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27 シャルルは考える
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「貴方は、王様になるのだから。」
と、母は言った。勉強を頑張りなさい。剣の稽古を頑張りなさい。マナーも誰より上品に。ダンスは優雅に踊れるように。
だって、貴方は王様になるのだから。
そうか、自分は王様になるのだな、とシャルルは思いながら育った。父が王様なのだから、当然のことだ。
父の提案で、異母兄と一緒に勉強するようになり、母はとても嫌がった。決して負けては駄目よ。剣も、お勉強も、ダンスも、マナーも。
そう言われても、シャルルなりに頑張っているのに、何一つ勝てなかった。シリルの方が半年ほど誕生日が早いとはいえ、全く勝負にならない。
困ってしまって、分からない所を尋ねると、シリルは丁寧に教えてくれた。家庭教師より分かりやすいくらいだった。話をするのが楽しくて、色々なことを話しかけた。異母兄は、必ず短い言葉でも返事をくれた。
そのうち、母に、シリルと口をきいてはいけない、と言われた。流石に納得いかなくて、はい、とは言えなかった。
その頃から、シリルが体調を崩すことが増えた。すっかり痩せ細って、目の下に隈を作っている。同じものを食べている筈なのに、どんどん体格に差がついた。剣の勝負は、負けなくなった。シリルは、剣を持ち上げるのも辛そうなのに、重いものを持たされている。
勉強も、試験をすれば必ず勝てるようになった。シリルは体調を崩して休んでいる分、遅れてしまったのだろう、とシャルルは思っていた。体調が心配で話しかけると、声をかけられない方が助かる、と言われた。全く意味が分からなかったが、話しかけると必ず、母からの呼び出しがあり、小言を言われるので、シャルルも話をするのを諦めてしまった。
つまらない気持ちで、勉強に身が入らずにいると、同年代の子どもを連れてきてくれた。一緒に勉強したら良い、という。
話し相手ができて、楽しかった。けれど、母が連れてきた三人の子ども達は、シリルとは決して話さなかった。特に、ジャン以外の二人は、まるで、シリルなどいないかのように振る舞っていた。違和感を持ちつつも楽しく過ごしていたある日、初めて五人で受けた試験で、コンスタン・プティ伯爵令息がシャルルより上の成績を取った。
異母兄と二人ではないのだから、そういうこともあるだろう、とシャルルは思ったが、母は許せなかったらしい。呼び出されて長々と、もっと頑張れと言われた。その時に、コンスタンが、神童と呼ばれているほど頭が良いことを知った。
自分は、神童であったことはないので、勝つのは無理ではないかな、と思いつつ日々を過ごした。母には言えなかったが。剣の稽古では、騎士団長の息子だというエクトルに負けた。
仕方ない、騎士になるために頑張っていると言っていたしな、と思ったが何故か次の日には、勝てるようになっていた。勉強の試験も、二回目以降は、シャルルが負けることはなかった。
流石に、気付いた。
コンスタンとエクトルは、手加減しているのだろう。何となく、楽しく話すことができなくなってしまった。
ジャンだけが、何の気兼ねもなく話すことができる存在となっていた。剣も勉強もほどほどのようだ。母はジャンのことを、家柄だけは良いですが、出来は、弟の方がいいかしら?なんて、言う。シャルルには、自分の出来が分からなかった。褒めるばかりの人々。
それでも、自分は王様になるのだろう、とは思っていた。
学園の寮暮らしは、楽しかった。今なら、異母兄に話しかけても大丈夫だろうか。しかし、シリルは、日増しに弱っていった。体調が優れないなら休めば良いのに、と何となくはらはらして見ていた。そのうちに、流れてくる噂。毒を盛られたらしい。ようやく、声をかけて真偽を確かめれば、そんなことはない、とすげない返事。
そして、声をかけたことで母からの呼び出し状がくる。面倒くさい……、と思い始めていた。
少し元気になったシリルが、新しい侍従を連れている。思わず、声をかけた。相変わらず素っ気ないけれど、返事はくれる。やはり、兄上は変わってない、と思っていたら、兄弟で気を使う必要ない、なんて嬉しい言葉まで聞けた。その言葉を引き出したジャン、やっぱり君は親友だ。
と、母は言った。勉強を頑張りなさい。剣の稽古を頑張りなさい。マナーも誰より上品に。ダンスは優雅に踊れるように。
だって、貴方は王様になるのだから。
そうか、自分は王様になるのだな、とシャルルは思いながら育った。父が王様なのだから、当然のことだ。
父の提案で、異母兄と一緒に勉強するようになり、母はとても嫌がった。決して負けては駄目よ。剣も、お勉強も、ダンスも、マナーも。
そう言われても、シャルルなりに頑張っているのに、何一つ勝てなかった。シリルの方が半年ほど誕生日が早いとはいえ、全く勝負にならない。
困ってしまって、分からない所を尋ねると、シリルは丁寧に教えてくれた。家庭教師より分かりやすいくらいだった。話をするのが楽しくて、色々なことを話しかけた。異母兄は、必ず短い言葉でも返事をくれた。
そのうち、母に、シリルと口をきいてはいけない、と言われた。流石に納得いかなくて、はい、とは言えなかった。
その頃から、シリルが体調を崩すことが増えた。すっかり痩せ細って、目の下に隈を作っている。同じものを食べている筈なのに、どんどん体格に差がついた。剣の勝負は、負けなくなった。シリルは、剣を持ち上げるのも辛そうなのに、重いものを持たされている。
勉強も、試験をすれば必ず勝てるようになった。シリルは体調を崩して休んでいる分、遅れてしまったのだろう、とシャルルは思っていた。体調が心配で話しかけると、声をかけられない方が助かる、と言われた。全く意味が分からなかったが、話しかけると必ず、母からの呼び出しがあり、小言を言われるので、シャルルも話をするのを諦めてしまった。
つまらない気持ちで、勉強に身が入らずにいると、同年代の子どもを連れてきてくれた。一緒に勉強したら良い、という。
話し相手ができて、楽しかった。けれど、母が連れてきた三人の子ども達は、シリルとは決して話さなかった。特に、ジャン以外の二人は、まるで、シリルなどいないかのように振る舞っていた。違和感を持ちつつも楽しく過ごしていたある日、初めて五人で受けた試験で、コンスタン・プティ伯爵令息がシャルルより上の成績を取った。
異母兄と二人ではないのだから、そういうこともあるだろう、とシャルルは思ったが、母は許せなかったらしい。呼び出されて長々と、もっと頑張れと言われた。その時に、コンスタンが、神童と呼ばれているほど頭が良いことを知った。
自分は、神童であったことはないので、勝つのは無理ではないかな、と思いつつ日々を過ごした。母には言えなかったが。剣の稽古では、騎士団長の息子だというエクトルに負けた。
仕方ない、騎士になるために頑張っていると言っていたしな、と思ったが何故か次の日には、勝てるようになっていた。勉強の試験も、二回目以降は、シャルルが負けることはなかった。
流石に、気付いた。
コンスタンとエクトルは、手加減しているのだろう。何となく、楽しく話すことができなくなってしまった。
ジャンだけが、何の気兼ねもなく話すことができる存在となっていた。剣も勉強もほどほどのようだ。母はジャンのことを、家柄だけは良いですが、出来は、弟の方がいいかしら?なんて、言う。シャルルには、自分の出来が分からなかった。褒めるばかりの人々。
それでも、自分は王様になるのだろう、とは思っていた。
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そして、声をかけたことで母からの呼び出し状がくる。面倒くさい……、と思い始めていた。
少し元気になったシリルが、新しい侍従を連れている。思わず、声をかけた。相変わらず素っ気ないけれど、返事はくれる。やはり、兄上は変わってない、と思っていたら、兄弟で気を使う必要ない、なんて嬉しい言葉まで聞けた。その言葉を引き出したジャン、やっぱり君は親友だ。
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