聖女の如く、永遠に囚われて

white love it

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眠れない夜を抱いて

1.

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 うな重は美味しかった。濃厚だが、決してくどくないタレが絶妙な味わいだった。タレの甘辛さが鰻の柔らかくうまみのある鰻の身とよく合っており、和人は白米が足りないと思うほどだった。
 今度はうちでも注文してみよう。
 和人が良子の家からの帰りの車の中で、そう考えていると幸子が車を道路の端に寄せて停めた。

「幸子さん?」

「しっ」

 幸子は和人を制すると、ラジオの音を上げた。
 それはある火事のニュースを伝えるものだった。
 
「ザザ…… えー、こちらは整形外科の病院として、村の方の怪我の治療に貢献されてきました。ただその前はですね、産婦人科、また助産院としても開業されていたんですよね。村の人たちのなかにも、ここで産まれた人たちが多いとのことです。それなのにこのようなことになって、村の人たちもとても痛ましく思われていることでしょう。今回、火災によって、病院自体が全焼、さらには医師の桂恵さんが煙を吸い込み重傷となっており、一刻も早い回復が待たれます。えー、それでは次のニュースに…… ザザ」

 幸子はラジオを切った。
 和人は目眩のするような感覚を覚えていた。呼吸が苦しくなり、口を開けていた。

「桂恵…… 医師…… もしかして、これって良子さんの田舎の村の桂恵先生のこと?」

 呆然と話す和人に幸子が視線を向けた。
 すでに外は暗くなりかけてきたが、幸子の目は爛々と光っていた。

「ああ。そうだ」
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