聖女の如く、永遠に囚われて

white love it

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渦巻き

7.

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「協力者? 誰かがあの二人を穴から引き上げたっていうんですか? ありえないでしょ? 村の権力者があの二人を穴に落としたんですよ?」

 和人の言葉に良子も続く。

「私もそれはないと思います。当時の庄屋といったら、村の人たちを捕まえたり、処罰する権利もあったはずです。それに逆らうでしょうか?」

「もし見返りがあったとしたらどうかな?」

「見返り?」

きんだよ」

 金……
 確かに、あの辺りの山は金山だったと聞いたきた気がするが……
 だが、二人が投げ込まれた場所は山から離れていたのではないだろうか?
 良子も同じ疑問を抱いたらしく、幸子に質問する。

「でも、二人のいた穴で金が取れたんでしょうか?」

「地下水に金の粒が流れ込んでいたらどうかな?」

「水に金が?」

「川の水に砂金が入るのは珍しいことではないわ。君たちも観たことがあるだろう? 西部劇などで、川の水を何度も砂金を探す人たちの映像を。え? ない? そもそも西部劇を観たことがない? なるほど。時代だな。それはともかく、あの穴には地下水がわずかだが流れ込んでいたはず。そしてあそこの地下水の流れは、元を辿っていけばあそこの金山に出たはずだ」

「でもそれはあくまで幸子さんの推測ですよね? 実際にそうだったかは分からないと思いますけど」

「いや、良子さん。こう考えればこそ、あのお話の最後で出てきた村の人間が金持ちになっていたことも辻褄があうわ。おそらくあの村の人間とやらは、あの二人を助けた出してお金持ちになった人物を暗示しているか、実際にお金持ちになってから再会したのだろう」

 和人は少し考え込んだ。
 穴の中の二人が、地下水にキラキラと輝く金の粒を発見する。
 それを集めて、穴の様子を見に来た村の人間に交渉する。金と引き換えに穴から出してくれるようにと。
 村の人間は迷った挙句、二人を穴から出す。穴の中の金と引き換えに。

「うん、確かにありえる」

「そうですね。ありえるかも」

 和人と良子の答えに幸子は満足げに頷いた。

「一歩前進ね。さあ、良子さんのお母さんが取ってくれたうな重を堪能しましょう」
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