【完結】第一王子と侍従令嬢の将来の夢

かずえ

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12 穏やかな、半日

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 とりあえず、アルベリクは騎士団の午後の勤務に戻り、当直明けの休みであるアドルスは登城して、侍従の件を当たってみることとなった。セリーヌは、たくさん食べさせるためにお茶の時間のお菓子を注文に行く。それと使用人に、リュシル用の服、下着を既製品で幾つか購入することと、治療院でリュシルの侍女のエマがどうなっているか調べて来てほしいことを頼んだ。疑われない程度に学園は休ませて、何日ここに置いておけるだろうか、と考える。中庭から、賑やかな声が聞こえてきた。ふと笑んで、中庭に向かった。

「私も入れてちょうだい。」

「母上、そのままされる気ですか。」

 マクシムが機嫌良く汗を拭う。シリルも一生懸命、軽い剣を借りて振っていたらしい。体を動かすのも大事ね、とセリーヌはにこにこした。

「ドレスでも、負けない。トマさん、剣を貸してくださいな。」

 びっくりしているリュシルにウインクをすると、楽しげにマクシムと手合わせをはじめ、中庭にはますます賑やかな声が響き渡った。


 汗を流すために風呂に入ったついでに、リュシルの絡まってほどけない栗色の髪をばっさりと肩口あたりで切った。前髪も作って櫛を通し、使用人が買ってきた女の子の服を着せる。あまりの可愛らしさに、セリーヌは大喜びした。
 皆に可愛い、可愛いと言われて、あまり表情を崩さないリュシルが照れた様子を見せるのを、ますます大喜びで見やり、お菓子やサンドイッチをたくさん並べた食卓につく。リュシルは、不思議そうにお菓子を見渡した。マクシムとシリルと目が合うと、こくこくと頷いている。二人が嬉しそうに食べ始めるのを見、トマとドミニクがもりもりサンドイッチを食べるのを見て、またじいっと机の上を見回した。

「リュシルちゃんは、どのお菓子が好きなの?」

 一向に手を出さないリュシルにセリーヌが声を掛ける。リュシルは、首を傾げながら、そうっとクッキーを一つ取った。
 食事をスープとパンしか食べないのは少食だからなのかと思っていたけれど……。セリーヌのため息は深い。見たことがない、知らない食べ物ばかりなのね。クッキーは、食べたことがある、ということかしら。クッキーをかじって、口元がほころぶのを確認する。甘いものは気に入ったようだ。ちらちらと見ている、フルーツがたっぷり乗ったタルトを一つ、リュシルのお皿に移す。

「これがお勧め。綺麗でしょ?」

 こくこく頷いて、ぽうっと眺めている。セリーヌは少しナイフで切って、自分の口に入れて見せた。わざと食べかけのものを渡すと、ようやく同じようにナイフで切り、口に入れる。驚いたように目を見開くところまで確認して、もういっそ学園には戻さずに育てようかと考えていると、昼食後に仕事に戻っていたアルベリクが食堂に駆け込んで来た。

「学園の寮の料理長が捕まった。牢に入れられている。罪状は、第一王子の食事に毒を入れたこと、だそうだ。」
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