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第2章:飛び立て!てつお
第10.5話「認めさせてやる」
しおりを挟むウーム、どうもここ最近貴族達の動きが妙なんだよなァ。
特にあの青巻き毛のデブ。
ゲラーカ家のポッポだよ。どーもキナ臭ぇんだよな。
今日はその件で来てもらったんだ。
何?そうなのか。お前への嫌がらせも酷くなってきたか。どんなことされた?
……フーン、そいつァ妙だな。
ガキじゃあるまいし、今更見た目が女々しいだのターバンを王宮でも外さないだの言うか?
鎧を脱ぐとこを覗こうとするなんざ周りから見たらイカレてるぜ。
……俺もそれを疑ってる。
まさかとは思うが……お前の秘密をどうにかして知りやがったか?
確かになァ、この国だと本来お前は親衛隊隊長にはなれねぇからなァ。
俺もその辺の法とか意識とか変えていくのをつい後回しにしちまってよ。すまねぇな。
……謙虚だなァお前は。
ただまァ、お前の言う通り五年前の戦争の傷を癒すのが最優先だった。
今もあんまり変わっちゃいねぇ。
それぐらい貴族達の特権商売は根強く残ってやがる。
戦争のドサクサに紛れて俺が跡を継いだみてぇなもんだし、俺の代でガラッと変えようと思ったんだけどなァ。
難しいよなァ世の中は。
最近も国境付近にはマゴシカ帝国、国内にはメロンジの野郎が山賊やってるらしいじゃねぇか。
世知辛いぜ。どっから手ェつけていいやら。
……ん?そりゃどういうことだ?
ちょっと詳しく聞かせてくれ……なるほど……確かに。
確かに全部ここ最近急に起きてる事だな。
国境が怪しいから山賊に手ェ出せねぇし、山賊が出やがるから国境付近の牽制もままならねぇわけだ。
そんでもってゲラーカ家の妙な動きか。
お前への“そういう”嫌がらせも昨日からか。
俺は短気だし論理的じゃねぇ。
だから決めつけて喋るけどよ……ゲラーカ家を通じてマゴシカ帝国と山賊団はつるんでんじゃねぇか?
そんでお前の秘密を暴いて失脚させ次第、帝国と山賊団が騒ぎを起こしてこの王宮の実権を握るつもりだぜ。
俺が五年前にやったようによォ。
……黒幕はポッポじゃねぇか?
……何の証拠もねぇけどな。
俺のやり方は貴族を締め付けて平民に利権を割く政策だよな?
その中でもゲラーカ家だけは強い力を持ってんのは怪しいと思ってたんだ。
いやいや、そこまですることじゃねぇよ。
さっきも言ったように証拠もねぇし……
まぁ、まだ、の話だがな。
俺は帝国軍に探りを入れてみる。
お前はメロンジの方を探ってくれねぇか。
“ガマデン”って酒場を拠点にしてるらしいぜ。
これは酒好きな元山賊団と飲み比べ対決して聞き出したんだ。信用できるぜ。
……あー!分かった分かった!
分かってるって!あの日は悪かったよ!
「国王ともあろうお方が護衛もつけず酔い潰れて帰ってくるなど言語道断」だろォ?
耳にタコだよ!謝ったろォ何回も!
とにかくだ!お前はメロンジを探れ。
ただしあまり部下は使うなよ?
嫌な話だが、もう誰がポッポに吹き込まれてるか分かったもんじゃねぇぞ。
それから今まで以上に身の回りには気ィつけとけ。
秘密を掴まれてると想定して動いた方がいいだろう。
俺もできる限り助け舟を出すようにする。
……大丈夫だ。
お前が仮に五年前の英雄ハヤ・ソフレンでなくてもな、俺のお前への評価は変わらねぇ。
ジュークも同じだ。ただ周りがうるせぇだけのことだ。
だから俺は喜んで改名の儀式を執り行ったんだぜ?
あの儀式を極秘でやってくれたオルズも同じことだ。
お前のことは誰もが認めてる。
お前は親衛隊隊長ハヤ・ソフレンだろ?そこに嘘はねぇ。
“マナイバ”にもその名前と職業が表示されるんだからな。
間違いねぇんだ。女神様は嘘はつかねぇ。
たとえこの国の法律と慣習と全員の意識がお前を認めなくてもな、少なくとも俺だけはお前の味方だ。
話が逸れちまったな。
とにかく、だからこそポッポなんぞに暴かれたくねぇんだよ。
いずれ俺の手で大々的に告知してやらァ。
その時は全員に認めさせてやる。
……礼には及ばねぇよ……いいってばよ……しつこい奴だなお前も!
よぉし!そんなに言うなら命じる!
今夜にでも酒場“ガマデン”を探れ!
多少手荒でも構わん!
よし!それでいい!頼んだぞハヤ!
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