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休み明けの学園は、気分よく始まった。二日間、安心してしっかり食べたので、ぐっすり眠ることもでき、二人きりでない安心感から、シリルとマクシムはのびのびと過ごしていた。バジルが牢から出た報告も聞いた。トマも一緒に付いてきてくれている。目下の心配事は、ベルナール伯爵家から持ち帰った食料が切れかけていることである。夕食は、引っ越し作業をしているドミニクが、ベルナール伯爵家から貰ってきてくれる予定だが、目の前でリュシルが頷いていない食べ物を二人が食べられるかどうかは、やってみないと分からない。
とはいえ、平和に一日が過ぎようとしていた放課後、護衛騎士、侍従、側近候補、お近づきになりたいその他の生徒に囲まれて集団で歩いてきた同い年の第二王子が話しかけてきた。
「兄上。毒を盛られたとお聞きしましたが、大丈夫だったのでしょうか。」
爽やかな整った顔を曇らせている。周りの生徒が驚いたように二人を見比べる様子が分かった。どういった意図があって話しかけてきたのかと勘繰りながら、シリルは無表情に言葉を返す。
「そういった事実はないな。」
「は?しかし、寮の料理長が捕まったとお聞きして。」
「そうなのか。私は、そういった事実はないとしか言いようがないのだが。」
第二王子シャルルは、首をひねりながらも、兄が全く会話を続ける気が無い様子は察して、頭を下げた。
「ご無事なのなら、良かったです。」
「ああ。」
相変わらず端的にしか答えは無く、表情も変わらない兄を見ながらシャルルは少しむっとする。それにも気付かないように、シリルはさっさと寮へ帰って行った。
「シャルル様がこんなに心配していらっしゃるのに……。」
側近候補として側にいる侯爵子息がぶつぶつと文句を垂れるのが聞こえる。
「いや、事実を確認もせず兄上に声をかけた私も悪かった。」
「確認しましたよ?料理長は確かに解雇されておりました。第一王子へ毒を盛ったとして捕縛された後に解雇です。」
「だが、兄上はお元気そうだ。間違いだったのだろう。申し訳なかったな。」
眉を下げたシャルルに周りが慌てる。
「なんと、お優しい。きっとお気持ちは届いておりますよ。」
「シャルル殿下が気にすることではありません。シリル殿下はああいう方なのですから。」
口々に言うのへ気を取り直して寮へと帰って行った。
夜、侍従の三人が食事と共にシリルのもとへやってきた。
「リュシル!」
シリルは、思わずといった様子で、侍従姿のリュシルを抱きしめた。リュシルは、にっこり笑ってなすがままだ。
これは、いいのか……?と大人たちは思ったが、見た目は少年二人の抱擁である。殿下の精神安定が第一だと、口は出さないことにした。
「殿下。今日から侍従としてお仕えいたします。トリスタン・リシャールにございます。こちらは、バジル・シモン。そして、その子はリュカ・リシャールとなります。私の、遠縁の子です。私は一度は引退した身、不足があるやもしれませんが、ご了承くださいませ。」
「トリスタン殿。お噂はお聞きしてます。とても、心強い。そして、バジル殿。苦労をかけた。侍従をしてくださるのか。」
「殿下、バジルとお呼びください。侍従など経験が無く、できれば騎士としてお仕えしたかったのですが……。食事に関わるなら、こちらの方が都合が良いとトリスタン様からご提案頂きまして、こうなっております。」
なんとなく納得いっていない表情で、バジルは答えた。侍従の姿もよく似合う。料理人の時と違い、貴族らしい。
「どの姿も、とてもよくお似合いです。」
リュシルが、シリルの腕の中で声をあげた。
「リュシル嬢も似合っているな。いや、リュカか?」
「はい、殿下。リュカとお呼びください。頑張ります。」
「では、食事にしましょうか。」
引っ越し作業をしていたドミニクも合流し、賑やかに一日は終わりを告げた。
とはいえ、平和に一日が過ぎようとしていた放課後、護衛騎士、侍従、側近候補、お近づきになりたいその他の生徒に囲まれて集団で歩いてきた同い年の第二王子が話しかけてきた。
「兄上。毒を盛られたとお聞きしましたが、大丈夫だったのでしょうか。」
爽やかな整った顔を曇らせている。周りの生徒が驚いたように二人を見比べる様子が分かった。どういった意図があって話しかけてきたのかと勘繰りながら、シリルは無表情に言葉を返す。
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「は?しかし、寮の料理長が捕まったとお聞きして。」
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第二王子シャルルは、首をひねりながらも、兄が全く会話を続ける気が無い様子は察して、頭を下げた。
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「ああ。」
相変わらず端的にしか答えは無く、表情も変わらない兄を見ながらシャルルは少しむっとする。それにも気付かないように、シリルはさっさと寮へ帰って行った。
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側近候補として側にいる侯爵子息がぶつぶつと文句を垂れるのが聞こえる。
「いや、事実を確認もせず兄上に声をかけた私も悪かった。」
「確認しましたよ?料理長は確かに解雇されておりました。第一王子へ毒を盛ったとして捕縛された後に解雇です。」
「だが、兄上はお元気そうだ。間違いだったのだろう。申し訳なかったな。」
眉を下げたシャルルに周りが慌てる。
「なんと、お優しい。きっとお気持ちは届いておりますよ。」
「シャルル殿下が気にすることではありません。シリル殿下はああいう方なのですから。」
口々に言うのへ気を取り直して寮へと帰って行った。
夜、侍従の三人が食事と共にシリルのもとへやってきた。
「リュシル!」
シリルは、思わずといった様子で、侍従姿のリュシルを抱きしめた。リュシルは、にっこり笑ってなすがままだ。
これは、いいのか……?と大人たちは思ったが、見た目は少年二人の抱擁である。殿下の精神安定が第一だと、口は出さないことにした。
「殿下。今日から侍従としてお仕えいたします。トリスタン・リシャールにございます。こちらは、バジル・シモン。そして、その子はリュカ・リシャールとなります。私の、遠縁の子です。私は一度は引退した身、不足があるやもしれませんが、ご了承くださいませ。」
「トリスタン殿。お噂はお聞きしてます。とても、心強い。そして、バジル殿。苦労をかけた。侍従をしてくださるのか。」
「殿下、バジルとお呼びください。侍従など経験が無く、できれば騎士としてお仕えしたかったのですが……。食事に関わるなら、こちらの方が都合が良いとトリスタン様からご提案頂きまして、こうなっております。」
なんとなく納得いっていない表情で、バジルは答えた。侍従の姿もよく似合う。料理人の時と違い、貴族らしい。
「どの姿も、とてもよくお似合いです。」
リュシルが、シリルの腕の中で声をあげた。
「リュシル嬢も似合っているな。いや、リュカか?」
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「では、食事にしましょうか。」
引っ越し作業をしていたドミニクも合流し、賑やかに一日は終わりを告げた。
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