聖女の如く、永遠に囚われて

white love it

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渦巻き

6.

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 良子の母、佐奈が心配になったのか途中で顔を出した。
 だが良子があっさりと「また楽器をやってみる。ヴァイオリンでいくかは分からないけど」と答えると、ホッとしたのか、その場に座り込んでしまった。しばらく俯いて肩を震わせていたが、やがてあげたその顔は、とても晴れやかなものだった。
 良子が幸子に頭を下げると、すぐに佐奈もそれに続いた。
 それから良子と和人にもうな重をご馳走してくれることになった。

「うな重か。久しぶりだな」

「幸子さんなら食べ慣れていると思いましたけど?」

「普段は和人の母上、未歩さんがつくってくれたものを食べている。外食はあまりしないし、流行りの食事を自宅に届けてくれるサービスとやらも、あまり利用していないからね。まあ、自分でつくればいいのだが、あまり料理は習わなかったからな。もっとも未歩さんの料理は家庭的でかなり美味しい。和人は本当に幸せものよ」

「ふーん」

 良子は、半ば面白そうな、半ば小馬鹿にしたような目で和人と幸子を交互に見た。

「な、なに?」

 戸惑う和人に良子はさらりといった。

「いや、別に。ただ、これじゃ私が入る隙間はないなって思って」

「え? 良子さんも来ればいいじゃない? 幸子さんの家、広いしいろんなゲームがあるから、みんなで遊べると思うよ。ねえ、幸子さん? 僕やゆきも子供の頃エレクトーンやってたから、音楽にも興味あるし。もしよかったら、ヴァイオリン聴かせてほしいな」

 良子が唖然とした目で見たが、和人はきょとんとした顔で見返しているだけだった。
 そんな二人を見て、幸子は笑い出した。

「和人。君はずっとそのままでいてくれ」

「え?」

「でも、本当に羨ましいですよ、幸子さんのこと。家族でもないのにこんなに助けてくれる仲間がいるなんて。たぶん今の時代、誰もが欲している存在だと思いますよ」

「うん、その点は感謝している」

 幸子は和人が戸惑うほど真剣な顔でそういった。

「和人だけでなく、遠山家の人々は大切な」

 そこまでいって幸子は不意に言葉を切った。
 まるで時間が停止したかのように、中空を見つめている。

「幸子さん?」

 和人が話しかけると、幸子は和人のほうをゆっくり見た。

「そうか、そうだったのか」

「何がですか?」

「分かったのだよ。あの言い伝えの事件の真相が」

 和人と良子が身構えた。
 和人は一瞬にして、心臓の鼓動が大きくなったのを感じた。

「ああ、あれは協力者がいたのだ」
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