いは、翔にとって酷く不愉快だった。
ミゾレが危険に曝されたのだ。
助かったのは僧侶の腕輪が有ったからで、結果論に過ぎない。
「お前らは生贄としての役目も全う出来ないのか!!」
団長は翔とミゾレを罵倒する。
ズバッ!!
翔の神速の居合抜きで、団長の片腕は宙に舞う。
「グギャアアアアア!!!」
団長は悲鳴を上げる。
他の戦士は武器を構えた。
だが。
ズババ!!
翔は全員を一瞬で戦闘不能にした。
毒に身体を蝕まれながらも、勇者の腕輪でミゾレの回復をしつつ、ダーク・クラーケンの猛攻を捌ききり、ダーク・クラーケンを刀の錆にした翔にとって、オリバー共和国の精鋭戦士団は欠伸が出るほど弱い。
「キキキキキミは自分が何をしたか分かっているのか!?オリバー共和国の精鋭戦士団以外、一体誰がダーク・クラーケンを討伐出来るっていうんだ!?」
ガイドは狂乱する。
「ダーク・クラーケンなど、すでに討伐したが?」
翔は当然の如く言う。
「嘘を吐くな!」
口調は強いが、団長は片腕を飛ばされ、戦士団は瞬殺された。
ガイドは怖気付く。
「腕輪の機能を使い、映像を確かめてみろ」
翔の言葉にガイドは映像を確かめる。
「ばっ、馬鹿な!!ダーク・クラーケンが!!!死んでいる!!!」
ガイドはワナワナと震えだす。
「い、一体誰が。。。。???」
「だから俺がダーク・クラーケンを討伐したと言っている」
「そそそそそれならアイテムは!?レアアイテムは!!??」
「俺の腕に有るだろうが」
翔は僧侶の腕輪を見せる。
「そそそそそんな馬鹿な!!しかも他にも腕輪が!!」
ガイドは翔が装着している二つの勇者の腕輪を見る。
ガイドは混乱しながらも、思案した。
「。。。。。。いやぁ、おめでとうございます!これにて見事、オリバー共和国から望む報酬を受け取る事が出来ますよ!さあ、オリバー共和国へ向かいましょう!」
ガイドは最も自分に利益になる提案をした。
ズバン!
翔はガイドを斬り付ける。
「んぎゃあああああああああああああああああ!!!」
ガイドは悲鳴を上げた。
悲鳴が耳障りなので、ガイドの顔面を拳で殴り付ける。
「今からお前達をダンジョンにワープさせる。自力で生き残ってみろ」
翔は団長とガイドをワープの台座に乗せ、ダンジョンへとワープさせる。
「こんな事が許されると思っているのか!?」
「わたしは命令されていただけです!!」
「お前を殺してやる!!」
「こんな事をすれば、オリバー共和国に殺されますよ!?」
「分かった!認めよう!お前は強い!早くこの馬鹿な真似を止めるんだ!」
「わたしだけでも助け/
ギュオオオオオ。。。。。カッ!!!
台座にエネルギーが渦巻き、光が湧き上がる。
ガイドと団長が好き勝手に喋っている途中でワープが発動し、二人はダンジョンに送り込まれた。
勿論、帰還の腕輪は渡されていない。
翔は振り返り、戦士団を見る。
「ひぃっ!!」
戦士団は翔の殺気に気圧されて悲鳴を上げた。
「お前達、俺に何か提示できるか?」
翔は戦士団に問う。
「な、なにかって?」
「何でも良い。道具でも、情報でも。お前達の国。オリバー共和国に付いて、知っている事を言え」
翔は剣を向ける。
「オ、オ、オリバー共和国は元々王国だったが、国王の暴政に民衆は困窮し、救国の革命家クローヴァーが王制に反旗を翻し。。。」
「その様な宣伝には興味が無い。今現在のオリバー共和国の政治情勢を語れ」
「い、今のオリバー共和国は、王国時代の負の遺物、メアリー伯爵に手を焼いている。
メアリー伯爵は頑なに既得権益にしがみ付き、共和制に反発している。
領民に呼びかけても、すっかり洗脳されていてメアリー伯爵の言うなりなんだ。
話し合いが通じないなら、いっそのこと武力で解決すればいいと共和国議会で採決されたが、派兵は失敗に終わった。メアリー伯爵も異世界召喚に手を染めていたんだ。
しかも、メアリー伯爵領にもダンジョンが有って、召喚者たちが次々と攻略に乗り出している。このままじゃあ折角の共和制国家、オリバー共和国が滅びてしまう!
だ、だから、その」
「お前は勘違いをしている」
翔は指摘する。
「か、かんちがいをしている???」
オリバー共和国の戦士は翔の指摘を理解出来なかった。
「共和制国家の指導者が、必ずしも君主制国家の指導者よりも有能とは限らない」
翔は堂々たる宣言をした。
「そ、そんな事はない!我々オリバー共和国は公正なる選挙を経て正しい指導者を選出した!」
オリバー共和国の戦士は反論する。
「それで、選出された指導者の計画を実行に移した結果が今のお前達だ」
翔は揺るぎ無い事実を突き付けた。
「う、ぐ、、、」
オリバー共和国の戦士は言葉を詰まらせる。
「メアリー伯爵とやらに興味が湧いた。メアリー伯爵領の地図を寄こせ」
「そ、そんなものは持ってきていない!持ってきたのはダンジョンの地図だけだ!」
「ならば、書き込め」
翔は、今いるダンジョンに来る際に使用した地図を取り出す。
「此処が現在地だ。それで、メアリー伯爵領は何処だ?指し示せ」
翔は一人ずつ地図を見せる。
「こ、此処が現在地なら、メアリー伯爵領はこの辺りだ」
戦士は地図の中のメアリー伯爵領を指し示す。
「次はお前だ。メアリー伯爵領を指し示せ」
翔は一人ずつから見えないように位置を聞き出す。
全員から場所を聞き出した。
「どうやら嘘は吐いていないようだな」
翔は地図上のメアリー伯爵領に印を付ける。
「もういいだろ!!」
「さっさと消えちまえ!」
「共和制の敵め!」
「覚えてろよ!!」
戦士たちは翔を罵倒する。
「奇妙な事を言うな。お前達に明日が来るかの様な言い草だ」
翔の言葉に戦士たちは凍りつく。
「ダンジョン攻略しに来たんだろう?楽しんで行くが良い」
翔は戦士たちをワープの台座に乗せて、ダンジョン内部にワープさせる。
「待ってく」
「頼む止め」
「何でもす」
「悪かっ」
次々と戦士たちはダンジョン内部にワープされていく。
そして全ての敵をダンジョン内部にワープさせた。
武器も帰還の腕輪も持たせずに。
≪ダンジョン内部≫
「うわあああああ!!」
ガイドは発狂している。
「最悪だ!こんな目に会うなんて!!」
「うるさいぞ!そもそもお前が帰還の腕輪の機能を停止しておかなかったから、こんな事になったんだ!!」
団長はガイドを罵倒する。
団長もガイドも、ダーク・クラーケンの部屋に脱出用のワープの台座が有る事を知らない。
もっとも、辿り着く事など出来はしないが。
「何を言ってるんですか!?わたしは確かに帰還の腕輪を機能停止にしておきましたよ!!大体、あなた達こそ来るのが遅いんですよ!!あんた達が到着に間に合っていれば、あいつらとワープで位置を交換して、ダーク・クラーケンの部屋のアイテムを手に入れる事が出来たのに!!」
ガイドと団長は言い争う。
「あんただと?一体誰に言っている積もりだ!?」
団長は凄んで見せる。
「あんたですよ!あ・ん・た!あいつに片腕を吹っ飛ばされた激弱の団長さん」
ガイドは団長を馬鹿にした。
「片腕でも、お前ぐらい訳なく殺せるぞ!!」
団長の言葉に、ガイドは怯む。
「や、やだなぁ。なに本気になってるんですか。冗談ですよ。冗談」
ガイドはおどけてみせたが、団長は翔に完敗した悔しさをガイドに向ける。
「うわあああああああああああ!!!」
団長はガイドに襲いかかった。
「ひいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
ガイドは逃げ惑う。
≪ダンジョン・地下2F≫
「はあ、はあ、クソッ!!ガイドめ!ブッ殺してやる!!」
団長は翔に斬り飛ばされた片腕を押さえながらヨロヨロと歩く。
「だ、団長」
その声は、戦士団の戦士だった。
「おお、お前か、今ガイドが逃げていった!追ってすぐに殺せ!!」
団長は戦士に命令する。
「そんな事より、どうやって脱出するんですか?」
戦士は当然の疑問を口にした。
「そんな事?そんな事だと!?あいつはこの俺を馬鹿にしやがったんだぞ?悔しくないのか!お前は!!自分の所属する戦士団の団長を馬鹿にされたんだぞ!!」
「今は脱出方法を見つける方が先ですよ」
「悔しくないのか!?恥ずかしくないのか!?この玉無し野郎!!」
団長は戦士を罵倒する。
戦士はムッとした。
「あの召喚者に瞬殺された団長の方が恥ずかしいですよ」
「なんだと!?」
「団長の方が恥ずかしいって言ったんですよ!!ボロ負けして、八つ当たりして、アンタみたいな団長だから、こんな事になったんだよ!!」
「なんだと~!?」
「ホントの事でしょ!!」
「今まで誰が世話してやったと思ってんだ!!?」
「アンタの世話になった事なんてねえよ!!何時も口だけで部下にやらせて!失敗したら部下のせい!成功したら手柄を横取り!!お前なんていない方が良いんだよ!!団の誰もお前の事を慕ってなんかないんだよ!!」
「なんだと!!!」
「さっきから『なんだと』ばっかだな!!ボキャブラリー少なすぎだろ!!低能!!」
「死ね!!」
「お前が死ね!!」
団長と戦士は取っ組み合い、殺し合う。
≪ダンジョン・地下3F≫
「はぁっ、はぁっ、ここまで来れば、安全でしょう。追いつくまでに、あいつは出血多量で死ぬはずですからね、くくく」
ガイドは息を切らしながら笑う。
「て、てめぇ、、、、よくも俺らを見捨てたな。。。。」
恨みに満ちた声がした。
「キ、キミ達は!?」
ガイドの視線の先にいたのは、翔に斬られたオリバー共和国の手先、ガイドが捨て駒と言い捨てた三人だった。
団長から逃げたガイドが辿り着いたのは、毒の水路だった。
「よくも俺達を捨て駒扱いしてくれたな。。。。!!」
「死ねええええええええ!!」
血塗れの三人はガイドに襲いかかる。
「ひっ!!」
ガイドは逃げようとするが、団長から逃げたばかりで、体力が無かった。
足を掴まれる。
「まままま待つんです!!こんな事をしても、どうにもなりませんよ!!」
ガイドは捨て駒の三人を説得する。
「俺たちゃ、もう直ぐ死ぬ。元からどうにもならねぇんだよ!!」
捨て駒の三人はガイドに襲いかかる。
「ひぃ!!」
ガイドは滅茶苦茶に腕を振り回す。
しかし、瀕死の三人には通用した。
肘が瀕死の男の顔面に当たる。
「ぐっ」
「は、ははは!なんだ、わたしでも倒せるじゃないですか!!心配して損しましたよ!
むしろわたしの方からキミたちの息の根を止めてやりますよ!!」
ガイドは笑いながら瀕死の男を蹴る。
「ははははは!!捨て駒の分際で、逆らうんじゃありませんよ!!」
ガイドはすでに息絶えた男を蹴る。
「さあ、残り二人ですよ!次はどっちから殺してやりましょうかね!?」
ガイドは強者として振る舞う。
「おい、俺は正面から行く、お前は後ろから襲え」
瀕死の男は二手に分かれる。
「え?そ、そんな、やめましょうよ、仲間同士で」
ガイドは瀕死の男、二人に挟み打ちにされて慌てる。
「仲間の事を仲間だと思ってるなら、捨て駒なんて言わねえんだよ――――!!!」
瀕死の男二人はガイドに襲いかかる。
「うわああああああああ!!」
ガイドは腕を振り回す。
正面から襲いかかってきた男に手の甲が当たり、正面から来た男は毒の水に落ちた。
「はははは!!!ざまぁ!!」
ガイドは笑う。
「死ね死ね――――!!」
這い上がろうとする瀕死の男の頭を足で沈める。
ガイドの身体に後ろから来た男がタックルをした。
「お前も死ぬんだよ」
瀕死の男はガイドの身体に抱き付き、自分ごと毒の水路に飛び込む。
「ま、待て止めろ!痛い!痛い!助け。。。!!」
ガイドは悲鳴を上げ、禍々しい色をする水路に引きずり込まれる。
悲鳴は泡の音に代わり、ガイドは瀕死の男と共に毒の水路の中に消えた。
その場にいた全ての人間が死んだ。
翔の完全勝利である。
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