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一万年に一人の美少女アイドルとダンジョン攻略3
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翔たちが駆けつけた場所には、水路が有った。
その水路の水は禍々しい色で、明らかに有害だと分かる。
その水路には白骨死体が幾つも浮かんでいた。
「うっ」
ミゾレは繋いでいた手を離し、口元を両手で押さえる。
水路の付近に、うなだれる男が一人。
「先程この辺りから悲鳴が聞こえたが」
翔はうなだれる男に問う。
「おおおおおおれのせいじゃない」
うなだれる男はガタガタと震える。
「この水路にお前のペアが落ちたのか?」
翔は再度問う。
「おおおれのせいじゃない」
翔は溜息を吐く。
そしてうなだれる男を殴り飛ばす。
「質問に答えろ」
翔が男の肩を掴むと、男はニヤリと笑う。
「キャ――――――!!」
ミゾレは悲鳴を上げる。
水路から巨大な触手がミゾレを巻き付ける。
「ミゾレ!!」
翔は抜刀して触手に飛びかかる、が。
ドゴォッッ!!!
水路からもう一本の触手が現れて、翔を殴りつける。
「がぁっ!!」
翔は壁に叩き付けられた。
「痛い!痛い!助け。。。。!!!」
ミゾレは悲鳴を上げ、禍々しい色をする水路に引きずり込まれる。
悲鳴は泡の音に代わり、ミゾレは水路の中に消えた。
翔は勇者の腕輪を発動させる。
≪勇者の腕輪・発動・回復≫
翔のダメージが回復した。
「くそっ!」
翔は水路に向かう。
「やめときな、この水路は毒の水だぜ」
ペアの片方が忠告した。
「お前達、オリバー共和国の手先だな」
翔は指摘する。
「はっはは、鋭いねぇ。で、それが分かってどうする?」
オリバー共和国の手先は挑発した。
「仕方が無い」
翔は呟き、帰還の腕輪に意識を集中させる。
≪帰還の腕輪・発動、、、、、、、≫
帰還の腕輪は発動しなかった。
「何!?」
翔は帰還の腕輪を見る。
「ははは!お前とあの女に渡された腕輪は、お前達の意志では発動出来ないように設定されているのさ!」
オリバー共和国の手先は笑う。
「ならば簡単だ」
翔はオリバー共和国の手先を組み倒す。
「おい、聞いているんだろう?ガイド。ミゾレの帰還の腕輪を発動させろ。さもなくば、この場にいるオリバー共和国の人間を皆殺しにする」
翔はオリバー共和国の手先に剣を突き付け、帰還の腕輪に語りかける。
『どうぞどうぞ、そいつら、捨て駒なんで』
腕輪からガイドの声が返ってきた。
「捨て駒?冗談はやめろ!」
「ふざけるな!」
「どれだけ俺達がオリバー共和国に貢献してきたと思ってるんだ!」
その場にいた、オリバー共和国の手先三名はガイドに怒鳴る。
『だって、あなた達、弱いでしょ?あなた達の腕輪も発動しないようにしましたから。悪しからず』
ガイドは当然だと言わんばかりに、淡々と語った。
「このゴミ共が!!!」
翔はオリバー共和国の手先三名を切り刻むと、毒水の水路に飛び込む。
≪勇者の腕輪・発動・水中弊害排除≫
翔はマーメイドが継承してきた方の勇者の腕輪を発動させた。
勇者の腕輪の効果により、水中での活動に弊害が無くなる。
しかし、毒の弊害は排除出来ない。
毒水が翔の肉体を蝕む。
≪勇者の腕輪・発動・回復≫
翔はもう片方の勇者の腕輪を発動させ続ける。
毒水が翔の体を蝕み続けるならば、勇者の腕輪で回復し続ける。
腕輪を発動の副作用として、腕輪と体が光に包まれていた。
その光を頼りに、濁り切った水路を進む。
ガイドが再び翔に話しかける。
『毒水の水路に飛び込むなんて、無茶苦茶。どうかしてますね~。
ところでショウ、だっけ?キミ。キミの推測通り、このダンジョンは一部を除いて攻略され尽くしています。で、攻略されてない一部ってのが、その毒水の水路。何しろ毒水だから、潜る訳にも行かないんだよね。
でも、その先にダンジョンのボス、ダーク・クラーケンがいる訳ですね。
キミが見た触手もダーク・クラーケンの触手だけど、それを攻撃しても数日で回復しちゃう訳ですね。
我々オリバー共和国はダーク・クラーケンのそばに有るレアアイテムが欲しい。
ではどうするのか?それはですね。ダーク・クラーケンの本体は水中では無く、空気の有る場所に存在するんですよ。
何でそんな事が分かるのか?それは以前、ダーク・クラーケンに連れ込まれたチャレンジャーの腕輪から、映像と音声をリアルタイムで受信して判明した事です。それまでにそのチャレンジャーは帰還の腕輪を発動させようとした訳ですが、当然我々はその機能を使用出来なくするんですよ。
そして受信した映像には、しっかりとアイテムが映っていました。やはりダーク・クラーケンの傍にはレアアイテムがあったんですね。
それが欲しい。では、どうするか?
腕輪の機能を使えば良い。ダーク・クラーケンが連れ去るのは、決まって美女なんですよ。
そして美しいほど、奥深くへ連れ込まれる。半端な女なら、途中でポイですよ。
ダーク・クラーケンの部屋まで連れ込まれたのは、今まで一人しかいなかったんですね。
そしてその時は準備が整っていなかった。何の準備か?
腕輪でダンジョン内部の人間と、外部の人間を入れ替える準備が。
帰還の腕輪を改良して、帰還の腕輪を嵌めた者同士の位置を入れ替える機能を追加しました。そして、空気と足場とダーク・クラーケンの本体とレアアイテムが有る部屋にワープさせて、ダーク・クラーケンを討伐出来る人間の用意。
もうしばらくで、精鋭の戦士たちが到着します。
一人でダーク・クラーケンを討伐するのは無理ですからね。
十数人も同時にワープさせるのは難しかったんですよ。
一万年に一人の美少女、でしたっけ?彼女、確かに綺麗でしたからね~。
彼女は当たりですよ。彼女なら、ダーク・クラーケンの本体まで連れて行かれるでしょう。
我々の計画は完璧ですよ。。。。。。
と言っても、もうキミには聞こえていないでしょうけれど』
ガイドは計画の順調な推移に陶酔する。
「ダーク・クラーケンを殺したら、次はお前達だ。覚悟しておけ」
翔はガイドに怒りを込めた返事を言う。
『ば、馬鹿な!!なぜ毒水の中で喋れる!?そもそもなぜ平気なんだ!?』
ガイドは驚愕した。
ダーク・クラーケンの触手を辿り、翔はダーク・クラーケンの本体に到達する。
そこには石畳があり、ダーク・クラーケンはそこにいた。
毒水から上がると、禍々しい巨大なダーク・クラーケンが、今にもミゾレを捕食しようとしていた。
ミゾレは気絶し、衰弱しきっている。
翔は身に着けている帰還の腕輪を外す。
「ショウ・タイム(俺の時間)だ」
翔は跳躍し、ミゾレを捕らえる触手を切り裂く。
「ヴボオオオオオオオオオオ―――――!!!」
ダーク・クラーケンは痛みに唸り声を上げる。
地面に叩き付けられそうなミゾレを翔は受け止めた。
≪勇者の腕輪・発動・回復≫
翔は自分の回復を中断し、ミゾレの回復に全力を注ぐ。
そしてミゾレの腕輪を外す。
「ヴボオオオオオオ!!」
ダーク・クラーケンは翔に触手を叩き付ける。
「うるさい」
翔はミゾレの回復を継続しながら、襲いかかるダーク・クラーケンの巨大な触手を次々と切り裂く。
毒が翔の身体を蝕む。
「ヴボオオオオオオ!!」
ダーク・クラーケンの本体が翔に襲いかかる。
ズバアァァン!!
ダーク・クラーケンの本体は一刀両断された。
ダーク・クラーケンの血が溢れ出し、水路の毒水と混ざり出す。
「うっ」
翔は片膝を付く。
状況の打開策を考える。
ガイドを説得し、ワープを発動させるにはレアアイテムが交渉材料として必要だ。
翔はレアアイテムを探す。
ダーク・クラーケンの死体の直ぐそばに、宝箱が有った。
翔は宝箱を開ける。
中身は腕輪だった。
翔は本能のままに腕輪を装着する。
ステータス確認。
≪僧侶の腕輪・効果、あらゆる状態異常の回復≫
翔の読み通りだった。
「やはり、古代人の説か、魔族の説のどちらかは正しいのか?いや、おかしい。まるで攻略する事が前提であるかのようだ」
一人呟いた。
≪僧侶の腕輪・発動・状態異常回復≫
翔はミゾレの状態異常を回復させた。
≪僧侶の腕輪・発動・状態異常回復≫
翔は自分の状態異常を回復させた。
≪勇者の腕輪・発動・回復≫
翔はミゾレのHPを回復させた。
≪勇者の腕輪・発動・回復≫
翔は自分のHPを回復させた。
「う、、、、ううん。。。」
ミゾレは小さく唸る。
「、、、、はっ!!」
ミゾレは目を覚ました。
「あ、あれ?わたし、確か水の中に引きずり込まれて、、、それから。。。。」
混乱しながらも、記憶を整理し出す。
「そうだ、怪物に襲われて、、、翔さん!!逃げましょう!!」
ミゾレは翔を引っ張る。
「ミゾレの言う怪物なら、すでに仕留めたが?」
慌てるミゾレに、翔は冷静に答えた。
「え、、、、、、、、、え?」
ミゾレは翔の言葉を理解出来なかった。
「恐ろしい怪物がいたんです!逃げましょう!」
ミゾレは再度、翔を引っ張る。
「だから、すでに仕留めたと言っている」
翔はダーク・クラーケンの死体を指差す。
「ほら」
翔はミゾレを見る。
「そ、そんな、、、、一体誰が!?」
ミゾレは驚愕した。
「だから、俺だって」
「ええええええええええええええええええ!!!!!!!?????????」
ミゾレは大声で驚く。
「うるさいぞ」
「え?あの怪物、翔さんが???」
「何度も言っているだろうが」
「そんなに強いなら、早く言ってくださいよ!!」
「早く言うって、どうやって?俺、強いんだぜ!とでも言うのか?馬鹿馬鹿しい」
「馬鹿馬鹿しくないですよ!命が懸かってるんですから!!」
「分かった分かった。それよりも、ここから脱出する方法を考えるぞ」
翔はミゾレを宥める。
「それなら簡単じゃないですか!帰還の腕輪が有るじゃないですか!うっかりさんですね!」
ミゾレは明るく言う。
「ミゾレも試しただろうが、帰還の腕輪はガイドに制御されていて発動しない」
「えっ!?なんでですか!?」
翔はミゾレに事情を説明する。ミゾレのダメージが回復している事も。
「そ、そんな。。。。」
ミゾレは青ざめる。
「じゃあ、ダーク・クラーケンに囚われた時に発動しようとしても、無駄だったんですね」
「無駄だっただろう?」
「、、、いえ、腕輪を発動しようとしませんでした」
「何故?」
「、、、翔さんが、困るじゃないですか」
「そんな事の為に?」
「、、、、、『そんな事』じゃありません。。。。」
ミゾレはボソリと呟く。
「ん?何だ?」
「なんでもありません!それに、信じてましたから。翔さんが助けてくれるって」
ミゾレはニッと笑う。
「、、、そうか」
翔は不思議な気持ちで返事をした。
「えへへ」
ミゾレは照れくさそうに目を逸らす。
「あ、あれ?」
ミゾレは何かに気付き、走り寄る。
「どうした?」
「こ、これって。。。。」
ミゾレと翔が見付けたのは、ワープの台座だった。
「よくやった」
翔はミゾレの頭をポンポンと撫でる。
「えへへ」
ミゾレは嬉しそうに笑う。
「これでダンジョンを脱出できる」
「で、でも、ワープの台座を操作する人が必要ですよね?」
「おそらく必要ない。ダンジョンの入口に有ったワープの台座と違い、操作するボタンが無い。乗ればそのまま外へ出るだろう」
翔はミゾレをお姫様だっこする。
「え、え、そんな」
ミゾレは顔を赤くして動揺した。
「帰るぞ」
翔はミゾレを抱きかかえたまま、ワープの台座に飛び乗る。
1、、、、、、2、、、、、3、、、、、4、、、、、5。
ワープの台座が発動した。
翔とミゾレはワープする。
その水路の水は禍々しい色で、明らかに有害だと分かる。
その水路には白骨死体が幾つも浮かんでいた。
「うっ」
ミゾレは繋いでいた手を離し、口元を両手で押さえる。
水路の付近に、うなだれる男が一人。
「先程この辺りから悲鳴が聞こえたが」
翔はうなだれる男に問う。
「おおおおおおれのせいじゃない」
うなだれる男はガタガタと震える。
「この水路にお前のペアが落ちたのか?」
翔は再度問う。
「おおおれのせいじゃない」
翔は溜息を吐く。
そしてうなだれる男を殴り飛ばす。
「質問に答えろ」
翔が男の肩を掴むと、男はニヤリと笑う。
「キャ――――――!!」
ミゾレは悲鳴を上げる。
水路から巨大な触手がミゾレを巻き付ける。
「ミゾレ!!」
翔は抜刀して触手に飛びかかる、が。
ドゴォッッ!!!
水路からもう一本の触手が現れて、翔を殴りつける。
「がぁっ!!」
翔は壁に叩き付けられた。
「痛い!痛い!助け。。。。!!!」
ミゾレは悲鳴を上げ、禍々しい色をする水路に引きずり込まれる。
悲鳴は泡の音に代わり、ミゾレは水路の中に消えた。
翔は勇者の腕輪を発動させる。
≪勇者の腕輪・発動・回復≫
翔のダメージが回復した。
「くそっ!」
翔は水路に向かう。
「やめときな、この水路は毒の水だぜ」
ペアの片方が忠告した。
「お前達、オリバー共和国の手先だな」
翔は指摘する。
「はっはは、鋭いねぇ。で、それが分かってどうする?」
オリバー共和国の手先は挑発した。
「仕方が無い」
翔は呟き、帰還の腕輪に意識を集中させる。
≪帰還の腕輪・発動、、、、、、、≫
帰還の腕輪は発動しなかった。
「何!?」
翔は帰還の腕輪を見る。
「ははは!お前とあの女に渡された腕輪は、お前達の意志では発動出来ないように設定されているのさ!」
オリバー共和国の手先は笑う。
「ならば簡単だ」
翔はオリバー共和国の手先を組み倒す。
「おい、聞いているんだろう?ガイド。ミゾレの帰還の腕輪を発動させろ。さもなくば、この場にいるオリバー共和国の人間を皆殺しにする」
翔はオリバー共和国の手先に剣を突き付け、帰還の腕輪に語りかける。
『どうぞどうぞ、そいつら、捨て駒なんで』
腕輪からガイドの声が返ってきた。
「捨て駒?冗談はやめろ!」
「ふざけるな!」
「どれだけ俺達がオリバー共和国に貢献してきたと思ってるんだ!」
その場にいた、オリバー共和国の手先三名はガイドに怒鳴る。
『だって、あなた達、弱いでしょ?あなた達の腕輪も発動しないようにしましたから。悪しからず』
ガイドは当然だと言わんばかりに、淡々と語った。
「このゴミ共が!!!」
翔はオリバー共和国の手先三名を切り刻むと、毒水の水路に飛び込む。
≪勇者の腕輪・発動・水中弊害排除≫
翔はマーメイドが継承してきた方の勇者の腕輪を発動させた。
勇者の腕輪の効果により、水中での活動に弊害が無くなる。
しかし、毒の弊害は排除出来ない。
毒水が翔の肉体を蝕む。
≪勇者の腕輪・発動・回復≫
翔はもう片方の勇者の腕輪を発動させ続ける。
毒水が翔の体を蝕み続けるならば、勇者の腕輪で回復し続ける。
腕輪を発動の副作用として、腕輪と体が光に包まれていた。
その光を頼りに、濁り切った水路を進む。
ガイドが再び翔に話しかける。
『毒水の水路に飛び込むなんて、無茶苦茶。どうかしてますね~。
ところでショウ、だっけ?キミ。キミの推測通り、このダンジョンは一部を除いて攻略され尽くしています。で、攻略されてない一部ってのが、その毒水の水路。何しろ毒水だから、潜る訳にも行かないんだよね。
でも、その先にダンジョンのボス、ダーク・クラーケンがいる訳ですね。
キミが見た触手もダーク・クラーケンの触手だけど、それを攻撃しても数日で回復しちゃう訳ですね。
我々オリバー共和国はダーク・クラーケンのそばに有るレアアイテムが欲しい。
ではどうするのか?それはですね。ダーク・クラーケンの本体は水中では無く、空気の有る場所に存在するんですよ。
何でそんな事が分かるのか?それは以前、ダーク・クラーケンに連れ込まれたチャレンジャーの腕輪から、映像と音声をリアルタイムで受信して判明した事です。それまでにそのチャレンジャーは帰還の腕輪を発動させようとした訳ですが、当然我々はその機能を使用出来なくするんですよ。
そして受信した映像には、しっかりとアイテムが映っていました。やはりダーク・クラーケンの傍にはレアアイテムがあったんですね。
それが欲しい。では、どうするか?
腕輪の機能を使えば良い。ダーク・クラーケンが連れ去るのは、決まって美女なんですよ。
そして美しいほど、奥深くへ連れ込まれる。半端な女なら、途中でポイですよ。
ダーク・クラーケンの部屋まで連れ込まれたのは、今まで一人しかいなかったんですね。
そしてその時は準備が整っていなかった。何の準備か?
腕輪でダンジョン内部の人間と、外部の人間を入れ替える準備が。
帰還の腕輪を改良して、帰還の腕輪を嵌めた者同士の位置を入れ替える機能を追加しました。そして、空気と足場とダーク・クラーケンの本体とレアアイテムが有る部屋にワープさせて、ダーク・クラーケンを討伐出来る人間の用意。
もうしばらくで、精鋭の戦士たちが到着します。
一人でダーク・クラーケンを討伐するのは無理ですからね。
十数人も同時にワープさせるのは難しかったんですよ。
一万年に一人の美少女、でしたっけ?彼女、確かに綺麗でしたからね~。
彼女は当たりですよ。彼女なら、ダーク・クラーケンの本体まで連れて行かれるでしょう。
我々の計画は完璧ですよ。。。。。。
と言っても、もうキミには聞こえていないでしょうけれど』
ガイドは計画の順調な推移に陶酔する。
「ダーク・クラーケンを殺したら、次はお前達だ。覚悟しておけ」
翔はガイドに怒りを込めた返事を言う。
『ば、馬鹿な!!なぜ毒水の中で喋れる!?そもそもなぜ平気なんだ!?』
ガイドは驚愕した。
ダーク・クラーケンの触手を辿り、翔はダーク・クラーケンの本体に到達する。
そこには石畳があり、ダーク・クラーケンはそこにいた。
毒水から上がると、禍々しい巨大なダーク・クラーケンが、今にもミゾレを捕食しようとしていた。
ミゾレは気絶し、衰弱しきっている。
翔は身に着けている帰還の腕輪を外す。
「ショウ・タイム(俺の時間)だ」
翔は跳躍し、ミゾレを捕らえる触手を切り裂く。
「ヴボオオオオオオオオオオ―――――!!!」
ダーク・クラーケンは痛みに唸り声を上げる。
地面に叩き付けられそうなミゾレを翔は受け止めた。
≪勇者の腕輪・発動・回復≫
翔は自分の回復を中断し、ミゾレの回復に全力を注ぐ。
そしてミゾレの腕輪を外す。
「ヴボオオオオオオ!!」
ダーク・クラーケンは翔に触手を叩き付ける。
「うるさい」
翔はミゾレの回復を継続しながら、襲いかかるダーク・クラーケンの巨大な触手を次々と切り裂く。
毒が翔の身体を蝕む。
「ヴボオオオオオオ!!」
ダーク・クラーケンの本体が翔に襲いかかる。
ズバアァァン!!
ダーク・クラーケンの本体は一刀両断された。
ダーク・クラーケンの血が溢れ出し、水路の毒水と混ざり出す。
「うっ」
翔は片膝を付く。
状況の打開策を考える。
ガイドを説得し、ワープを発動させるにはレアアイテムが交渉材料として必要だ。
翔はレアアイテムを探す。
ダーク・クラーケンの死体の直ぐそばに、宝箱が有った。
翔は宝箱を開ける。
中身は腕輪だった。
翔は本能のままに腕輪を装着する。
ステータス確認。
≪僧侶の腕輪・効果、あらゆる状態異常の回復≫
翔の読み通りだった。
「やはり、古代人の説か、魔族の説のどちらかは正しいのか?いや、おかしい。まるで攻略する事が前提であるかのようだ」
一人呟いた。
≪僧侶の腕輪・発動・状態異常回復≫
翔はミゾレの状態異常を回復させた。
≪僧侶の腕輪・発動・状態異常回復≫
翔は自分の状態異常を回復させた。
≪勇者の腕輪・発動・回復≫
翔はミゾレのHPを回復させた。
≪勇者の腕輪・発動・回復≫
翔は自分のHPを回復させた。
「う、、、、ううん。。。」
ミゾレは小さく唸る。
「、、、、はっ!!」
ミゾレは目を覚ました。
「あ、あれ?わたし、確か水の中に引きずり込まれて、、、それから。。。。」
混乱しながらも、記憶を整理し出す。
「そうだ、怪物に襲われて、、、翔さん!!逃げましょう!!」
ミゾレは翔を引っ張る。
「ミゾレの言う怪物なら、すでに仕留めたが?」
慌てるミゾレに、翔は冷静に答えた。
「え、、、、、、、、、え?」
ミゾレは翔の言葉を理解出来なかった。
「恐ろしい怪物がいたんです!逃げましょう!」
ミゾレは再度、翔を引っ張る。
「だから、すでに仕留めたと言っている」
翔はダーク・クラーケンの死体を指差す。
「ほら」
翔はミゾレを見る。
「そ、そんな、、、、一体誰が!?」
ミゾレは驚愕した。
「だから、俺だって」
「ええええええええええええええええええ!!!!!!!?????????」
ミゾレは大声で驚く。
「うるさいぞ」
「え?あの怪物、翔さんが???」
「何度も言っているだろうが」
「そんなに強いなら、早く言ってくださいよ!!」
「早く言うって、どうやって?俺、強いんだぜ!とでも言うのか?馬鹿馬鹿しい」
「馬鹿馬鹿しくないですよ!命が懸かってるんですから!!」
「分かった分かった。それよりも、ここから脱出する方法を考えるぞ」
翔はミゾレを宥める。
「それなら簡単じゃないですか!帰還の腕輪が有るじゃないですか!うっかりさんですね!」
ミゾレは明るく言う。
「ミゾレも試しただろうが、帰還の腕輪はガイドに制御されていて発動しない」
「えっ!?なんでですか!?」
翔はミゾレに事情を説明する。ミゾレのダメージが回復している事も。
「そ、そんな。。。。」
ミゾレは青ざめる。
「じゃあ、ダーク・クラーケンに囚われた時に発動しようとしても、無駄だったんですね」
「無駄だっただろう?」
「、、、いえ、腕輪を発動しようとしませんでした」
「何故?」
「、、、翔さんが、困るじゃないですか」
「そんな事の為に?」
「、、、、、『そんな事』じゃありません。。。。」
ミゾレはボソリと呟く。
「ん?何だ?」
「なんでもありません!それに、信じてましたから。翔さんが助けてくれるって」
ミゾレはニッと笑う。
「、、、そうか」
翔は不思議な気持ちで返事をした。
「えへへ」
ミゾレは照れくさそうに目を逸らす。
「あ、あれ?」
ミゾレは何かに気付き、走り寄る。
「どうした?」
「こ、これって。。。。」
ミゾレと翔が見付けたのは、ワープの台座だった。
「よくやった」
翔はミゾレの頭をポンポンと撫でる。
「えへへ」
ミゾレは嬉しそうに笑う。
「これでダンジョンを脱出できる」
「で、でも、ワープの台座を操作する人が必要ですよね?」
「おそらく必要ない。ダンジョンの入口に有ったワープの台座と違い、操作するボタンが無い。乗ればそのまま外へ出るだろう」
翔はミゾレをお姫様だっこする。
「え、え、そんな」
ミゾレは顔を赤くして動揺した。
「帰るぞ」
翔はミゾレを抱きかかえたまま、ワープの台座に飛び乗る。
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ワープの台座が発動した。
翔とミゾレはワープする。
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