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26 死神はどこにいる?
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貴賓室の近くで待っていたらしい。昼食を終えて、機嫌良く出てきたシャルルに、ジャンが駆け寄った。
「何も、ありませんでしたか、シャルル殿下。」
侍従も、部屋から追い出されていたので、困った顔をして、シャルルを見ている。
「何も、あるわけないだろう。兄上とその友人と食事をしただけだ。」
「死神と密室で食事をするのを止められなかったなんて。侍従まで外に出すとは、何をお考えか。」
「死神は、あそこには、いなかった。ジャン、新聞は読んだか?」
「読みましたけど。貴族は皆、新聞など信じてはおりません。王宮から話を聞いているのですから。」
「王宮から……か。新聞が嘘を書いたのなら、何故罰せられない?調べた第三騎士団も、何故罰せられない?王宮の話を調べたのは誰だ?」
「え?あ?ええ?」
「ジャン、死神は、どこにいる?」
その日の夜に、母からの呼び出し状は予想通り届いた。シャルルは、忙しくて行けない、ときちんと返事を書いた。
次の日の昼休みは、貴賓室に直行した。居心地の良さに気付いてしまったのだ。
どこからでも食事を運んでくることは可能だったし、誰の目を気にすることもなく、好きなように話せる。座り心地の良いソファもあるので、仮眠もできる。
シャルルは、ジャンを連れていた。
シリルに無礼を働かない、リュカとジュストを見下した発言をしない、と固く約束させた上である。
上等なレストランから運んできたコース料理は、シャルルの侍従に給仕してもらっていたので、もくもくと食べた。
ジュストの感想は、いい思い出になった、であった。リュカは、シリルに手伝ってもらって一口ずつ食べて終わり、デザートでようやく食べる気を取り戻す、というやる気のなさ。
シャルルは、この食事はいつも通りでつまらない、と言った。
「ジュスト、私は昨日の日替わり定食の方が好きだった。」
「シャルル殿下。それでも、明日は懲りずにカフェのメニューを食べますよ。」
「私は、パンケーキが食べたいです。」
「リュカ、明日のメニューより、今日の分をしっかり食べろ。いつもより食べていないんじゃないか。」
シリルは、言いながら自分のデザートのクリームパイを切ってリュカの口に運ぶ。
「……リュカは、侍従なんですよね?」
はじめは、警戒心も露わに席に着いたジャンも、食事が始まるとおとなしく食べていたが、デザートがきてシャルルの侍従を追い出した途端に口を開き出した四人に、呆気にとられていた。
「どう見ても、侍従だろう。」
「……シリル殿下が、リュカの世話を焼いているように見えるので。」
「リュカは、放っておくとしっかり食べないからな。」
「食べてます。」
心外だと言わんばかりに、リュカが反論する。
「今日は、だいぶリュカの残り物食べたけど。」
ジュストが、早々にデザートも食べ終わって口を挟む。リュカの前には、オレンジソースのかかったクレープがある。
「デ、デザートが二種類もあるし、絶対食べたかったから……。」
真っ赤になって俯くリュカの口に、シリルのクリームパイがまた運ばれる。
「リュカって、男ですよね?」
「ジャン、何言ってるの?」
「シャルル殿下、あれが恋人同士の食事に見えてるのは俺だけですか?」
「俺にも、そう見えるけど?」
「ジュストと意見が合うなんて、嫌だ。」
「じゃ、貴方が意見を変えてください、ジャン様。」
「あー、腹が立つ。」
「ジャン、喧嘩したら追い出すよ。明日のカフェご飯は一緒に食べないよ。」
「明日も、一緒に食べるのか?」
「はい、明日はカフェですからね。」
シャルルは、シリルの素っ気ない言葉に、満面の笑みで返す。ジャンは、初めて見るシャルルのその顔を、呆然と見つめた。
「用事はすんだのか?」
「すんでません。」
「すましてしまえ。」
「シャルル殿下、用事をすましても、ここに来ればいいんですよ。王族のお部屋なんですから。」
昨日と同じやりとりをしている所に、ジュストの茶々が入る。
「兄上と私の部屋だな。」
嬉しそうに笑ったシャルルは、けれど、今日も肝心なことは言わずに、貴賓室を出ていった。
「何も、ありませんでしたか、シャルル殿下。」
侍従も、部屋から追い出されていたので、困った顔をして、シャルルを見ている。
「何も、あるわけないだろう。兄上とその友人と食事をしただけだ。」
「死神と密室で食事をするのを止められなかったなんて。侍従まで外に出すとは、何をお考えか。」
「死神は、あそこには、いなかった。ジャン、新聞は読んだか?」
「読みましたけど。貴族は皆、新聞など信じてはおりません。王宮から話を聞いているのですから。」
「王宮から……か。新聞が嘘を書いたのなら、何故罰せられない?調べた第三騎士団も、何故罰せられない?王宮の話を調べたのは誰だ?」
「え?あ?ええ?」
「ジャン、死神は、どこにいる?」
その日の夜に、母からの呼び出し状は予想通り届いた。シャルルは、忙しくて行けない、ときちんと返事を書いた。
次の日の昼休みは、貴賓室に直行した。居心地の良さに気付いてしまったのだ。
どこからでも食事を運んでくることは可能だったし、誰の目を気にすることもなく、好きなように話せる。座り心地の良いソファもあるので、仮眠もできる。
シャルルは、ジャンを連れていた。
シリルに無礼を働かない、リュカとジュストを見下した発言をしない、と固く約束させた上である。
上等なレストランから運んできたコース料理は、シャルルの侍従に給仕してもらっていたので、もくもくと食べた。
ジュストの感想は、いい思い出になった、であった。リュカは、シリルに手伝ってもらって一口ずつ食べて終わり、デザートでようやく食べる気を取り戻す、というやる気のなさ。
シャルルは、この食事はいつも通りでつまらない、と言った。
「ジュスト、私は昨日の日替わり定食の方が好きだった。」
「シャルル殿下。それでも、明日は懲りずにカフェのメニューを食べますよ。」
「私は、パンケーキが食べたいです。」
「リュカ、明日のメニューより、今日の分をしっかり食べろ。いつもより食べていないんじゃないか。」
シリルは、言いながら自分のデザートのクリームパイを切ってリュカの口に運ぶ。
「……リュカは、侍従なんですよね?」
はじめは、警戒心も露わに席に着いたジャンも、食事が始まるとおとなしく食べていたが、デザートがきてシャルルの侍従を追い出した途端に口を開き出した四人に、呆気にとられていた。
「どう見ても、侍従だろう。」
「……シリル殿下が、リュカの世話を焼いているように見えるので。」
「リュカは、放っておくとしっかり食べないからな。」
「食べてます。」
心外だと言わんばかりに、リュカが反論する。
「今日は、だいぶリュカの残り物食べたけど。」
ジュストが、早々にデザートも食べ終わって口を挟む。リュカの前には、オレンジソースのかかったクレープがある。
「デ、デザートが二種類もあるし、絶対食べたかったから……。」
真っ赤になって俯くリュカの口に、シリルのクリームパイがまた運ばれる。
「リュカって、男ですよね?」
「ジャン、何言ってるの?」
「シャルル殿下、あれが恋人同士の食事に見えてるのは俺だけですか?」
「俺にも、そう見えるけど?」
「ジュストと意見が合うなんて、嫌だ。」
「じゃ、貴方が意見を変えてください、ジャン様。」
「あー、腹が立つ。」
「ジャン、喧嘩したら追い出すよ。明日のカフェご飯は一緒に食べないよ。」
「明日も、一緒に食べるのか?」
「はい、明日はカフェですからね。」
シャルルは、シリルの素っ気ない言葉に、満面の笑みで返す。ジャンは、初めて見るシャルルのその顔を、呆然と見つめた。
「用事はすんだのか?」
「すんでません。」
「すましてしまえ。」
「シャルル殿下、用事をすましても、ここに来ればいいんですよ。王族のお部屋なんですから。」
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「兄上と私の部屋だな。」
嬉しそうに笑ったシャルルは、けれど、今日も肝心なことは言わずに、貴賓室を出ていった。
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