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Evo4 「魔法の国のアリス」
しおりを挟む私の前任者として、アグリッタさんの遣に選定されいた人物、ソフィー マリソーさん。
しかし、ソフィーさんはアグリッタさんにより任を解かれ解かれてしまい、魔法の国での出来事を忘れさせられていたそうです。
だけど、フランスの魔術師 エリファス・ラヴィさんにより選定され直し、再度魔力を与えられた事で記憶を取り戻したのだと、私は聞かされました。
「翡翠、ソフィーは賢い人だったんだけど、性格がアレだったからアグリッタ様に解任されてしまったんだよ」
性格がアレ……要するに我儘であり、自分勝手な行動をしていた様です。神黒翡翠も、後一歩の所で手に入れられる筈であったみたいなのですが、ある理由でその権利を別の遣いに譲ってしまったのだと、私は聞きました。
だけど結果的にその時点で、神黒翡翠の能力が発揮する事は無かったそうなのですが。
「でも、なら神黒翡翠の場所は、ある程度分かっているの?」
「いいや。厄介な事に神黒翡翠は『石』 であるにも関わらず、移動をしてしまうからね」
神黒翡翠は魔法の国にある事は確かだそうなのですが、やはり一長一短に見つけ出せる物ではありませんでした。
一方、当然ソフィーさんも魔法の国で神黒翡翠を探し出す事が、目的ではあった様なのですが。
「さて、仕事でもして上げますか。
サンク、力を与えなさい。我に誓えしその力 今この時この瞬間 無限の数で突き動かん……ソフィー……エボリューションっ!」
サンクはフランス語で『5』 を示し、『変化』 の能力を持つ数字だそうです。
そしてソフィーさんはその力を使い、自分の都合に合わせた状況に変化させ様としていたらしいのですが、そこへ魔術師エリファスさんが現れたと、私は後に聞く事になりました。
「調子はどうだ、ソフィー」
「エリファス、貴方が来るなんて珍しいわね。今、サンクの能力を使って神黒翡翠を探しているところよ」
ここで少しだけ、エリファスさんとソフィーさんの出会いについて、私が知っている範囲で語ります。
私が選定される、少し前の話になるらしいのですが、ソフィーさんはアグリッタさんに解任されてから、やはり半年程一般人としての生活を送っていたそうです。
だけど一般人と言っても、数年分の記憶を消されている状況であった為、周りへの影響は少なからずとも出ていたと言っていました。
「ソフィー、どうしたんだ? この作業は以前教えただろ?」
「あ、すいません……」
ソフィーさんにとっては記憶に無い出来事であった様ですが、状況は前に進んでいた為、戸惑う事になってしまっていたそうです。
しかし賢いソフィーさんにとっては、それ程の苦難では無く、直ぐに順応して行く事になったと言っていました。だけど、そんなある日……。
「ソフィー、お疲れ様。また明日」
「えぇ、また明日……」
完全に消された記憶……であった筈なのですが、ソフィーさんは自分の居場所がここでは無いと言う思いに駆られていたそうです。
もっと自由な、もっと自分らしい世界にいたのではないのかと、夕暮れの真っ赤な空を見つめながら、立ちすくんでしまったと言っていました。
だけどその場所は、交差点のど真ん中であったそうなのです……。
「女性が車に轢かれたぞっ」
「誰か救急車をっ!」
暗闇の中、走馬灯と共に思い出してしまっていたソフィーさん。自分には特別な力が与えられていたのだと。
そして……。
「私は…………死なないっ、ヌフっ!」
ソフィーさんは以前、本で読んだ事がある『数字』 についての内容を思い出したそうです。数字には幾つかの意味があるらしいのですが、その意味の中でも魔術師が用いているとされる意味を。
そしてソフィーさんが叫んだ『ヌフ』 とは、フランス語で数字の『9』 を示し、『終わりと始まり』 を意味する言葉であったそうなのです。そこへ、魔術師のエリファスさんが現れたと言っていました。
「ほぅ、一般世界に魔力を使える人間がいたとはな。お前の名は何と言う?」
「……ソフィー……マリソー……」
「……良いだろう。お前はたった今、平穏な日常に終わりを告げ、そして新たなる魔法の世界の扉を開いたのだっ」
こうしてソフィーさんは『生』 を繋ぎ止め、魔術師の遣いとして今一度復活したのであったそうです。
「あの時は、エリファスが死神に思えたわ。でも今は違う。貴方は私の……守護者よ」
「私も、まさかソフィーがアグリッタの元にいた、遣い人だとは思いもし無かったぞ」
ソフィーさんは一呼吸置き、エリファスさんに尋ねたそうです。いつか自分が一般世界の住人に戻ったとしても、エリファスさんとの繋がりを消さない様には出来ないかと。
勿論、魔法の国でのルールでは魔術師との縁が途絶えた時点で、記憶は消されてしまいます。
だけどエリファスさんは、神黒翡翠の力を使えば、ソフィーさんの願いも叶うであろうと告げたと言っていました。
「……そう。なら、私にも希望があるのね。だけど本当に神黒翡翠はどこにあるのかしら。サンクの能力を使っても確実な場所は特定出来ないわ」
こればかりは、地道に探すしかないのです。そしてエリファスさんはソフィーさんに、私(若竹 翡翠) の動向には注意し、なるべく監視するよう指示を出していたと言っていました。それは私の存在に、何かを感じていたからだそうです。
そして現在に戻り、私は学校にいたのですが、ちょっとしたイベントが発生していました。
「翡翠はサラダが、だ~い好きだよね。……これ上げるから、宿題見せて」
「魔美華ちゃん、宿題と言うものはですね、自分でやってこそ身に付くものなのですよ」
休憩時間の些細な会話中でした。担任が教室に訪れ、1人の女性を紹介し始めたのです。
「ちょっと手続きが遅れて2時限目からの出席になりますけど、転校生を紹介します」
教室にざわめきが起こり出しました。その生徒は、金髪、碧眼、モデル体型の異国女子であったからです。
「えと、アリス クイーンだよ。まだ日本語ちょとだけど、ヨロシクだね」
アリスちゃんは、父の仕事の都合でアメリカから来日したらしいのですが、まあ何と言いますか、物語中に転校生が現れるのは定石であるのでしょう。
しかしこのアリスちゃんもまた、魔術師の遣いである事を、私は後に知る事になるのです。
「アリスちゃんかぁ、可愛いね」
「……何か臭うわね」
魔法とは無関係であるのですが、魔美華ちゃんは感も鋭いのです。
そして担任がアリスちゃんの席を決めようとしたのですが、これもまた定石でありました。
「先生、私、身長あるから1番後ろの席で良いよ」
一般人を装い、アリスちゃんは私と接触を図ったのです。その目的はただ1つ、神黒翡翠の件について私と関わろうとしていたのでした。
「こっ、こんにちは。私はその、若竹 翡翠ですっ」
「ハロー、アリスだよ」
私の目を2秒程見つめるアリスちゃん。この時既にアリスちゃんは、魔力である12星座の1つ、ヴァーゴ(乙女座) を使い、私を『洞察』 していた様です。
そして、体育の授業中にて。
「良かったぁ、魔美華ちゃんと同じチームで」
「今日はバレーね。私に任せなさいっ。てか、あの転校生は相手チームみたいね」
運動神経も抜群の魔美華ちゃん。そこへ、アリスちゃんが私に話し掛けて来たのです。
「翡翠、本気を見せるのが良いよ。私は、エリースを使うから」
その時、私は気付けなかったのですが、エリースは牡牛座を示し、『前進あるのみ』 や『猪突猛進』 を意味する魔力であったそうです。
「え、本気? エリース?」
「エリースって、英語で牡牛座の意味よね?」
魔美華ちゃんの言葉で、漸く察し私。アリスちゃんも遣いであり、魔法が使える事を。
「……(どうしよう。アキナ君を呼んだ方が良いかな……)」
私の迷いとは裏腹に、次々と得点して行くアリスちゃん。魔力を使っているアリスちゃんには、流石の魔美華ちゃんもお手上げであったのですが、そう言えば1つの疑問が生じていました。
一般世界での魔力は御法度の筈なのですが、アリスちゃんは躊躇なく発揮していたのです。これには理由があり、常識外れの魔力放出で無ければ、使用する事は許されるのだと、私は後に知る事になりました。
「翡翠、どうしました? 貴女の力はこんなものですか?」
アリスちゃんにボールが渡り、私を標的としようとしたその時、アキナ君が現れました。
「翡翠、ここは魔力を使った方が良いよ」
「アキナ君? うん。我に宿りしその力 今この時この瞬間 開放へと導かん……翡翠……エボリューションっ!」
他の生徒に聞こえぬ様、小声の早口で呪文を唱えた私。
そして4月を示すアユモデルさんの能力である『困難を乗り越える力』 を同化させ、姿は体操着のままアリスちゃんの放ったボールを受ける事になったのです。
因みに私達遣いが変身をする際、輝きを放つのですが、他の生徒達は試合に集中していた為、バレる事は無かったのでした。
「でかしたわ、翡翠。でりゃーっ!」
「お見事でした、翡翠様。しかしまだ油断は出来ませんよ」
「アユさんで良いんですよね? ありがとうございます」
その後、私達のチームは惨敗を喫する事になったのですが、一矢は報いた形になりました。
そして放課後にて。
「翡翠、私はこれから本屋に急行しなければいけないの。また明日っ!」
「うん、またね魔美華ちゃん」
「……翡翠、ちょっと良いかな?」
頃合いを見計らった様に、アリスちゃんは私に誘いを掛けて来ました。そして近くの喫茶店へと向かったのですが……。
「だから何故、光也君がバイトしてるお店に……」
「翡翠、また来てくれたのか」
俯き照れながら、光也君に挨拶をする私。
だけど、ほんの少しだけ焦りを感じていました。同席しているアリスちゃんが、普通に綺麗な容姿をしているからです。
そしてアリスちゃんも光也君をチラ見し、何かを察していた様でした。
「貴方……まあ良いです。世界で1番美味しいコーヒーを下さいな」
「どんなコーヒーだよ?」
光也君に無茶振りをし、席を外させたアリスちゃん。そして私に対しては、直球で質問を投げ掛けて来たのです。
「翡翠、貴女も魔法の国と関わりがあるのですよね?」
「……うん。アリスちゃんもだよね?」
アリスちゃんは小さく頷き、身の上話を始めました。
アリスちゃんは元々魔術師の家系に育って来たそうです。今は父であるグラディー・マクアートリー クイーンさんが受け継いでいるらしいのですが、行く行くはアリスちゃんが継承する事になっているのだとか。そして、その前段階として父の遣いになっているそうなのです。
更に、グラディーさんが用いる黄道12星座占いにより、日本にいる私(若竹 翡翠) と接触すべしと暗示が出た為、来日したのだと聞かされました。
「だから私は翡翠の敵ではあるけど、味方でもあるんだよ」
その黄道12星座占いによると、私と共に行動する事で、道が拓けると暗示されたとアリスちゃんは言ったのです。
「でも、私はつい最近魔法の国の事を知ったばかりだし、魔法だってまだまだだよ?」
「今日、半日の行動を見た限り、翡翠は紛れもなく適正者と分かったよ」
アリスちゃんそう言うと、私の所の付き添い役であるアキナ君に、出て来なさいと呟きました。アリスちゃん自身、グラディーさんに他の魔術師の事を聞かされていた為、アキナ君の事も知っていた様なのです。
「やあ。君とは初めて会うね」
「私も魔法の国デビューは、半年前くらいだから。やっとお父様の修行を終えたのです」
そしてアリスちゃんはアキナ君に、私と手を組む事は可能かと問い掛けたのでした。
敵ではあるが味方でもあると言う話は、この事を意味していたのです。更に、私と共に神黒翡翠を見つけ出し、報酬としてその魔力を、半分ずつ使えば良いと提案したのでした。
「私とアリスちゃんが?」
「……翡翠にとっては良い話かも知れないけど、君を信用する保証が欲しいよ」
確かにアリスちゃんは私を利用し、土壇場で裏切るかも知れません。
そこでアキナ君は魔法の国へ行き、私を魔術師グラディーさんに合わせて欲しいと、アリスちゃんに注文をするのでした。
そして魔法の国にて。
「パパ~、翡翠を連れて来たわよ」
「おお~、貴女が翡翠さんですか。とてもチャーミングなお方だ」
その後、私はもてなしを受け、早速本題に入る事になりました。
そこで私は、自分の様な遣いの初心者が、アリスちゃんの手伝いをして良いのかと尋ねたのです。私にとっては突然の提案であった為、戸惑っていたのでした。
だけどグラディーさんは、ある事実を告げたのです。自分とアグリッタさんは以前、同じ魔術師の師匠の元で修行していたのだと。
それは、アキナ君さえ知らなかった事であったらしいのですが、グラディーさんは自分達が裏切らない証拠として、己の血でサインした契約書を私に手渡したのです。
「これは……」
「その契約書があれば、もしアリスが裏切ったとしても、アリスの魔法を制御する事が出来るんだ」
私は、その契約書をアキナ君に持っていて貰う事にして、その後アグリッタさんの城に向かう事になりました。
「確かにグラディーとは、同じ師匠に魔術の基本を習った事はあるけど……」
アグリッタさんは会話を途中で止め考え出していました。グラディーさんはアグリッタさんの下になる階級であった為、殆ど顔を合わせた事が無かったそうなのです。
「アグリッタ様、この契約書は本物なのでしょうか?」
アキナ君に契約書を渡され、確認するアグリッタさんは、本物ではあると言っていました。だけど私に、油断をしてはいけないとも告げたのです。
そして翌日、私はアリスちゃんと魔法の国で落ち合う事になっていました。
「翡翠、貴女はこの魔法の国で、私以外の遣いに何人会った?」
「えとぉ……ルアンユーさんと、ソフィーさんの2人だよ」
「そう。翡翠、私達の当面の目的は、ソフィーを倒す事よ」
神黒翡翠を探し出す事も大変であるのですが、先ずは敵対する魔術師の遣いを倒さなければ意味が無いとアリスちゃんは告げたのです。
と、これは余談なのですが、魔法の国でのアリスちゃんは、言葉が共通になる為、カタコト日本語ではなくなっていたのでした。
そしてアリスちゃんは、私の実力を再度試す為、模擬戦を開始する事になったのです。
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