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第4章
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ネイレの声はとても静かなものだったが、その透明感ある凛とした声は智也の心を確かに打った。
智也は何と答えていいのか分からなかった。
言うべきことは分かっていても、言葉が出てこなかった。
だが沈黙はすぐに打ち破られた。
「あるわ」
答えたのは乃愛だった。
乃愛は静かに、だがはっきりと言った。
「私達、少年少女探偵団がいる」
智也は乃愛の顔を見た。
ネイレもぽかんとした顔で乃愛を見つめている。
亜紀と誠は顔を見合わせたあと目をパチパチとさせていたが、やがてクスクスと笑いだした。
そして、ついに二人は声を上げて笑いだした。
「確かにそうね」
「確かにそうだ」
乃愛は軽くウインクをした。
「でしょ?」
気づいたら智也も笑いだしていた。
互いの顔を見つめ、笑い合う子供達。彼らに対して、ネイレは冷ややかに言い放った。
「あなた達に天賦の才があることは認めるわ。その美しさも知性も、まぎれもなくギフトよ。でもね、それだけでは何も変えられない。何も守れないわ」
「違うね」
智也が言った。
「本当に大事なものは、強い武器や力や才能じゃない。自分や仲間を守るのに必要なのは、鎧や盾じゃないんだ。まして誰かを傷つけるような強さなんて」
「なんですって?」
「こんな話があるんだよ。昔、中南米で大きな革命を成功させた男が、アメリカのジャーナリストにこう聞かれたんだ。『あなたが身を守るために、いつも防弾チョッキを着ているというのは本当か?』ってね。彼は言ったよ。『いいや。着てないよ。人間、死ぬ時は死ぬんだ。だがモラルというチョッキなら着ている』ってね」
「……」
「分かる? 人間、死ぬ時は死ぬんだよ。でも本当に大切なことは、そういうことじゃないんだ。脱いじゃいけないのは、もっと別のものさ。僕達がそのチョッキを脱がない限り、本当の意味で敗けることはない」
誠が隣から智也の肩を抱きしめた。
「よく言った。智也」
「うん」
亜紀もそれに続く。
乃愛が手を大きく広げ、三人をまとめて抱きしめる。その目は少しだけ潤んでいた。
目をパチクリさせるネイレを一人残して、智也達は笑い合い、そして抱きしめあった。
「まいったなぁ」
しばらくの間、黙ってその光景を眺めていたネイレだったが、やがて無造作に髪をかき上げるとそう呟いた。
だがその瞳は、面白い手品でも見た子供のように輝いていた。
四人が再びネイレのほうに視線を向けたとき、ネイレはいなかった。
ただしメッセージカードが残されていた。
『少年少女探偵団、君達の将来に期待させてもらう』
智也達はカードを読むと、互いに顔を見合わせた。
「どう思う? あの電波塔のプロジェクト、中止するかしら?」
「中止はしないんじゃない? せいぜい中断な気がする……」
「どっちにしても、また会いそうな気がするんだよね。ほら、俺って美女と縁があるし」
「リターンマッチなら受けてたつわよ。でしょ?」
誠は手にしたナイフを器用にくるくると回して言った。
「もちろん」
智也は何と答えていいのか分からなかった。
言うべきことは分かっていても、言葉が出てこなかった。
だが沈黙はすぐに打ち破られた。
「あるわ」
答えたのは乃愛だった。
乃愛は静かに、だがはっきりと言った。
「私達、少年少女探偵団がいる」
智也は乃愛の顔を見た。
ネイレもぽかんとした顔で乃愛を見つめている。
亜紀と誠は顔を見合わせたあと目をパチパチとさせていたが、やがてクスクスと笑いだした。
そして、ついに二人は声を上げて笑いだした。
「確かにそうね」
「確かにそうだ」
乃愛は軽くウインクをした。
「でしょ?」
気づいたら智也も笑いだしていた。
互いの顔を見つめ、笑い合う子供達。彼らに対して、ネイレは冷ややかに言い放った。
「あなた達に天賦の才があることは認めるわ。その美しさも知性も、まぎれもなくギフトよ。でもね、それだけでは何も変えられない。何も守れないわ」
「違うね」
智也が言った。
「本当に大事なものは、強い武器や力や才能じゃない。自分や仲間を守るのに必要なのは、鎧や盾じゃないんだ。まして誰かを傷つけるような強さなんて」
「なんですって?」
「こんな話があるんだよ。昔、中南米で大きな革命を成功させた男が、アメリカのジャーナリストにこう聞かれたんだ。『あなたが身を守るために、いつも防弾チョッキを着ているというのは本当か?』ってね。彼は言ったよ。『いいや。着てないよ。人間、死ぬ時は死ぬんだ。だがモラルというチョッキなら着ている』ってね」
「……」
「分かる? 人間、死ぬ時は死ぬんだよ。でも本当に大切なことは、そういうことじゃないんだ。脱いじゃいけないのは、もっと別のものさ。僕達がそのチョッキを脱がない限り、本当の意味で敗けることはない」
誠が隣から智也の肩を抱きしめた。
「よく言った。智也」
「うん」
亜紀もそれに続く。
乃愛が手を大きく広げ、三人をまとめて抱きしめる。その目は少しだけ潤んでいた。
目をパチクリさせるネイレを一人残して、智也達は笑い合い、そして抱きしめあった。
「まいったなぁ」
しばらくの間、黙ってその光景を眺めていたネイレだったが、やがて無造作に髪をかき上げるとそう呟いた。
だがその瞳は、面白い手品でも見た子供のように輝いていた。
四人が再びネイレのほうに視線を向けたとき、ネイレはいなかった。
ただしメッセージカードが残されていた。
『少年少女探偵団、君達の将来に期待させてもらう』
智也達はカードを読むと、互いに顔を見合わせた。
「どう思う? あの電波塔のプロジェクト、中止するかしら?」
「中止はしないんじゃない? せいぜい中断な気がする……」
「どっちにしても、また会いそうな気がするんだよね。ほら、俺って美女と縁があるし」
「リターンマッチなら受けてたつわよ。でしょ?」
誠は手にしたナイフを器用にくるくると回して言った。
「もちろん」
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