名探偵鳴山の奇妙な冒険譚

white love it

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その名は鳴山総一郎

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「失踪する前日に、何かあったのか? あるいは……」

 総一郎が考え込みながら独り言ちていると、鈴音が申し訳なさそうな顔で口を開いた。

「あの、それで、鳴山さん?」

「別に君付けでいいのに」

「鳴山君、あのね、それで、言いにくいんだけど……」

「ん?」 

「依頼料のことなの」

「ああ、それでしたら分割も可能ですから」

 鈴音は少し唇を噛んだ。

「私を助手にしてくれない?」

「は? 助手?」

「そもそも子供が一人で探偵なんておかしいわよ。あなた、食事や洗濯はどうしてるの? この事務所だって、隅の方は埃っぽいし。お金の管理はできてるの? あなた自身の健康のためにも、絶対助手を置くべきよ」

 鈴音が一気にまくしたてたので、総一郎はポカンと口を開けて見つめていた。

「あ~、鈴音さん?」

「私が助手になれば、食事や洗濯はもちろん、書類の整理や電話やメールの受け付けだってできるわ。それにこんな美人がいれば、宣伝にだってなるでしょ?」

 鈴音は真顔だった。

「……それで、給料分で依頼料をまかなえと?」

 鈴音はコクリと頷いた。
 総一郎は少しの間、天井を見たまま動かなかった。ただ、「う~ん……」とだけ声をあげた。

「それに、私が助手になれば車の運転ができるわ。免許あるもの。車は、この事務所の隣のシェアサービスを使えばいいし。鳴山君、原付バイクで移動してるんでしょ?」

 鈴音の目が、少しだけ意地悪く光った。

「……分かりましたよ、鈴音さん。助手で雇いますよ」

「鈴音でいいってば」

 そう言って、鈴音は朗らかに笑った。それは総一郎がはじめて見た、鈴音の笑顔だった。





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